国宝指定の「合掌土偶」で有名な是川遺跡のある青森県八戸市で、縄文をテーマに陶芸をしている左京窯さんご夫妻が訪ねてきてくれて、初対面で意気投合。
語り合っても語りつくせない得難い友となった。
お土産に手作りの掃除セットを頂いた。
素材の栽培から始めた箒は数あれど、左京さんの箒はコシが強く使いやすいのは無論だが、凛然とした姿は「用の美」も備えた工芸品クラス。
私が得意とする石笛も、よい姿のものは音もいい。
この箒なら茶人の眼鏡に適って、お茶室の掃除にもうってつけだろう。
丸みがある柄の先端を掌に収めて持つと自然に背筋が通り、手首・肘がピタリときまり、腰が入る感じは単に埃を掃くだけでなく、祓い清めの祭器にさえ思えてくる。
モノは作り手の人生を投影している。
このような箒を作る人は、人生の達人に違いない。
左京さんご夫妻をヒスイ拾いに案内したら、小型磨製石斧にピッタリの綺麗な軟玉ヒスイ(ネフライト)が拾えた。
最近は縄文をテーマにした各分野のクリエーターの訪問が増えているが、左京さんほどガチに取り組む人は滅多におらず知識や経験も半端ないので、長者ケ原遺跡のガイドでも専門家なみに反応がいい。
手間暇を掛けた高価そうな箒でも解る人には解るらしく、クラフトフェアでは値段も聞かずに買う人もいるとか。
私もこの人なら、という人に左京さんの箒や陶芸作品を紹介したいし、何時しか縄文テーマの合同作品展が開ける時が来るように、と精進を重ねたいと思う。