作業日は二日後とあった。
工事の案内って何でも割と早めに来るのにメーター交換は余裕が無いなあとと思ったら、
『交換に際し停電はありません』と書いてあって、普段の生活のままで大丈夫ということで、おそらく案内程度の意味合いかもしれない。
作業日当日、出勤時と重なったのでちょっと作業を見させてもらった。
停電させないと言うことは電気が来たままの作業。
いわゆる『活線作業』というやつ。
普通に企業なら安全を優先して活線作業なんてやらせてもらえない。
それどころかカッターナイフも使用禁止の職場も多くて、どうかと思ってしまう。
『モノ作り大国日本』もいつまで続くことやら。
新しいメーターはスマートメーター。
専用の通信ケーブルなんて無くて電力線そのものに通信信号を重畳させて電気の使用量や漏電などをモニタリングしたり、
遠隔で電気を止めたり出来る電力会社にとって便利なメーター。
検針員が不要になるから検針のおばちゃんの職を奪うからと問題になってるって話もある。
その話を友人に話したら『うちはスマートメーターやけど検針に来て伝票を置いて行ってで』って言ってた。
親父が電気屋で高校を電気科、大学も電気工学科を出してもらったけど、電気のビリビリが怖くて電気屋になりたくないってずっと思ってた。
なので活線作業ってちょっと興味がある。
どうやって停電させずにメーターを交換するのかと見ていたら、ちゃんとバイパスさせる専用ケーブルがあって、危なっかしい作業ではなかった。
今回交換したのは低圧電力と言われる三相200Vの方で、知らない間に電灯の方は既にスマートメーターになっていた。
とら母(嫁)から、関電の『はぴeみる電』というサイトで日々の電力量を見ることが出来ると教えてもらった。
こんなの見たら消費電力のことが気になってしまって、そそくさとエアコンの温度設定を下げてしまった愚かな自分。
LEDに換えたガレージの照明の消費電流も測ってみた。
直管式40W型(120センチ)が4本で0.8A。
台所は昔ながらの安定器がついた20W4灯の蛍光灯で、これが1.2Aくらい。
単純計算で2倍の明るさで電気代2/3。
すぐにAmazonで器具一体式の40W型LEDを注文してしまった。これまた愚かな自分。
時を同じくして、休眠していた電気温水器を使わなければならなくなった。
いまどきのエコキュートとかと違って夜中にお湯を湧かして貯めておく大きなタンクの温水器。
電気契約は深夜電力というやつ。
『はぴeみる電』を見ていたときについでに調べてみたら、
『4月1日から電力自由化に伴い新規の申し込みを3月31日で終了します』って書いてあった。
エッ?!って感じ。
『新しい料金プランは現在準備しておりますので追ってご案内いたします』って、これまたエッ?!って感じ。
じゃあ新しい料金プランはどんななの?
従来の深夜電力は専用の電気メーターと夜間だけ通電させるためのタイムスイッチが組み合わさった専用回路になっている。
それが今はスマートメーターになって、電気の使用状態も時間で把握できるので深夜電力用の回路が不要。
料金プランを見ると『はぴeタイム』や『時間帯別電灯』てのがそれみたいで、夜間は深夜電力と同じ安いけど、逆に昼間の料金は割高になっている。
この先の料金プランがどうなるか不透明だけど、とりあえず現時点では昼間の電気料金が高くなるので、深夜電力を追加契約する方が良いと思った。
締め切り間近。幸い3月末までに申し込みが受理されればOKとのことだたったので、慌てて申し込みを手配した。
電気工事のために材料を調達しようとしたけど、これがさっぱり勝手が分からない。
照明器具やコンセントを増設するのと違って引き込みからの工事はあまりに知識がなさ過ぎる。
たとえば電気のメーターを入れるボックス。昔からあるねずみ色したボックスは昔は電力会社から貸与してくれたけど今はなく、
自分で用意しなければならない。
でもカタログを見たら30A用とか120A用があってどちらか分からない。
業界用語である『呼び』的な表現なので契約容量とは違うのでこれまた迷う。
自分ちのメーターがメーター何アンペアなのか知っている人は少ないと思う。
容量によってボックスの大きさ違うし深夜電力ともなると単相2線なのでこれまた大きさが違う。
カタログには東京電力向けとか、
『中部電力(株)管内の120A電力量計、関西電力(株)のは取付けできません。』とかかいてある。
関西電力の『家庭用低圧10時間帯計器』って何?って感じ。今もハッキリ分かっていない。
メーターボックスのカタログを見てたら『 雨線外では耐候型のWHMを選定してください。』と書いてあった。
『雨線外』が先ず何か分からない。
調べたら“ひさし”などで雨が遮られない場所ということらしく、うちはこれに該当する。
なので『WHM』を選択しなければならない。
カタログを見て『WHM』型のメーターボックスを探したけど、そんな型番が付いたメーターボックスが無い。
悩んだ時は聞くしかない、ということでメーカーに電話した。
『すみません、WHMっていう型式のメーターボックスが見つからないのですが』
