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還ってきた「平成の大首飾り」・・・装身具の価値は不易流行

2021年12月05日 11時56分43秒 | ぬなかわヒスイ工房

2年前に松阪市立「松浦武四郎記念館」納品した「平成の大首飾り」が還ってきた。

納品時より丁寧な梱包に、松浦武四郎記念においての大首飾りの扱いに感激した。すべての梱包をほどく所要時間30分弱(笑)
 
 
記念館が老朽化のためにリニューアル工事となる機会に、展示をこれまでの平置きから誰でも見やすく立てて展示して、記念館の目玉として強調したいのだそうだ。
 
そこで問題が発生したのデス。
来館者が首にかけて記念写真を撮るイベントに備えて、玉類243点を繋げた絹糸を引っ張り強度にすぐれたPEラインに代替したのだが、繰り返し首に掛けているときつく結んでもポリエステルの糸では自重で滑って抜け落ちることが判明したのだ。
 
そこで常時たてて展示するので、糸が抜け落ちない工夫を依頼されたのですネ。色々と検討したが、やはり実物と同じ極太の絹糸で結束すべきだろうと結論した。
 
2年前は極太の絹糸をいくら探しても見つからなかったが、今回は西陣織り業者のサイトであっさり見つかったのが不思議。
 
それと実物は滑石の勾玉が20点ほど混ざっているのだけど、柔らかい素材ゆえに紐孔が自重で広がって勾玉が壊れかけていたので頑丈な蛇紋岩に代替したら、全体的に黒っぽい印象が強くなったのが心残りだった。
 
納品数か月後に滑石と色合いが似た石灰岩で作ればよかったナと気付き、いつか手元に還ってきたら石灰岩で作り変えたいものと考えていたのだ。その「いつか」が突然やってきた。
 
絹糸に交換する工賃はちゃんともらえる。蛇紋岩の勾玉20点を石灰岩で作り変えるのは、製作者の自尊心の問題だからサービス。
 
ざっと2週間の無給の仕事になるが、ここでやらないと一生後悔するから、やる。
 
これで「ヒトと大首飾りの物語」に新たな一項が加わる。装身具の価値は素材のみにあらず、目に見えないヒトとの物語にもあるのだ。私はこれを「装身具の不易流行」という。不易流行(ふえきりゅうこう)は松尾芭蕉の造語で、不変と変動は二つで一つという意味。わかるかなぁ???
 
前回は「平成の大首飾りプロジェクト」だったが、年号がかわった大改修で生まれ変わるのだから「令和の大首飾りプロジェクト」だ。
納期は来年1月中。
 
松浦武四郎記念館は5月連休前にリニューアルオープン予定。明日から「令和の大首飾りプロジェクト」スタート。
 
 
 

 



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