ある本を読んでいて、こんなタイトルをひねり出した*´∀`)ノ
この夏のキーワード!
音楽:シューマン、フランシス・ブリュッヘン、リヒテル
文学:須賀敦子、坂口安吾
写真:梅佳代、X20、キヤノンF-1
・・・てなことをいろいろ妄想してみた(笑)。
非常に気まぐれなので、このキーワードは日替わりで入れ替わるということは、むろん大いにありうる。昨日は蕎麦だったから、今日は素麺にしようかなんていう“気分”に引きずられてその日のメニューを考える。典型的な感覚型人間なのかも知れないなあ。
ところで、トップにあげた写真。
え~と、右ではなく左の一冊について、書いておこう。
タイトル:Study of PHOTO
著者:Val Williams(ヴァル・ウィリアムス)
出版社:ビー・エヌ・エヌ新社(1800円+税)
はじめての著者、はじめての出版社。
そういう本はめったに買わないけれど、本屋にいくたびに立ち読みし、結局は買うハメに・・・。
どこがどうおもしろいか、少し考えてみよう。
サブタイトルに「名作が生まれるとき」と書かれてある。ところがこの本は、初心者向けのよくある入門書ではない。その種の本を読み飽きてしまった中級者・上級者向けの刺激と興奮満載の「名作ってなんだ?」と問い直した本である。
著者はきっと、新しい価値を生み出す、有能な編集者であり、写真の鑑賞家なのであろう。
まず眼をひくのは、過去の名作を、つぎの10項目にカテゴライズしていること。
WORK(仕事)
STORY(物語)
BEAUTY(美)
RELATIONSHIPS(関係性)
THE EVERYDAY(日常)
HOME(ホーム)
CONFLICT(抗争)
THE UNEXPECTED(予期せぬこと)
MOVEMENT(動き)
OUTIDE(アウトサイド)
著者は10のキーワードによって、作品を読み解いていく。
スナップショット、風景写真、ネイチャーフォト、記念写真、ポートレイト、観光写真、ファッション写真、料理写真・・・こういった従来型の分類法によらず、まったく新しいアプローチを差し出しているのである。
そう・・・こんなカテゴライズの方法があったのだ!
だれもがよく、あるいは何となく知っている、「過去の名作」が俎上にのせられ、手際よくさばかれていく。
カテゴリーはそのまま、その知っているはずの写真を、違った観点から読み解くためのキーワードとなる。それによって、われわれ読者は、もう一度、思いがけない角度から、過去の名作と遭遇することになるのだ。
写真について、何が語れるのか?
写真によって、何が語れるのか?
こういうある意味で本質的な、といってもよい問いは、大抵、理屈倒れになってしまい、「ああ、またか」という落胆が待ち構えているわけだが、この本はそうはならない。
少なくともわたしには、目覚ましい成果をあげているように見えるページが、何か所も発見できた。
10のカテゴリーはさらにいくつかのキーワードに分節されていく。ページの左側に作例(取り上げた作品)、右側にコメントがレイアウトされている。コメントは200字から300字程度。そして写真家自身のひとことが、必ず添えられている。
著者は必要以上には写真に踏み込まない。啓示的というか、暗示的というか、あっさりと解説を切りあげ、あとは、読者の鑑賞にまかせている。
だから、わたしもあまり本書の内容には深入りしない。興味があったら、本屋の棚の前で、立ち読みでもいいから、のぞいてみるといいだろう(ρ_・).
読者を縛ったり、押しつけたりしないのに、これだけのことが表現できるのは、著者がなみなみならぬ編集能力をもっているからである。
ここにはじつにたくさんの、世界と自分自身についてのキーワードがばらまかれている。
「鑑賞する」というのは、本来「新しい価値に出会うこと」のはず。
この本は、写真についてそれをおこない、すばらしい成果をもたらした。近来にない名著であるとおもう。
■ヴァル・ウィリアムス
http://www.lcc.arts.ac.uk/research/research-staff-profiles/professor-val-williams/
(英語検索したら、こんなページにたどり着いた。ロンドン大学の教授で、研究テーマは写真撮影、公文書、キュレーション、展示会だそうである)
この夏のキーワード!
