山梨の叔母が桃を送ってくれた。
山梨は祖母の育った場所だ。
もともと祖母は八ヶ岳の甲斐大泉の出身だったらしい。
父親は校長先生をしてた立派な人だったそう。
その父が亡くなってまだ若かった母親が神戸で再婚し、
祖母は弟とともに山梨の都留の家に引き取られた。
そんな生い立ちからか、なかなか気の強い独立心の強い人だった。
祖母が幼い頃は「ハイカラさん」のように
長い髪を大きなリボンで留めていたらしい。
リボンは、祖母を捨てた母から送られてくるものだった。
私の知ってる祖母はいつもショートカットだった。
祖母が「幼い頃の反発だ」と言っていたことがあった。
でも機織り屋の養女だったからか、いつもおしゃれな着物を着てた。
華やかではないけど、粋な感じだった。
そのセンスは私に強い影響を与えていると思う。
その都留に残って結婚した叔母が、毎年実家に送ってくれていた桃。
今は私と妹のところへ送ってくれる。
祖母や父を想って送ってくれる桃を食べながら、私は父と母を思う。