のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

塩谷 7

2009-07-29 | 小説 忍路(おしょろ)
 国道を海側に寄れるだけよってわずかに覗いている石の頭をよく見ようと背伸びして目をこらした。そうするまでもなく私はそれが伊藤整の文学碑であることを確信していた。  しかしここからは上りようがなかった。石碑の覗いている丘は道路から3メートルは超えるだろう垂直に削り取られた雪の壁の上にあった。車の排気ガスが付着して黒く染まり固まった雪で、到底そこをよじ登る気持ちを起こさせるものではなかった。  かと . . . 本文を読む
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