オクテック ガレージ ブログ OKU-TEC garage

大した人生ではないけれど,それでも読み返せば思い出されるあのときのこと.消えないように,そして生きた証になるように

ヴェクスター125 一難去ってまた一難 発電不良 レギュレータレクチファイヤ カプラ焼損 

2015-03-25 20:12:23 | ヴェクスター125
キャブレターのダイヤフラムを交換して始動性も加速性能も向上したヴェクスター125.

会社帰りにいつもの万博外周を一周ランニングして帰っていると,なんだかヘッドライトが暗い.

そうえいば会社を出るときからなんか暗い気がしていた.


街灯の明かりのせいか,はたまた私の目がおかしいのか,なんて思っていたら家に帰る頃には
古い自転車の明るさほどしかない.


以前,発電系の異常があった時はウインカーを出したり,ヘッドライトを点灯させるなど電力の消費が
増えたときにエンジンが失速する症状がでた.

それは点火系の電力が不足することで発生したのだが,今回はその症状が見られない.

明らかにライトは貧弱にしか点灯せず,ホーンをならしてもパッソル(知ってる人ってもういない?)のホーン並.

通常の電気系と点火系は違う回路で,通常の電気系が故障したのか?なんて故障分析しながら家に着いた.


とりあえずバッテリー端子を磨く事にした.
ついでに電圧測定をしてみた.






端子はきれいで異常は見られない.とりあえず真鍮ブラシで磨いて電圧を測ってみる.
無負荷で12Vほど.

エンジンを掛けようとするとセルが回らない.

バッテリー(充電状態)は大丈夫と思っていたのでちょっと驚いた,というか焦った.それは症状が悪い方になるからだった.


発電量を測ろうとキックでエンジンを掛けて電圧を測定したら9V程度しか出ていない.これはおかしし.

エンジンを止めるとバッテリー端子電圧は12Vまで復活する.明らかにおかしい.


これ以上,家の前で屋外整備では無理と思いガレージにバイクを運び込んだ.






異常として考えられるのがワイヤーハーネス(配線)の接触不良や断線などの異常,それかステーターコイル,レギュレータレクチファイヤなど
発電系デバイスそのものの異常.


フロントカバーを開けて配線を眺めてみる.
レギュレータレクチファイヤをチェックしようとカプラーを手に取ると何かおかしい.

よく見るとカプラーの形がいびつになっている.

まじまじと見ると焼損していて,配線が硬化し断線していた.





これはあかん.

この時点で夜中の12時.
明日の出勤までにはとうていないせないと思ったので休暇をもらった(のが今日のこと).

ステーターコイルはエンジン内にあって分解して取り外すには特殊工具が必要だけれども持っていない.
分解が必要ならば予備のエンジンに積み替えるしかなく,その方が手っ取り早い気がする.
でも年式が違うエンジンのためワイヤーハーネスも一緒に入れ替える必要がありその手間は大きい.

レギュレータレクチファイヤなら交換するだけで良いけれど,焼損したワイヤーハーネスは電線の被服が炭化しているので
これは手直しで済むか,ハーネスの交換が必要かが微妙なところ.


さてどうなるのか.

一難去ってまた一難.

人間も機械も同じで年数を重ねると症状が重症化し突然訪れる.

ヴェクスター125 10万と6400Km

やっかいなことです.



ではまた


ヴェクスター125 始動不良 ダイヤフラム交換 風防付けたら白バイ野郎ジョン&パンチ気分 

2015-03-21 04:26:38 | ヴェクスター125
エンジンの掛かりが悪かったヴェクスター125.
2秒ほどの初爆はあるもののその後は爆発の気配も感じられないほどウンともスンとも言わなくなる.
毎朝セルとキックを併用して5分くらい格闘して会社に行っていた.
週末乗らない日があると更に症状は悪化し月曜の朝はバッテリーが上がるのは常だった.
なので毎週末になると充電をして月曜の朝に備えたりした.


毎日こんな状態なので始動方法についても多少癖をつかんだりもした.

・アクセルを開けた状態でセルを数秒間回し,一息ついてから全閉でセルを回すと,かすかに爆発してくれる.
・セルを回しながらアクセルを全開全閉を繰り返すと,その内にかすかに爆発してくれる.
・セルを回す前にアクセルを10回ほど回してやると,かすかに爆発してくれる.

どれも“かすかに爆発してくれる”だけなのだが,これが続くとボッボッボッともう少しはっきりとした爆発になり,徐々にエンジンが
目覚めてくれる.
そして,一旦掛かるとその後は何事も無かったかのように走る事ができる.


ヴェクスターのキャブレターには加速ポンプが付いていてアクセルを開けるたびにキャブレター内に生ガス(ガソリン)が送り込まれる.
恐らくこれが始動を助けてくれていたんだと思う.

