有名な登山家だけど、好事家を自称するA田さんが自宅近くで土器の破片を拾ったとのことで、仕事を放り出して現地確認に急行。
状況がわからなかったので取敢えず持参した発掘セットは使わなかった・・・文化財保護法があるので素人が勝手に遺跡を発掘しては駄目なのです(笑)
A田さんが土器片を見つけたという標高100mほどの山の中腹を拓いた切通しに案内してもらったら、確かに法面に剥き出しになった樹の根っこの中に幾つか土器片が露頭していた。
地主の方に連絡して土器片を拾い集め、土器片を水に漬けてから古歯ブラシで丁寧に洗ってみたら、長者ケ原遺跡出土品に多い縄文中期(四千~五千年前)の北陸系土器のようだ。厚みは平均で1㎝でけっこう厚め。
切通しの上は田んぼで下は林だから、往時は三~四反ほどの小段状の狭い平地だったのではないだろうか。
付近には鮭が遡上する谷もあり、海まで歩いても30分くらいで、すぐ近くに小川もあるそうだ。
海に面した北向き斜面なので厳冬期は季節風が吹き付け過酷な環境だろうが、水、食料の確保は問題なし。
大雨でも振ると土砂に埋まってしまいそうな場所だから、道端に土器片が落ちていたら拾い集めておいて下さいと伝えて帰宅。
翌日、A田さんは教育委員会に連絡したら、はやり中期の遺跡がある所らしく、拾い集めた土器片を区長さんに預けて一件落着。
自宅近くに五千年前の縄文人が住んでいた事を知って、縄文好きのA田さんは喜んでいた。
縄文好きで無いにしろ、もしかしたらご先祖?と想像すると愉しいし、地元愛も沸くというものだ。