オクテック ガレージ ブログ OKU-TEC garage

大した人生ではないけれど,それでも読み返せば思い出されるあのときのこと.消えないように,そして生きた証になるように

静かな切断を求めて 古い中古の新ダイワ(SB120-2)のバンドソー ジンギスカンが聞こえる静かな切断

2011-11-28 01:35:36 | 工具・工作機械のメンテナンス
1.5諭吉円(ツェーマンゲーセン)で買った古い新ダイワのバンドソー.

面倒くさくなるので最初のうちにメンテナンスをしようと点検しているうちに色々と気になる
ところが見えてきます.

まあ,切れれば良いかと思ったものの,「目の上のこぶ」のように気になる気持ちが大きくなります.

「欲張りと深追いは禁物」
自分に言い聞かせ手直しが絶対に必要なところだけをいじることにします.

先ず「エーモン」のスイッチが付いていたボロボロのスイッチパネルです.




これはアルミ板でパネルを作り直しし,スイッチも一般的なAC用トグルスイッチと交換します.




ケーブルもメンテナンスしやすいように引き延ばしてコネクターにしておきます.





段減りしたノコ刃のガイドローラー




段減りするのはノコ刃が当たるからで,ノコ刃にとってもあまり良いことではなさそうなので
優しく接するようにゴムを巻きます.

手持ちにあった天然ゴムのシート材をガイドローラーの幅と周長に合わせて切断.
端部は剥がれにくいように斜め切りしています.




ゴム系のボンドで接着.
これで様子を見てみます.




構造が簡単なので,ヒンジの部分も分解してみました.
シャフトには磨耗しないように樹脂のブッシュがはいっています.




怪しい電源プラグ.
分解したところ,やっぱり切れ掛かっていました.お~怖.





とりあえず,これで何とか使えるようになったのですが,ペンチでグリグリやられたシャフト(軸)が
どうも気になってしかたがありません.

いつかまた暇が出来たら直そう・・・そう言い聞かせては見たものの




やっぱり我慢できません.

溶接で肉盛して修復することにしました.




鍛造品は溶接をしても,あまりうまく溶けてくれません.




シャフトが偏芯しているため旋盤にクランプするのが難しいのでチャックできるように治具を作ります.

適当な材料が無かったので10mm厚のアルミ板を使います.
中央に軸をクランプ出来るように穴を開けてから,コンターマシンで切断します.




三爪のスクロールチャックにチャックするため3分割に切断しました.





これに肉盛溶接したシャフトを入れて旋盤にチャックします.



溶加棒にSUS用をもちいたのですが,どうも焼きが入ったようで,すごく硬いため慎重に切削
していきます.

それとアルミで作ったチャッキング治具は軟らかくてよろしくありませんでした.





レバーも無かったので作ります.
テーパー状にした軸部とレバー部はアルミです.
軟らかいアルミなので軸部のセットビス(イモネジ)用のネジにはヘリサートを入れておきます.




ヘンテコな角度にならないようにバイスで固定して溶接します.




何年も前に買っていた吸盤式のバイスを今回初めて使ったのですが,小物の溶接には結構便利でした.




出来上がったシャフトとレバーです.




他にもこまごまとした箇所をやり直しとりあえず完成です.
本体はアルミなので錆がでないので塗装はこのまま使うことにしました.




さて切断時の騒音ですが,ビビリ音も無くシャラシャラ言いながら切断してくれるので非常に
静かで,これなら夜間でも使えそうです.


今まで使っていた高速カッターの騒音と比較したものを動画にしてみました.

カメラには音声レベルを一定に保つALC(オートレベルコントロール)が付いているため
切断音は一定になりがちなので,ガレージに流れるBGMの音楽が聞こえるかどうかで比較して
みてください.(一般の人にはあまり関係ない比較ですみません.)

ちなみにBGMはジンギスカンが食べたくなったので懐かしの
「ジンギスカン(Dschinghis Khan )」にしてみました.




ではまた.


静かな切断を求めて 古い中古の新ダイワ(SB120-2)のバンドソー 掃除と点検

2011-11-18 01:01:22 | 工具・工作機械のメンテナンス
先日,中古の古いバンドソーを購入しました.

それにまつわるお話です.

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モノ作りは材料を切り出すことから始まります.

金属でも木材でも切るという作業は意外と面倒なもので,思い通りに切れないと何かを作ろうという
気にはならないほど大切なものだったりします.

鉄を切る電動工具としてメジャーなのが「高速カッター」です.




割と安価なので工作好きの家には必ずと言って良いほど一台は有ります.

