けんか祭りの朝は朝凪の静かな海。
数日の暑い日は続いていたのに海水は冷たかった。
禊が終わる頃、イルカの群れが現れた。
沖合で観たことはあっても、海岸では初めて・・・瑞兆!
各自帰宅して身支度を整えて公民館に集合。
2キロ先の天津神社まで行進する。
若手に草鞋の履き方を教えるベテラン。
男たちが履く草鞋は、根知区の根小屋で作って貰うそうだ。
元漁師町の寺町と押上の男だけに参加が許された祭りだが、山の衆(ショウ)の協力なくして祭りが成り立たないのが面白い。
登社する時分には小雨が降りだし、けんか祭りが始まるころには本降りとなった。
祭りの火蓋は、ジョウバと露払いが先導を務めて最初の激走から切って落とされる。
上はフェイスブック仲間のペンションクルー若旦那の岩崎さん、下段は五十嵐哲夫さん撮影でどちらも迫力のあるいい写真だ。
押しつ押されつつ、がっぷり四つ相撲のいい祭り。
寒くなっていたので、神輿周辺には熱気で湯気が立って凄惨な雰囲を高めた。
男たちはずぶ濡れ、泥だらけになり、境内狭しと暴れ、奔ったので、「七人の侍」のクライマックスシーンみたいで迫力があったと思う。
装束が破れるほどの喧嘩もあったが、この日だけは「やれやれ~!」って声援が飛ぶ。
「お走り」・・・男の意地をかけて最後の激走!
一の神輿を担ぐ押上は、二の神輿を担ぐ寺町に神輿を収める後ろ姿を見られたら敗けとなるので必死に奔る。押上が勝てば豊漁が約束されている。
二の神輿を担ぐ寺町は、半周のハンデがあって勝てない仕組みになっていても全力で押上を追う。お走りの写真は二枚ともペンションクルー若旦那。
神輿を収めたあとは東西の踏ん張り桟敷に戻って「ワッショイ!ワッショイ!」と勝鬨を挙げ続ける。
ある民俗学者はこの様子を「集団憑依のよう」と評したが、我々は「神サンが乗っとる」と表現する。
東の踏ん張り桟敷で勝鬨を挙げる寺町区
西の踏ん張り桟敷で勝鬨を挙げる押上区
参加者の言う神サンとは、天津神社の主祭神のニニギノ命?それとも奴奈川神社の奴奈川姫命?・・・天津神と国津神のどちら?なんて質問は野暮というもの。
我々は祖霊と共に在るという歓喜に満たされているのである。
ご先祖達が喜んでどる・・・それだけでいい。
今年もええ祭りになった。