とら母(嫁)の乗る電動アシスト自転車の後輪がパンクしてそれを修理する際にやってしまった"どんくさい"作業の話を少し書きます。
笑ってもらえればガレージワーク冥利に尽きます。
パンク修理の道具を用意して自転車のもとへ。
ぺちゃんこに凹んだタイヤ。
溝はまだ残っていて一見したところパンク修理したらまだ使えそう。
でもよく見たらサイドウォールの全周に渡ってヒビが入っていてこれでは修理するレベルではなく交換が必要。
このタイヤ、実は2年程前に一度交換しています。
自転車のタイヤって忘れるくらい換えない印象があったので寿命ってちょっと早くないかい?って思ってしまいました。
おまけにタイヤを外してチューブを取り出すとタイヤの内側には大量のゴムのカスが残ってました。
カスはチューブが擦れてできた残骸でチューブは全体的に摩耗してて、薄くなった所から空気が抜けていました。
アシスト自転車のタイヤは普通のママチャリ用と違うものが用意されています。
自転車自身も重いですし、子供を乗せることもあります。その上でモーターでグイグイ駆動力を掛けるので普通のタイヤより丈夫なヤツがはめられています。
値段も普通のやつが1000円もあれば買えるのにアシスト自転車用は3000円くらいして高いです。
前回交換するときに撮った写真を見たらIRC製でした。(撮影:2019年3月3日)
改めてパッケージを眺めたら「肉厚1.20mm」ってのがあって、これって小数点以下二桁までの表示はいらんかと思ったりしました。
モバイルバッテリーの容量表記の"数万ミリA/h"ってのを見ると「ミリ」をやめて普通に"A/h"でええやんと思うのと近いものがあります。
そんなことで"凄さ"を示すって、なんだかなって世界です。
チューブが擦れて薄くなる原因の一つが空気圧の不足。
チューブにちゃんと空気が入ってるとタイヤに張り付いて一体になってくれますが、空気圧が足りないとタイヤが遊んでしまい摩耗が起きてしまいます。
昔、タイヤの中でチューブが引っ張られて中で折り返されているのを見たことがあるのですが、チューブはバルブの部分がリムに刺さって動かないので、
そこを起点に延びる方と縮まる方があって、引っ張られた方がよく切れなかったなと思ったものです。
とら母には空気が抜けてないかを普段から見るようにって言っていますが、面倒なのが嫌いなのとあまり気にしない性格なので、よく空気圧が足りないのを見かけます。
そもそもタイヤを指で押して凹み具合で見るしかないので管理にも限界があります。
一応空気入れ用にレギュレータの付いたエアー配管を用意しているのですが、後述しますがこのチューブのバルブ形式は圧力を測れないので、どうしても適当になりがちに思えます。
自転車がないと困るので、その日は取り敢えず大きめのパッチを貼って応急修理し、新しいタイヤの手配をしました。
数日後・・・・タイヤを見たらまた空気が抜けていました。
タイヤが届いたのでガレージに自転車を持ってきて修理することにしました。
バイクと違ってタイヤを外すとなるとスタンドも外れるので、何らかの方法で車体を持ち上げておかなくてはなりません。
自転車用のメンテナンススタンドってのもあって、Amazonでよく売っている一万円ほどのものはどちらかと言えば軽いロードバイク用。
重いアシスト自転車用は4~5万円ほどして高いです。
逆さにして修理する人もいますが、できたらちゃんとしたいので、それは追々考えるとして今回は天井からラッシングベルトで吊って作業することにしました。
前回はIRC製だったので今回はブリヂストン製にしてみました。
それと空気圧がちゃんと測れるように英式バルブから米式バルブに変換できるアダプターも用意しました。
前輪のタイヤ交換は外すものが少ないので楽ちんですが、後輪はまずチェーンやらブレーキがあって分解するのが面倒です。
反対側です。
内装3段の変速が付いているのでハブボルトの中心の穴に変速用の棒が刺さっていて、これをテコの原理で押し込む機構とそれを動かすワイヤーが付いています。
で今回"やらかした"のがこのワイヤーでした。
午後3時くらいから始めた作業。
準備してボチボチ作業して30分くらいで後輪を外しました。ここまで順調。
改めてタイヤを確認。ヒビがひどいです。
Amazonのレビューで悪い評価に同じような状況の写真がありました。
使う方の使い方の問題か、はたまた品質なのか・・・・。
もしかして、とら母が異常に重いのか過酷なライディングをしていたかも。
うちは普段、家の中で保管しているので紫外線劣化は僅か。
う~ん、それにしてもやっぱりゴムの品質が悪いようにしか見えないです。メーカーの人が見てたら是非教えてください。
リムテープ(リムバンド)も換えときました。
これって引っ張って貼ると後々縮んでしまうので、そっと巻いてます。
ブリヂストン E-マイティーロード
チューブ付きで3615円でした。
小さくたためないので大きな段ボールで来たのですが、あまりに大きな箱だったので最初何が届いたのか分かりませんでした。
用心して組んでもバルブが写真のように斜めってる場合があります。