手ごろでいいのですがこれが結構うるさいです.
切る音もうるさいですがモーターの音もかなりのもの.

うるさい理由は,この手のモーターには「整流子モーター」というモーターが使われていて,回転する
整流子とブラシが接触するため音が出るようです.

同じモーターでも扇風機は静かですが掃除機がうるさいのは掃除機はそのモーターだからです.


「楽に綺麗に早く」作業ができる電動工具.
次に求めるとすればやっぱり「静かさ」だと私は思います.

休日の作業が多いですが,それでも夜になったり,平日でも帰宅後に作業したい時が多々あります.
でも高速カッターは騒音が激しく近所迷惑で回すことができません.
防音室が欲しかったり人里離れた所に引っ越したいと何度も思ったりします.

そんな思いをしながら作業する日々.
以前からバンドソー(帯ノコ)が静かという話を聞いていたのですが中古でも人気商品で6万も7万円も
する高価な機械なので手が出ません.

ふと,オークションで目に留まった一台の古いバンドソー.
一週間後にプチプチにくるまれて我が家にやってきました.



パッと見は綺麗そうですが,塗装は中古機械にありがちな「なんちゃって塗装」です.
あちこち部品もなく,古い機械でメーカーの部品供給も終わってるためか1.5諭吉さんでした.


二つの大きな円板に帯状のノコギリの刃がセットされ,回転して切断して行ってくれます.





最初なので状態を色々とチェックしてみます.

ガイドローラーはノコ刃で磨耗し段付きになっています.



メーカーに問い合わせたら消耗品とのことでしたが,「有りますか?」と問いかけに
「古いので有りません」と返ってきました.
まあ何とかなるかな・・・


ノコ刃を交換する時に使うハンドルが無く,軸をペンチで挟んでグリグリ回していたんだと思います.
軸がギザギザで悲しい状態になっています.




ドリブン側のホイールを外すと,ノコ刃をピ~んと張るための機構が見えます.
下側の奥の影に隠れているのがギザギザになってしまった軸の部品です.




グリスアップのために分解します.




これがノコ刃を交換するための部品で,軸が偏芯してあります.
ギザギザがかわいそう.
でもきっとこんな部品ももう無いんだと思います.




ホイールのベアリングの抜け防止用のサークリップが裏表逆でした.
誰かが後から組みなおしたんでしょうか,最近裏表を知らない人が多いです.




ドライブ側のホイールを外すと長年の切りクズが出てきました.




ドライブ側には減速機があって裏側にはモーターがあります.電源ケーブルも隠れているのでゴムカバーを
外して中まで綺麗に掃除してあげます.

ちなみにモータはブラシレスなので回転音は静かでした.切断も静かかなと期待する私.




切断が終わってノコ刃が降りきるとスイッチを叩いて自動的にモーターがOFFになる機構ですが
スイッチのプレートが何か軟軟(やわやわ).




分解するとプレートは圧縮した紙のような素材でボロボロになっています.
おまけにスイッチは自動車用で有名な「エーモン」のスイッチになっていました.
大丈夫かもしれませんが,「なんかなあ」といった感じです.




ノコ刃が降りきった際にノコ刃本体を受け止める「受けボルト」が無かったので,簡単なのでサクッと
作ることにしました.
タップでさらってあげて・・・




ボルトの頭だと当たりがきついので,適当なバイク用のゴムブッシュでストッパーゴムにしてあげました.




バンドソーはノコ刃の自重で下りてきて切断してくれます.
分厚い材料は切断に時間が掛かるため,スイッチオンであとは切り終わるまで放ったらかしに
することが多く,切り終わりは抵抗が無くなりドスンと落ちてしまうためゴムにしたというわけです.






ワーク(材料)を挟むバイス部分を分解すると,錆が出てきました.
さすが見えるところだけを塗装する「なんちゃって塗装」です.




ついでなんでバイス部そのものを外してみました.長年の汚れです.




気になったのがこの「こんもり」とした部分.




バンドソー本体はアルミの鋳物で出来ています.
なので鋳物の作りがいい加減なのかと思っていましたが,どうもここだけって言うのは変.
試しに磁石をつけるとくっ付きます.



ということは「鉄」
鉄を切った際の切りクズが固まってしまったようです.

石のように硬いです.




最後はタガネとハンマーで叩き割って取りました.
う~ん,スッキリ.




点検すると
「気になるところや粗(あら)がいっぱい見えるけど,材料を切断できたらいいや・・・.」


・・・と,思いながらも,やり始めると何か楽しくなってどうしようかと悩む私.


こうして夜は更けていくのでした.

つづきはまた次回.

ではまた.

