縄文人(見習い)の糸魚川発!

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シーカヤック親不知探訪記・・・12キロの冒険ごっこ

2014年04月24日 01時22分12秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト




糸魚川市の名所の一つ、親不知はここ数十年で急激に進んだ海岸浸食により砂浜が分断されて、現在は陸地を通り抜けることができなくなっている。


正確にいえば
新潟県西端の市振から歌集落、つまり親不知駅周辺、もっと解り易くいえば親不知ピアパークまでが親不知だ。
歌から東端の勝山(資料によるとさらに東の青海川)までを子不知と呼ぶ。
この区間が
15キロも断崖絶壁が続く親不知子不知の難所である。

親不知子不知は北陸道(別名加賀街道。現在の国道8号線)最大の難所とされ、
波の高い時には幾多の人々が波にさらわれて海の藻屑と消えた所。
最盛期で四千人もの行列を連ねた加賀百万石の参勤交代が通る時には、歌の男ショ(衆)たちが波打ち際で人間バリケードを作って行列を守ったそうだ。

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親不知には大懐、小懐、大穴、小穴という避難場所の名前や、弁慶の力水、波除観音、浄土、駒返しといった旧跡もあると聞いていた。
何やら文学的な地名の数々ではないか。
歩いて観ることができないなら、海から観てきてやろうじゃないの!と、シーカヤックで訪れてみた。

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シーカヤックとは、北極圏からアリューシャン列島にかけた伝統的な狩猟用カヌーをベースにした海用のカヌーだ。
コックピットに体をスッポリと入れる方式なので荒海の航海に向いている。
写真は頂きものの古い
シーカヤックを自分で長距離航海用にカスタムとペイントし直した「縄文人(見習い)号」。


次に続く人のためにスマホのGPSで計測した北緯と東経を記録したので、ご参考のほどを。

今回のレポート作成にあたって何度か海から調べたのだが、各名所旧跡に案内看板があるわけでもなく、位置が特定できない所は市振在住の郷土史家、蛭子建治先生に教えて頂いた。
蛭子先生はかって糸魚川高校で古典と漢文を教えておられたが、私も赤点しかとったことのない不肖の教え子(笑)

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30年ぶり以上もご無沙汰していたが、蛭子先生は相変わらずお達者。
話しに興が乗ると身振り手振り、声の抑揚が大きくなるエビチャン節は健在!
何故か鉢巻をされていた(笑)



以下レポート
子不知
 (ピアパーク~勝山)

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「二つ岩」・・・北緯37.00東経137.44
親不知ピアパークの東側にある絶交の素潜りポイント。
地元の歌地区では雄岩(おいわ)と呼んでいたそうだ。


途中に「駒返し」という地名があるそうだが、現在はコンクリート護岸されていて特定不明

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「亀岩」・・・亀っぽい岩がいくつかと海面下に沢山の暗礁が観えた。
潮の流れが速くて、写真撮影だけで精一杯でGPS記録を取ることができなかった。

亀岩の向こうに観えるのが駒返し???

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「落り水(おちりみず)」・・・北緯37.019 東経137.78  
二つ岩からの距離4.315キロ

崖の上がドライブイン勝山で、ここはまだドライブイン横の階段を降りれば行くことができる。

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落り水は昔と変わらず冷たい水が落ちていた。
高校生の頃、ここでキャンプしたのだ。
芭蕉、高杉晋作等々、有名無名のあまたの旅人達が喉を潤したに違いない。



親不知 (ピアパーク~市振)

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「鵜の家」 ・・・北緯36.996 東経137.71  
ピアパークからの距離2.89キロ

展望台のすぐ下。
この日も岩の上に鵜がいたが、周辺は暗礁が多い。


「弁慶の力水」・・・現在は消滅

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「波除観音」「ひげそり岩」・・・北緯36.994 東経137.70
ピアパークからの距離3.8キロ  
鵜の岩の西側。
右側の崖上に親不知観光ホテルがあり、ホテル東側の階段を降りてから海岸を東に歩いた突き当りがひげそり岩で、ひげそり岩の北側の断崖に波除観音がある。

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ひげそり岩の西側・・・残念ながら観光ホテルの断崖を降りて歩いてもすぐに行き止まりになるが、東に10mも泳げば反対側に回り込んで波除観音を観ることができる。

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「波除観音」は具体的な場所を教えて貰わないと気付かない位置にある。
何度か探しても分からなかったので、蛭子先生に教えてもらったのだ。
先生が何十年か前に計測した所、断崖
の地上10mにあったそうだ。
この写真は沖から望遠で撮影したので正面を向いているが、真下から見上げると

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よく観ると岩の頭から少し下がったところに二つの丸いものがある・・・
絶対わからん!
蛭子先生によると、子供が波にさらわれ観音様に祈ったら、次の波で子供が戻ってきた親が観音像を奉納したそうだ。
ちょうど北を向いている。


「大懐・小懐」・・・潮の流れとウネリが出てきて位置測定できなかったが、かみそり岩の西100m内外に「大穴・小穴」と続く。

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左が大懐、右が小懐
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大懐・・・二百人が避難できたと伝えられているが、現状では三十人くらいがやっとだろう。
撮影のために漕ぐのを休むと暗礁だらけの岸にドンドンと寄せられて危険だった。

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「大穴・小穴」・・・大懐の10mくらい西にある。
深い洞穴をイメージしていたが、現在はほんの申し訳程度の岩穴。


ここから西側の長走りは消滅し、南無大師遍照金剛と線刻された断崖もあったそうだが、数十年前に崩落して今は痕跡すら見いだせない。

波除不動という石の祠もあったそうだが、これも不明。
このあたりからコンクリート護岸が市振まで4キロほど続き、正直いって退屈。

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今回のレポートを作るために親不知往復二回、子不知一回の合計三日間かけた。確かに親不知は風光明媚だ。
しかしシーカヤックで二度も同じ場所を漕ぐと、面白いのは鵜の岩~大穴・小穴の500mくらいに尽きるといっていい。

しかしだ・・・
ただ漕いで親不知の断崖を眺めるだけでは勿体ない。
親不知の魅力は海の中にも沢山あるのだ。

今回の探訪でもイルカらしき背中、フグの子供の群れ、暗礁に折り重なって群生する岩牡蠣が透けて観えた。
断崖が10キロ以上も続くということは、生活排水の流れ込みがないということで、海水は綺麗ということ。
航路途中で簡単なボルダリング(道具を使わない岩登り)もやった。
親不知はアウトドア遊びの宝庫なのだ。


ピアパークから市振海岸まで約7.6キロ
子不知も合計すると約12キロといったところ。
しかしこの間で車でアクセスしてシーカヤックを海に降ろせるのは、親不知ピアパークと市振海岸に限られる。

だから親不知と子不知、シーカヤックやサップでトリップするなら、どちらに行くにもピアパークをベースにするしかないだろう。
親不知は断崖が続くので、海況の変化や転覆などしても自力でなんとかするしかないから危険でもある。
当り前だが、体力や技術より、海況も含めての状況判断の的確さが重要だ。