鬼海弘雄さんの「ぺるそな」は、わたしにいろいろなことを考えさせる。
人間についてのこれまでの“常識”をゆるがす。よく「無名の人」というが、ほんとうは「無名の人」なんて、いるはずはない。しかし、鬼海さんは、被写体となったその人から、名前をはぎ取っている。背景はスタジオではなく、浅草寺のおそらくは宝蔵門あたりだろう。そこのたぶん、赤い壁を背景として、声をかけ本人の撮影の許可をえて撮影する。モノクロフィルムを使用しているので、赤い壁はやや濃いめのグレーに写る。この作業を、鬼海さんは三十数年にわたって、営々とつづけていく。彼が撮影するのは、有名人ではない。知識人でもない。一般大衆と呼ばれる、「普通の人びと」なのだが、彼の手にかかると、普通ではなくなる。人間が“むき出しの存在感”を露わにしている。
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