音楽:シューマン、フランシス・ブリュッヘン、リヒテル
文学:須賀敦子、坂口安吾
写真:梅佳代、X20、キヤノンF-1
・・・てなことをいろいろ妄想してみた(笑)。
非常に気まぐれなので、このキーワードは日替わりで入れ替わるということは、むろん大いにありうる。昨日は蕎麦だったから、今日は素麺にしようかなんていう“気分”に引きずられてその日のメニューを考える。典型的な感覚型人間なのかも知れないなあ。
ところで、トップにあげた写真。
え~と、右ではなく左の一冊について、書いておこう。
タイトル:Study of PHOTO
著者:Val Williams(ヴァル・ウィリアムス)
出版社:ビー・エヌ・エヌ新社(1800円+税)
はじめての著者、はじめての出版社。
そういう本はめったに買わないけれど、本屋にいくたびに立ち読みし、結局は買うハメに・・・。
どこがどうおもしろいか、少し考えてみよう。
サブタイトルに「名作が生まれるとき」と書かれてある。ところがこの本は、初心者向けのよくある入門書ではない。その種の本を読み飽きてしまった中級者・上級者向けの刺激と興奮満載の「名作ってなんだ?」と問い直した本である。
著者はきっと、新しい価値を生み出す、有能な編集者であり、写真の鑑賞家なのであろう。
まず眼をひくのは、過去の名作を、つぎの10項目にカテゴライズしていること。
WORK(仕事)
STORY(物語)
BEAUTY(美)
RELATIONSHIPS(関係性)
THE EVERYDAY(日常)
HOME(ホーム)
CONFLICT(抗争)
THE UNEXPECTED(予期せぬこと)
MOVEMENT(動き)
OUTIDE(アウトサイド)
著者は10のキーワードによって、作品を読み解いていく。
スナップショット、風景写真、ネイチャーフォト、記念写真、ポートレイト、観光写真、ファッション写真、料理写真・・・こういった従来型の分類法によらず、まったく新しいアプローチを差し出しているのである。
そう・・・こんなカテゴライズの方法があったのだ!
だれもがよく、あるいは何となく知っている、「過去の名作」が俎上にのせられ、手際よくさばかれていく。
カテゴリーはそのまま、その知っているはずの写真を、違った観点から読み解くためのキーワードとなる。それによって、われわれ読者は、もう一度、思いがけない角度から、過去の名作と遭遇することになるのだ。
写真について、何が語れるのか?
写真によって、何が語れるのか?
こういうある意味で本質的な、といってもよい問いは、大抵、理屈倒れになってしまい、「ああ、またか」という落胆が待ち構えているわけだが、この本はそうはならない。
少なくともわたしには、目覚ましい成果をあげているように見えるページが、何か所も発見できた。
10のカテゴリーはさらにいくつかのキーワードに分節されていく。ページの左側に作例(取り上げた作品)、右側にコメントがレイアウトされている。コメントは200字から300字程度。そして写真家自身のひとことが、必ず添えられている。
著者は必要以上には写真に踏み込まない。啓示的というか、暗示的というか、あっさりと解説を切りあげ、あとは、読者の鑑賞にまかせている。
だから、わたしもあまり本書の内容には深入りしない。興味があったら、本屋の棚の前で、立ち読みでもいいから、のぞいてみるといいだろう(ρ_・).
読者を縛ったり、押しつけたりしないのに、これだけのことが表現できるのは、著者がなみなみならぬ編集能力をもっているからである。
ここにはじつにたくさんの、世界と自分自身についてのキーワードがばらまかれている。
「鑑賞する」というのは、本来「新しい価値に出会うこと」のはず。
この本は、写真についてそれをおこない、すばらしい成果をもたらした。近来にない名著であるとおもう。
■ヴァル・ウィリアムス
http://www.lcc.arts.ac.uk/research/research-staff-profiles/professor-val-williams/
(英語検索したら、こんなページにたどり着いた。ロンドン大学の教授で、研究テーマは写真撮影、公文書、キュレーション、展示会だそうである)