反ってきた返事は
『関電に申し込む際に耐候型の電気メーターを選んでください』だった。
ようするに“WHM”とはボックスの仕様ではなく単にメーターの略称ってことだった。
(たぶんWatt Mater Hourの略称だと思う)。
電気のメーターなんてみんな外に設置しているから屋外用とばかり思っていたら、屋内用もあるって初めて知った。
業界じゃあ当たり前のこと。素人が手を出しちゃダメっていう、いい見本みたいな話。
何となく分かって来た(と思った)。
タイムスイッチと電気のメーターが一緒に収められる単相二線の2個用の電気メーターボックスを探した。
こんなヤツ。
でも心配になって念のため関電に電話してみた。
反ってきた返事は
『深夜電力のメーターもスマートメーターになってタイマーも入っているのでメーターは1個です。』だって。
二個用を買わなくて良かった。
電線も高いので不必要に買うわけにもいかず、必要な長さを測ってネットで注文したりして泣きそうになりながら何とか材料をそろえれた。
幼なじみが気を利かせて竣工日に余裕を見てくれてたから助かった。
屋外は紫外線のさらされるのでCVTと言うケーブルを選んだ。
専門家に突っ込まれそうなので付け加えると、CVTの“T”はトリプレックス(3本撚り)、実際は単相二線なのでCVD
(“D”はデュプレックス(2本撚り)でいいのだけど、必要なケーブル太さでCVDがないのでCVTの2本を使用した。
屋内はSV線。VVR線ともいわれてよく電気工事に使われる平べったいVVFの丸いバージョン。
届いたケーブルを見た娘が『アンパンマン』って頻りに話しかけてきた。
丸い顔したアンパンマン。
最近お絵かきをしてて丸く線を閉じる事が出来るようになって、丸というのに興味が出てきたからかなと思った。
昔、幼稚園の先生をしている子から教えてもらった話で、こういった線を閉じることができたり、グチャグチャな形でも
目や口を書けると言うことは、それを認識できるようになったとこうことで、子供ながらに成長している証拠と教えてくれた。
それを思い出したので段ボールを挟み込んでアンパンマンを書いてみた。
娘がかわいいと思ってしまう親バカな自分。
本当にこれで良いのか今でも分からない。
関電が来てこれではダメですって言われたらどうしよう。
既設の分電盤の場所が悪くてガレージのレイアウトの邪魔になるので将来的には他に移動させたいと思っている。
そんな話を幼なじみにしたら、そういったこともあって電気を引き込んだすぐに盤を設置してブレーカーを着けてたら
後々便利だよって教えてくれた。
なのでガレージの隅っこに盤を新たに設置して、まずは深夜電力用のブレーカーは取り付ける事にした。
家の倉庫にずっとあった分電盤。
おそらく30年は経過している。
段ボール箱はカッサカサに乾いて、触れば崩れていくって感じだった。
新品なので中身は綺麗だった。
親父が現役だった頃に仕入れた在庫品。
まだ有るから困ったものだ。
作業してると娘が『おじゃまします~』ってかんじで忍び寄ってくる。
ハンマーを使ってたら自分もハンマーを探してきては横で叩かせろってせがんでくる。
今しかこんな事言ってくれないだろう。
反対に寅次郎は邪魔しないようにとそそくさと退散していく。
普段、外を見るお気に入りの場所だけに申し訳ない。
穴があるとボルトを差し込みたがって、差し込んだらドライバーで回したくなる。
六角穴付きボルトにプラスドライバー。
合わないけど子供にはそんなの関係なくて、ドライバーをクルクル回して満足している。
盤に穴をあけようとポンチを打っていたら、自分もやりたい言う。
ハンマーを叩かせたら嬉しそうにしていた。
将来のために先に穴だけあけておいた。
ホールソーも親父が使っていたヤツ。
道具好きで良かったとつくづく思う。
分電盤なんてガレージにとって邪魔な存在なので、出来るだけ邪魔にならないよう隅っこに付けようと、ホイストアームの支柱も
端に寄せることにした。
そのまま、さっさと分電盤を付ければいいのに、こんなことしてるから作業がはかどらないと自分でもつくづく思う。
ホイストアームの支柱を10センチほどずらして分電盤を取り付けた。
わざわざ支柱をずらした御利益なんてほとんど無い。
単なる自己満足。
死んだ親父もそんなんだった。
またやって来た。
はしごが有ると登りたがる。
公園の遊具みたいに思っている。
そんな娘も来週から幼稚生になる。
幼稚園の体操着を試着したのを見せに来た。
小さいうちはよそに預けず家に一緒にいるのがいいと思ってる。
ずっと家にいた娘が初めて外の世界に飛び込む。
公園に行ってても見知らぬ子供とでも遊びたがっていたので、すごく楽しみにしている。
月曜日が入園式です。
メーターボックスの取り付けとケーブルの引き込みまでは終わった。
まだ屋内配線とブレーカー取り付けなどが残っている。
電気屋さんなら一日か、ひょっとして半日仕事なのかもしれない。
貧乏暇無し。
やることまだまだ沢山あっておわらない。
続きはまた次回。
再び
哀愁の寅次郎。
ではまた