二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

底辺から時代を見上げるまなざし ~吉村昭「プリズンの満月」をめぐって

2021年12月20日 | 吉村昭
■吉村昭「プリズンの満月」新潮文庫(平成10年刊 原本は平成7年新潮社) 司馬遼太郎は鳥観図を用いて、そのパースペクティブがもたらす視野の中で歴史や時代を眺めようとするが、吉村昭はそうではない。 むしろ地を這うような低いまなざしを好んで用いる。 それは司馬さんが、大抵の場合、その時代の権力者や英雄、いわゆる“歴史的有名人”をしばしば主役に据えていることを勘案すればわかる。それに比べ、吉村さんは、 . . . 本文を読む
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