大首飾りに含まれる63点の水晶製切子玉作りを始めた。
六角柱の14面体である事は解っているハズなのに、何を勘違いしたのか八角柱の20面体で作ってしまう失態・・・8点作った時点で気が付いて良かった。
世界初の八角柱の水晶製切子玉を作る偉業を成し遂げたのだと、ポジティブシンキング(笑)
試作品ではちゃんと六角形で作っていたのだが、どこで八角柱だと思い込んでしまったものか不思議。
正しい切子玉。初期の出土品には、6面体の水晶の結晶を半分に切って作った細長い装飾品もあるので、切子玉は結晶の抽象化ではないかと推測している。
納品できない失敗作ではあっても、20面体の接点と接線を一致させたシンメトリックな形状、かつ実寸法通りに完成させるコツを掴んだし、出土品っぽい氷砂糖のような質感、古びた黄ばんだ感じを出す事に成功したので、習作だと思えば気分は軽い。
平面を正確に作る技術さえあれば、丸玉を作るより簡単だと思う。
因みに勾玉類は、実測図と写真が個々にあるので首っ引きで作っているが、切子玉・管玉・丸玉は縦×幅(直径)の寸法と孔直径だけが記載された実測表しかなく、六角柱でも八角柱でも同じ寸法に作る事はでき、今回のような勘違いもあり得るのである。
中央の透明感のある切子玉は艶消し研磨していないもので、周りは艶消し研磨済の完成品。実物そっくりの古色感の出し方は企業秘密!
面の接点、接線をピッタリ一致させた上で実測寸法通りに仕上げるのも大変で、何点か失敗してやっとコツが掴めてきた。
幻となった八角柱の切子玉の製作工程(笑) 発注者の松阪市に大首飾り製作プロセスを報告する事になっているのだけど、言われるまでもなく自分の研究用に仔細に記録している。
ヒスイとまったく違う水晶の付き合い方も解ってきた。
水晶は非常にデリケートで、まるで箱入り娘のようだ。