GSX-R1000のLEDテールランプの修理

2011-11-12 03:31:32 | バイク関係の修理
行きつけのバイク屋さんから一本の電話.

「LED式のテールランプで点かないLEDがあるんやけど,補修部品として部品で出てないのでLEDだけ
交換するっていう修理はでけへんかなぁ?」と


ジャイアンのような店長なので早速,店に行ってみました.
(いろいろジャイアン兄ちゃんがいて大変です)

GSX-R1000の社外品のテールカウルだそうです.




非分解式な構造のためLEDを換える為には無理くり開けないとダメです.
プラスチックで出来ているので必ず割れたりヒビが入ったりします.
他人のモノですし,出来れば可能な限りきれいに分解してあげたい.

こういうのが一番苦手.精神衛生上よろしくありません.

で,店長さんに分解をお願いしましたら・・

何のためらいも無く・リューターでウィ~ン・ウィ~ン・・・と削っていかれました.

・・・うらやましい,その意気の良さ.


背面を削って中からLEDの基板を取り出してもらい,ここからが私の仕事.




LEDは9個あり,6個がテールライト用で,3個はウインカー用.
電源をつないで点灯させてみるとテールライトの3個が点きません.




LEDの交換との依頼でしたが,LEDが切れる(壊れる)事はあんなり無く,実装されているダイオードなど
他の素子の故障も考えられるのでチェックしてみます.


基板には白くコーティングしてあってパターンが見えません.
拡大鏡で見ながら薄っすら見えるパターンの影を追います.
(ジャンクキャノンG11に次いでまた拡大鏡を使った作業です.・・・面倒です)



ケーブルが断線しかけているのが分かります.
パターンのランド(ハンダ付けする部分)が小さいので,ハンダをやり直すと必ずといって良いほど
ランドが剥がれます.
単純な回路で面積的に余裕があるのですから,もっと大きめのランドに設計にすればよいのにと思って
しまいます.


単純な仕組みで部品点数も少なかったのでマジックでパターンを書き込み,何とか読み取って,
回路図を起こしました.




ブレーキとテールランプの明るさを抵抗で変えている単純な回路です.(ダイオードは流れ込みを
阻止するためのモノ)


抵抗とダイオードは共通系なので故障しているのはやはりLEDのようです.

さて3個あるLEDのどれが壊れているか・・・.
一個ずつ交換しても良いですが,サルではないのでテスターであたります.

テスターの導通(ブザー)モードで測定すると良品のLEDは薄っすら点灯してくれます.




壊れているLEDが分かったのでハンダ吸い取り器でハンダを吸い取ります.
間違いが無いか再度テスターを当てると,あれれ・・・点灯しています.

LEDが破損しているのではなく「天ぷらハンダ」のようでした.


念のため全てのハンダ付け部分にハンダを当ててやります.
基板の方はこれで完了.あとはこれを元通りにしなければなりません.


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残骸が残ったレンズ部の修正からです.




透明なレンズ部まで削らないように注意しながらリューターで削っていきます.




削りカスが飛び散るので,ビニル袋の中で作業します.
(オッサンなので身の回りを清潔にしないと嫌われますので・・・またビニル袋の中での作業です)




皮一枚残して削ると黒い部分の大部分がパキっと取れてくれました.あとはへばり付いた残骸を丁寧に
削り取ります.




レンズ内にLED基板を内装しフタをするのですが,適当なモノが無かったので1.4mmのアクリル板を
サークルカッターで円形に切り出してフタにします.





強度を上げ,ツバ付きにするため直径を変えてたモノを二枚用意しました.




アクリル用の接着剤を使いますが,スポイドで滴下するとス~っと隙間に入り込んで,完全に一体化してくれます.




基板をレンズに入れてフタをしてみましたが,かなりタイトで若干フタが浮いてしまいます.




あれこれしてみましたが結局作り直した方が良さそうなので新たに作り直しました.




基板に干渉する部分を大きく広げています.




今度はスッキリ収まってくれました.こういうことが意外と嬉しかったりします.




元々基板は固定したいなかったようですが振動もあるのでフタと市販のウレタン系の接着剤で
固定しておきました.




向きを間違えないように注意してアクリル接着剤で固定します.




最後にシリコン充填剤を詰めて防水処置をしておきます.




何とか完成しました.




見えない部分ですし,機能的にも点灯すればよいものだけに修理方法も人それぞれ.

複雑に修理をする必要も無いのかもしれませんが,やり始めると色々と考えが出てきて,つい時間が
過ぎてしまいます.

夜な夜なこんなことをしながら人生を送っています.




