国内には黒姫山が三つある。
新潟県糸魚川市、柏崎市と、長野県信濃町である。
糸魚川市の黒姫山は標高1200mの独立峰で、石灰石の塊り。海からよく観える。
糸魚川市青海町出身の黒姫山という郷土出身力士は、相撲バカの叔父が後援会をやっていた。デゴイチ(D51)と異名をとる怒涛のぶちかましが潔く、豪快な相撲と併せて愛嬌があったので、コックローチのCMシリーズで映画監督の大島渚と共演したりもしてました(笑)
新潟県内の黒姫山は、黒姫とは奴奈川姫の異名であるとし、奴奈川姫伝説と密接な関係がある信仰の山。
長野の黒姫山には、奴奈川姫との関係する伝説がないが、お姫様と竜神との婚姻伝説がある。
糸魚川と信州の黒姫山は、どちらもオラが黒姫山が本家だと思っているが、この三つの黒姫山に囲まれた三角地帯が、古代奴奈川族の居住範囲とする説があるのだ。
つまり「ぬなかわの郷」。
信州の黒姫山は、標高2000mの休火山。
奴奈川族は、恐らくは長者ケ原遺跡でヒスイ加工をしていた縄文人の流れを汲む、弥生時代から古墳時代のヒスイ加工をする民であるらしい。
彼らは奴奈川姫を共通の信仰対象にしていたようだ。
奴奈川姫は、機織り、安産にご利益ある国津神とされてこの三角地帯の神社に祀られており、なんと長野県茅野市の御座石神社では、酒造りの神とされていた。
同じ新潟県内でも中越地方では、姫は片眼であったとの伝説もあるので、製鉄との関係もあったようだ。
製鉄には、真っ赤に灼熱して溶解した鉄を片目で覗きみるために、民俗例では製鉄民の神は片目と相場が決まっている。
アジアの竜神は、水と関係した稲作の神であったりもする。
奴奈川姫のご利益から察すると、奴奈川族は稲作や製鉄、織物にも関わっていたのかも知れない。
去年は「海のヒスイ・ロード」検証実験航海と銘打って、縄文時代のヒスイ伝播ルートを海から探訪した。
シーカヤックによる、新潟県内から青森県三内丸山遺跡までの830キロの航海だった。
春になったら、三つの黒姫山に登ってみたい。
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