欧介は、ボールのレトリーブに全く興味の無い子でした。
追いかけて行っても、とりあえず破壊しておしまい!
その間は、お尻をあげて、尻尾をピンと立てて、ピピピピ・・・って速く振って、
前足で、オモチャを固定して、ちぎって破壊します。
ジャックラッセルのお仕事は、害獣駆除です。
この破壊行動は、ジャックのお仕事をしている状態と似ています。
先日、あるボーダーちゃんが、ディスクを持ってこないと相談されました。
確かに持ってこない。。。
でも、これって、この子に限ったことじゃないんですね。
ボーダーだからって、羊を追う訳じゃないし。。。
ただ、他の犬種より、追いやすい。
楽しそうに追って行くものだから、持って帰ってくるのが当たり前に思っている人も多い。
だけど、彼らの仕事は、追うことなんです。
追うことで満足の子は多いです。
逆にレトリバーは回収を目的に繁殖された子が多いので、持って帰ってくるのが得意だったりします。
でも、これって、環境や繁殖の過程にもよるので、すべてが持ってくるわけでもない。
では、なぜこの子が集中して追うのに、持ってこないか?
持ってくることに対して、きちんと教えていないって言うのが原因なんですが、
よーく見てると、きちんとキャッチできたときは、とりあえず持ってくる。
キャッチできなかった時には、少し離れたところでディスクをくわえて、
飼い主がしびれを切らして取りに来るのを待ってる。
そして、持って逃げる。または、投げてよ!って感じで放して、前方へ先走る。
飼い主さんも工夫をして、持ってこなかったらそっぽを向いてみたりするけど、
犬はあれっ?って感じでディスクを放って、飼い主の方へやってくる。
「なんだ、持ってきて無いじゃん!!持ってきて!!」となります。
蒼太のように、レトリーブをキチンと教えた子に対して、持ってこない場合、
「いけない!!」と叱ることで、ハッとして「ゴメンナサイ。持って行きます!!」ってなるけど、
この子の場合、ココで叱るのは逆効果です。
まず、教えてもらってないことに対して叱っても、何が何だか混乱する。
怒られるから持ってこなくなる。
この子、最初のうちは、まったく問題無く持ってきてたらしい。
ボールは今でも問題無く持ってくるらしい。
たぶん、飼い主さんがディスクを競技として考え出した頃から持ってこなくなったんじゃないかな?
ディスクは、キャッチして持って帰ってきて、はじめて競技として成り立つ。
キャッチできないと、なんとなく「あぁ。。」って落胆する。
その気持ちを犬が感じてしまう場面が何度かあったんじゃないかな?
犬は、キャッチできなかったのはいけないことなんだと知ってしまった。
持って戻ると、微妙な距離(2mくらい手前)でディスクをカミカミしながら、飼い主を見ている。
その状態に、右往左往する飼い主の様子を見ているのだ。
まるで、子どもが悪いことをしたときに、他の所作をして気を紛らすかのようです。
飼い主さんは、キャッチできて、持ってきたときはと言うと、
散々持ってこなかったのに、「今更持ってきてもね。。。」って
気持ちがどこかにある感じで、心から褒められない。
今、この子の気持ちは微妙なところ。
自信を失ってる状態と、右往左往する飼い主さんをちょっと面白がってる状態と。。。
問題は、最初が苦労しなかった分、きちんと教えずに来れてしまった。。。
前はできてたのに、「何で?」って思わないことです。
まずは、犬種特性から、追うのは得意だけど持って帰ってくるのは
ちょっぴり苦手な犬だと言うことを理解したうえで、
だからこそ、「持って帰ってくる」って、すごいことなんだ~って素直に喜んであげること。
キャッチ率は、このゲームのルールを犬が楽しめるようになってきたら、
自然と速く持って帰りたい、捕えたい、集中、って高まってくるはず。
キャッチできなかった時は、「大丈夫!大丈夫!早く持っておいで。」
って余裕の気持ちで迎えてあげられると、きっと変わってくると思います。
すべてが、犬種特有の行動と思って、期待したり、対処することは間違っているけど、
頭の隅に、もしかしたら?って思いながら、
その子に合った対処法を見つけてあげることが大切かなって、思います。