ではまた








ジャンク・キャノンG11の修理 「って,できるか~ぼけっ~」の続き

2011-11-06 02:33:43 | キャノンG11
キャノンG11のコントローラーホイールの真ん中にある「FUNC. SET」ボタン.
小指の先ほどの大きさのボタンの中にはスプリングと2個のボールが入っています.



この組み込みに悪戦苦闘しておりましたが,私も「サル」ではありません.

細かい部品なので手先だけではどうしても無理なので挿入治具が必要です.


「治具」

「じぐ」と呼びます.「ちぐ」と言う人がいますがチト違います.


10×15mmのアルミの棒材からこんなのを作って見ました.




スプリングとボールをセットしてピンで押し下げるれるような形状にしています.




進歩するとちょっと気分がよくなってしまいます.

気をよくして作業していたらビニル袋の隙間からボールがピョ~ンっと,また飛んでいってしまいました.



地べたにはいつくばって探索.


「おっ,あった.」

よく見たらハンダのカスでした.(三回だまされました)





この治具,ボタンの最外径はφ7.8mmに対してφ8.1mmのキリであけたらちょっとクリアランスが
大きく,首を振ってしまい上手く挿入できません.

何回かやり直すうちに,ちょっとスプリングをくたびれさせてしまいました.




修理しているのか壊しているのか分からない作業はテンションが下がります.

はぁ~



しかし「サル」では無いことを証明するために,これを元に穴径を変えて作り直しました.





ボタンをセットして軸線を合わせスプリングを挿入.







強くピンセットをつまむとピョ~んってボールが飛んでいくのでソフトにつまんで穴に落とし込みます.




ピンで規定量押し込んで穴位置をずらすと・・・




治具にセット完了.




コントローラーホイールに挿入するときだけはビニル袋の作業です.




何とか挿入完了




ここまで来たら頭の中では復活したG11で撮影している風景を思い巡らせています.


コントローラーホイールの四隅の爪が全部破損しているので基盤に接着剤を滴下(ポッティング)して
ゆるゆるになるように接着します.




基盤に戻してあげます.

ゴール間近.




本体にフィルム基盤を接続して電源オン.

頭の中は嬉しさ満開.

十字キーは問題なし.

ホイールを回転させると・・・・・


・・・・反応なし


が~ん


ホイールが必要な機能はマニュアルフォーカスで,その他は何とか使うことができます.

・・・が,しかし

完成を夢見ていた私は脱力感と空虚な気持ちでいっぱいです.


何十回に一回ホイール機能が効きます.
これが厄介.
再現性を見て修理箇所を特定するのですが,何十回に一回なので確立的には数パーセント.


は~



しばらく頭を冷やします.


こんな結果で,ごめんなさい.


ではまた


ジャンク・キャノンG11の修理 見つけた1.2mmのボールペン

2011-11-02 01:46:24 | キャノンG11
しばらくご無沙汰していた「おまけで付いてきたジャンクのキャノンG11の修理」のお話.

φ1.2mmのボールを探す工作の旅の続きです.



φ1mmやφ0.7mm.φ1.6mmのボールペンの先っちょのボールは増えるものの,肝心な
「φ1.2mm」には,なかなか巡り合えません.

で,ホームセンターの文具売り場に行って来ました.


ボールペンコーナーで探すこと十数分.

ありました.「PILOT BPRF-8B-B 1.2極太 ブラック」




先端の丸みが,なんとなく「φ1.2mm」と訴えかけてくるように思えてなりません.




早速,ボールの取り出し作業です.

何個も取り出してきたお陰で緊張感も何処へ行ったのやら.
いつものように旋盤にチャッキングして虫眼鏡越しに突っ切りバイトを入れていきます.




ボールのお尻をつまむとポロリと取れるように斜めに切削.




ペンチで軽くつまむと何事も無かったようにボールがポロっと出てきます.




早速ボールの直径をノギスで計測.

φ1.2mmです.




ようやく役者が揃いました.




少し気が緩んだのも束の間.

真ん中の押しボタンの中にボールとスプリングを収納してコントローラーホイール本体に
挿入しなくてはなりません.




ピョ~んと飛んでも無くならない様にビニール袋の中で作業します.




中央ボタンにボールを一個だけ入れて・・・・

コントローラーホイール本体に少しだけ挿入し・・・

ボールを飛び出さないように気をつけて,そっとスプリングを圧縮して・・・・

残るもう一つのボールをピンセットでつまんで・・・入れる・・・




って,できるか~ボケっ


ガラス張りのガレージ(元・電気屋さんなので)

深夜,ガレージの前を通る人がこれを見たら何と思うのでしょうか.




まだ作業は続きます.


ではまた