いつものことながら更新が遅くてすみません.
熊野古道の旅日記の続きです.
その昔,本宮,新宮,那智の熊野三山への信仰が高まり,上皇・貴族から庶民にいたるまで
いろんな人がこの地を訪れた.
ここに来るまでの道は今でも国道でさえ携帯電話が圏外となることが多い.
深い山々が続くこの地を,当時の人々が苦労をして参詣したと思うと感慨深いものがあります.
さて,渡瀬温泉のキャンプ場を後にした私たちは出発地点の熊野本宮大社に向かうのですが
ついでなので川湯温泉がどんなとこなのか寄り道してみました.
車で走ること5分.
河原に「仙人風呂」と大きく書かれた看板が目に留まる.
川沿いの道は少しあわただしい人の動きがある.
温泉に入りに来ている雰囲気とは少し違う.
報道用のカメラが数台待機し,お神酒を持った人が温泉に歩いていく.
どうやら今日(11月1日)は仙人風呂の風呂開きで,これから開湯式が行われるところだった.
車を少し走らせ熊野本宮大社の駐車場に到着.
熊野川の川幅の広さがすごい.
熊野本宮大社
参詣道なので熊野本宮大社を目指し歩くのが一般的なルートみたい.
勉強不足な私たちは熊野大社を出発し「中辺路」(なかへち)と呼ばれるコースを7キロほど歩きます.
恥かしながらこの看板を見て「鳥居」が俗界と神域の境である「結界」ということを知った.
参道の中央(正中)は神様の通り道・・・・.
人は端を歩かなければならない・・・・.
あまり人から教わることのない神事の作法やしきたり.
知らなければ知らないで済むことなのかも知れないけど,何事もちゃんとしたことを知ることは
大切だと思う.
作法に従い右端を歩いて上る.
この神門をくぐると霊験あらたかな熊野本宮大社のご神殿がある.
看板にご神殿は撮影禁止と書かれている.犬も連れて入れない.
寅次郎を門の脇につなぎ神門をくぐる.
何ともいえぬ重厚さを感じさせられるご神殿だった.
写真を掲載できないのが残念なほど.
本宮大社の脇を抜けると,まっすぐ伸びる杉や檜の間を抜ける小道に通ずる.
多少のアップダウンはあるものの,つらいと思うほどでもなく,寅次郎は相変わらず元気に
歩き回っている.
木々の間を抜ける山道は歩いていても楽しく,こんな道を歩いてみたかったと思うほど
すばらしい道である.
一時間半ほど歩くと「伏拝王子跡」(ふしおがみおうじあと)に着く.
「伏拝」・・・当時,参詣者がここまで来て初めて遠くに熊野本宮大社が見え,そのありがたさに
ひれ伏して拝んだ場所だったところから名づけられた.
朝は快晴だったのに小雨が降り出してきた.
熊野は関西でも有数の豪雨地帯.年中雨が降っているといっていいほど.
ちょうど休憩所があったので一休みすることにした.
地元の婦人会のおばちゃんたちが入れてくれる温泉コーヒーが一杯2百円というので飲んでみる.
これがまたあっさりしていて意外とおいしい.
今日のゴールである「発心門王子」(ほっしんもんおうじ)まではここから4キロほど.
雨はこれから激しくなるみたい.
傘も雨合羽も持ってきてないため,先に進むか熊野本宮大社に戻るかを悩む.
せっかくここまで来て,戻るのが惜しい気がしてならない.
かといって歩ききると,もと来た7キロの道を戻らなければならない.
悩んでいると発心門王子から熊野本宮大社行きのバスがあると婦人会のおばちゃんが
教えてくれた.
最終が1時間後に出るという.
発心門王子までは約1時間.
ぎりぎりで間に合いそうなので先に進むことにした.
少し歩くと舗装された道にでる.
熊野古道もこのあたりはここに住む人たちの生活道路になっている.
ところどころに無人の販売所があり名産品の梅干が売っている.
玄関先におじいさんが座っていると思ったら人形だった.
人形をマジマジと見ていたら,いきなり動き出してびっくり.
よく見る後ろに湧き水がたまるようになっていて,その重みでロープが引かれ老夫婦の手が上がり,
ふくろうやカラスの羽が広がる「からくり人形」になっていた.
札に「仲良き事は美しきかな」と書かれてある.
訪れる人たちを和ましてくれる.
作った人に「敬礼」である.
目的地の「発心門王子」まであと少し.
幸いにも雨足は弱く,木々の下を歩くと葉っぱが傘の代わりをしてくれる.
歩き始めてちょうど3時間.目的地の「発心門王子」に到着.
参拝を済ませるとバスがやってきた.
寅次郎がバスに乗れないのでここからは私だけがバスに乗り,軽トラックが置いてある
熊野本宮大社に戻る.
トラ母と寅次郎はここでお留守番.
雨足が少し強くなってきた.
20分ほどバスに揺られ熊野本宮大社に着く.
土砂降りの雨.
傘が無いので河原の駐車場までどうやっていこうかと悩むくらいに降っている.
止みそうにもないので走って軽トラックに戻り,車を走らせる.
山を登っていくと雨足は幾分弱くなっているがそれでも結構降っている.
バス停が見えてきた.
濡れているかと心配になったが,バス停の後ろの巨木が大きな傘になってくれていた.
道の駅で食事を済ませ,温泉に入ってから帰ることにする.
さてどこの温泉に行こうかとトラ母と相談.
湯の峰温泉にはまだ足を運んでいなかったので行ってみる.
ひっそりとした温泉街.
最古の温泉といわれ世界遺産にも登録されている.
つぼ湯と公衆浴場があるが体を洗いたいので公衆浴場に入る.
公衆浴場といっても源泉が熱いので加水している掛け流しの湯.
いいお湯でした.
さて,長々とした旅日記になってしまいましたが,平安時代の人達がいろんな思いをしながら
歩いてきた「熊野古道」は,ひっそりとした山道で非常に趣があり,歩くには本当に
素晴らしいところでした.
また機会があれば他の古道を歩いてみたいです.
それではまた.