そんなときはタイヤをグリグリ動かして、まっすぐにしてあげます。たぶんその方がチューブには優しいと思います。
優しいオッサンなのできっとそのうちステキな女性の方からメッセージが来るんじゃないか・・・なんてことを日々妄想しております。
初めてパンク修理したのが小学生の頃だったと思います。
パンク修理のはずがタイヤをはめる際にタイヤレバーでチューブを挟み込んでしまい、余計にパンクさせたもんです。
空気を軽く入れてタイヤを揉んでチューブをなじませてから規定の圧まで空気を入れます。
6時前。
後輪をはめてチェーンの調整をして、アライメント調整はクランク軸からハブボルトまでの長さを合わせました。
ここまで順調・・・・。
そう言えばリアのローラーブレーキの鳴き防止グリスがあったので塗布することにしました。
ブレーキにグリスを注すって変な感じですが、ローラーブレーキが鳴いたり、ブレーキが急に掛かったりするのを防ぐグリスです。
見た感じモリブデングリス。適度に滑らすのでしょうか。グリス切れしたときの『ギィ~~』って音はすごいです。
説明書には車輪を外す必要はありませんと書かれていますが、フレームのエンドの形状が大きくてグリスを注す穴が塞がってしまっていてそのままでは刺さりませんでした。
面倒でしたが外して注しました。
"12mm以上差し込め"とあったのでグイグイ押し込んでやりました。
ちょっと作業が戻りましたが、それでもまあ順調。
チェーンの張りの調整ですが電動アシスト自転車のチェーンってテンショナーが付いていて、普通の調整とちょっと違います。
メーカーによって基準は違いますが目印があってそれに入るように調整するようになっています。
この自転車の場合はネジの頭の中心がドライブユニットカバーの突起の間にあればOKとのことでした。
6時半。
グリスも注し終えて後輪を再び組み直して、チェーン調整とアライメント調整しハブナットを本締めまで完了。
日曜の夕方、割と早い作業終了しそうな雰囲気に気持ちも上々。
最後に変速用のワイヤーをセットしたら本日の作業終了・・・のはずが
・・・はずか
・・・はずなのに・・・
あれ? 変速用のワイヤーの先っちょが見当たりませんでした。
ここから始まる修理物語の第2部。
よく見たらスタンドとフレームの間に挟まったままハブボルトを締め込んでいました。
すぐにハブボルトを緩めてワイヤーを取ったのですが、時すでに遅し。
ワイヤーの先っちょのタイコの部分がつぶれてました。 ・・・悲し。
潰れたままでは調整用ボルトの穴に通らないので、ペンチで挟んで形を整えてたらタイコが崩壊してきてジ・エンド。
Amazonで変速ワイヤーが売ってるかすぐに調べました。
長さが3種類くらいあって400円くらいで売っていました。
長さを調べて注文しようかと思ったのですが、なぜか分かりませんが明日にまで修理を持ち越す気持ちになれず、今日中にケリを付けたい気持ちが沸々と湧いてきました。
小学生の頃、雑誌に自転車のワイヤーのタイコって自分でハンダ付けして作った話が載っていて、なんとなくタイコは作るものだというイメージがあって、
それが作って直すという気持ちにさせた理由の一つなのかもしれません。
で、タイコは真鍮製。
そういえば真鍮の棒材があったなあと・・・・材料のストックを思い出す。
モノ作りする人間にとって材料の在庫は"命"。
タイコの直径と長さ、ワイヤーの太さを測って・・・・
端面切削してセンターもみしてワイヤーよりもコンマ2mmくらい太いキリで先ずは穴あけ。
たしか1.6mmのキリだったと思います。持っててよかった細いドリルのキリ。
こんな順番で良かったのかと思いながらの作業。
持っててよかった旋盤。
機械もモノ作りしている人間にとって"命"。
待ってて良かった材料と道具。
どんどん外径削っていきますがもっと細く削らないといけなくてセンター押しではこれ以上無理。
掴み直してさらに外径削っていきます。
細いので気を遣うなあ。
削りすぎるとやり直し。こんな時のやり直しはダメージ大。
突っ切りで所定の長さにカット。
最後にコロッと落とさないようと思ってたら、案の定落としました。
切粉の中から救出。
取り敢えず出来たのがコレ。ちゃんと面取りしてます。
歳食って小さな部品を摘まむのも下手になりました。 嗚呼悲し。
この時点で夜8時。
一旦作業は中断し風呂に入って晩御飯タイム。家族そろってのご飯は大事。
夜11時過ぎ、試合再開。
作ったタイコをワイヤーにセットして様子を見て微調整。
ワイヤーの太さに対してコンマ2mmは細すぎ、長さももっと詰めないとだめ。
再び旋盤にセットして穴を大きくして、端面はハンダが盛れるように皿もみ。
穴径は2mmくらいだったかな。
タイコにワイヤーをハンダ付けする際に必ずワイヤーの先端を広げて抜けないようにしなければなりません。
ハンダ付けを大きな電気コテでするかバーナーでするか。
で、手っ取り早いバーナーにしましたがモノが小さいのであっという間に熱が入りました。
持っててよかったステンレス用ハンダとフラックス。
モノ作りするものにとって材料は"命"って、何度もうるさいって?
