縄文時代の竪穴住居の中心には石囲い炉があり、弥生以降の囲炉裏や竈は家の隅に追いやられるので、縄文の竪穴住居はあたかも火の神を護り崇める神殿のように思える。
だから私は長者ヶ原遺跡での宿泊体験会は、火を主役に据えたい。縄文時代の発火具については錐揉み式発火法は確実にあったと推測されているが、北海道の縄文晩期の遺跡から出土したのが、錐揉み式にしては太すぎる火錐棒。たぶん弓錐式発火法か紐錐式発火法に使ったらしいので、私は弓錐式発火法をしている。ちなみに多くの博物館やイベントで披露している発火法は幕末に考案された舞錐式発火法だが、縄文式と嘘を教えてはいけませんヨ。
メインゲストの話を拝聴するタイプの縄文イベントではなく、縄文時代にあった摩擦式発火法で火を熾し、焚火を囲んで、参加者が分け隔てなく和やかに歓談。
焚火が熾きたら、最初に遺跡に自生している笹とヨモギで野草茶を作って振舞う。笹っ葉は軽く炙ると香ばしいのデス。
興が乗れば誰かが歌を唄い、楽器を奏でてくれる。
いつの間にか縄文イベントは30人も集まるイベントになってしまったので、今回は大麻飾り指導者の秋田真介さんが講座で九州からやってくる機会に、ごく内輪だけの縄文キャンプに原点回帰しててみたら、やはりすごくいい。
大人数だと焚火も大きくしないといけないので、煙いし熱すぎて火に近寄れないが、少人数だとチロチロと燃え続ける焚火で満足できるので火との距離が近いのもいい。
たまに仲間内だけで有名な縄文オヂサンが招待されることがあるのだけど、俺が俺がと主役を気取って独りで喋りまくったり、儀式めいたことを一緒にさせられるパターンはもう沢山。縄文ラブをとりとめなく語り続けるスピリチュアル大好きオバサンも勘弁してほしい( ´艸`)
縄文土器で作った鍋の調味料は、友人の富樫さんが岩船郡の海水から煮て作った塩「白いダイヤ」だけ。
出汁は干し椎茸とコンブで、具材は縄文時代にあったものを熾火でクツクツと煮た。
すなわち縄文土器は火の神とヒトの神人共食の祭器。滋味溢れる美味さは火の神の贈り物。
これぞ縄文時間。