ハンダ付けした直後。
この時点でめでたく午前0時を回りました。
はい、今日は月曜なので会社にいかないとなりません。
とっとと片付けて寝たいです。
はみ出したワイヤーや余計なハンダを削って成形? 整形?
ハンダの厚み分で調整ネジにタイコが通らなかったので更に削って調整。
真鍮の素地が見えるくらいで調整ネジに入りました。相変わらず公差きつめで作る癖があるので余裕がありません。
調整ネジにタイコが通ったのでワイヤーをセット。
変速ワイヤーの調整は2速にした状態で基準線がハブボルトの端面に合うように調整ネジを回して合わせます。
で、これを調整したら本日の作業はお終い・・・・
・・・・お終いって
・・・おい
・・・・基準線に合わへんやん。
調整ボルトの分だけ少し余裕があると思っていたのですが、潰れたタイコを取るのにワイヤーを切ったら想定外に短くなってしまったようでした。
このままでは2速は問題ないですが3速に入らない不具合が出てしまいます。
時刻は0時45分。あ~あって感じ。
さてどうするか。
変速する機構の部分を削るかしてごまかせないか見ましたが無理。
そもそもそんな修理してるようじゃダメ。
タイコをいったん外して小さいものに換えて・・・。そんなレベルじゃない長さ。
あ~、やっぱりAmazonでワイヤー買っとけばよかったと思ったかなと、一瞬迷いが生じるがとにかく今日中にケリをつける。
ない頭で考える。
ワイヤー自身には余裕があって、でも有効長が足りない。(有効長って言葉が正しいのか分かりませんがそこんとこはお許しください)
で、有効長ってインナーワイヤーとアウターの長さによって決まる。
インナーワイヤーはタイコを付けた芯線でアウターは外側の黒い部分。
じゃあ、アウターを短くして有効長を伸ばせばOKってことか?!
ちょっと小さな明かりが見えた気がした。
でもどうやってアウターをカットするか。
一旦タイコを外してインナーワイヤーを抜き取ってからアウターを切るのが正しいやり方かもしれないけど、それじゃあ手間が掛かりすぎ。第一せっかく付けたのに
外すのって面倒。
現状のままインナーワイヤーを傷付けずにアウターだけ奇麗にカットするには・・・
またない頭で考える。
パイプカッターで切ることを思いついた。ステンレス用のカッターなので切れるかも。
良い感じ・・・・
固くなったぞ。これは今アウターの素線のピアノ線を切ってるに違いない。
ン? なんか違うぞ。
よく見たらアウターが細くてパイプカッターが限界に来てて刃が届いてませんでした。
結局切れたのは黒い外側の保護被覆だけでした。
さてどうするか。
ピアノ線なので傷を入れたら折れるかも?
固いピアノ線なのでダイヤモンドヤスリでちょっと傷をいれてやって、折り曲げたら・・・・折れてくれました。
どんどん傷をいれて折ってやりました。楽し!!
ピアノ線が全部なくなって残るはインナーのテフロン保護材のみ。あと少し。
インナーワイヤーを傷つけないようにカッターナイフでテフロン保護材をカット。
末端のキャップを被せたら出来上がり。
全長は少し短くなったけど有効長は規定通りになりました。
変速機構の所にワイヤーをセットしてワイヤー調整実施。
2速で基準線に合わすことができました。これで3速も問題なく入ってくれます。
最後にタイヤのバルブに米式バルブに変換できるアダプターを取り付け。
ママチャリとかについているバルブは英式といわれるもので、いわゆる虫ゴムを付けるヤツ。
これって構造上正しく空気圧を測ることができません。
米式バルブってのはオートバイや車のバルブと同じで虫の部分を押すと"プシュー"って空気が抜けるヤツ。
これはちゃんとバルブがあるので空気も入りやすく、空気圧も測れます。
なぜ今だに英式バルブなのかは分かりませんが、とりあえず空気圧管理がしやすいように今回変換アダプターを付けることにしたわけです。
アダプターが付くのでちょっと不細工ですが、いつも使っている空気入れが使えます。
午前2時過ぎ。作業を終えました。
ちょっと日をまたぎましたが何とか今日中にケリをつけることができました。
変速ワイヤーの修理は半ば意地になって修理しましたが、冷静に考えると、とら母ってめんどくさがりで変速とかしない人。
変速ワイヤーをいじったのでしばらく様子見をしてくれって言ったのですが、私の間違いでした。
とら母に変速とかするか?って聞いたら首を横に振られてしまいました。
残念。
誰かステキな女性に優しい声を掛けてもらいたいです。
そんじゃまた。