FCRの加速ポンプと少し違うのはこちらはCVキャブなのでバキュームピストンが有るのと,おまけにそれを作動させる大切な
役割のダイヤフラムが劣化(柔軟性を失っている)しているので,FCRのように“シャカシャカシャカ”とアクセルを開けて
チョーク代わりにって訳には行かないように思えます.




先日のメンテの時にキャブレターのダイヤフラムが劣化していたのを知り部品の手配からとなった.


ダイヤフラムはキャブレターの部品の中でも高価な部品.たかだか125ccのものでも一万円近くする.
薄くて柔らかいゴム製の部品なので致し方ないものの,金額に見合った感がしない部品だけにテンションも下がり気味.



ネットで検索するとマイナーなヴェクスターであるが熱心なオーナーもいて,中華製の部品を組み込んだという記事が載っていた.


どうやら中国には『 中国SUZUKI 』なるものがあって,ヴェクスターも存在するらしい.
奇特な人(というかショップ)があって,日本ではマイナーなヴェクスターの部品を取り扱っていた.
もっというとヴェクスターの部品が取り扱いのメインのような感じであった.

価格は日本製の半値程度.ボアアップキットなど国内ではないものもある.

中華製のクオリティを考えると最初はためらいもあったけれど,その内何かちょっと試してみたいという気持ちになったので
いくつかの部品を注文してみた.






注文したのはダイヤフラムとキャブレターとエンジンをつなぐアウトレットチューブ,それにヘッドライトスイッチハーネス.

ヘッドライトスイッチハーネスは右のハンドルスイッチの中身を入れ替えるパーツ.常時点灯から昔のバイクのようにON-OFFできるように
するもの.




ダイヤフラムのパッケージには『 大長江集団有限公司 』とあり,ネットで検索するとこんな記事が出てきた.





柔軟性を失い硬化して,おまけに穴まで空いていたダイヤフラム.





新品のダイヤフラムはやわらかい.5500円也





キャブレターを外してサービスマニュアルを見ながら流路,通路を確認していくとあるはずの部品が無い事に気付いた.

『 アレレ?? 』

ここのフタが無い.


『エアカットオフバルブ』と呼ばれる部品が無いのに気付いた.





パーツリストを見ても本来有るような感じ.

サービスマニュアルを眺めてもエアカットオフバルブの役割が書いてあるので,やはりどこかで脱落したのかと思った.

慌てて予備のキャブレターを引っ張り出して比較してみる.






よくよく見ると,有るべき流路が無い.
ということでヴェクスターにもエアカットオフバルブがない車両もあるということ.
とりあえずホッとした.



新旧ダイヤフラム.





記録を見てみた.
古い方はオークションで買った中古エンジンに付いていたもの.
2007年8月27日に今の車体に載せ替えて,それから更に6万キロ走ったことになる.






キャブレターに新しいダイヤフラムを付けてみる.
特に問題も無く取り付けられた.
バキュームピストンを手で動かしてみるが“シュコ・シュコ”と動きも普通.





流路につまりが無いかをチェックして他にも見てみた.

キャブレターヒーター.
イグニッションONで通電するらしいが本当に温かくなるのかチェックしてみた.
抵抗値は20Ωほど.





電流値は約1A.予備のキャブレターのは0.8A程度だった.





通電するとほんのりと温かくなる程度.走行風でも冷却されるのでこれが正常か,この程度で良いのかはわからない.
まあ断線していないのでよしとした.






駐めておくと地面に染みが出きるのでフロートバルブも交換した.
これは日本のスズキ純正品.これもけっこう高価.








ふと,プラグキャップが緩んでいる事に気付いた.
ヴェクスターのプラグキャップが外れやすいのにも定評?がある.






緩みやすい原因は簡単.

プラグキャップの中をマイナスドライバーで緩めるとプラグとの接点部品のほか抵抗やスプリング,ちいさな座金のようなものが
出てくる.




接点部品にはプラグを留めておくための針金細工のような部品があり,これが振動などにより摩耗しプラグを保持しにくくなってしまう.
右の『 Uの字 』をした針金細工の右側が痩せてしまっているのがそれ.







“プラグキャップの緩み持病”のことなど忘れていたけれど,以前このエンジンでも同じ事があったのを思い出した.

2011年7月9日.そのときの写真がこれ.





そのときは針金がもっとひどい状態だった.





針金が摩耗しただけなので,そのときは針金を作って修理する方法をとった.





針金の代用品はステンレス製のスプリング.それを元に同じ形状にして再生した.





今回は予備品があったのでそれと交換.






前回のメンテナンス時に気になったキャブレターの汚れ.

普通では無い状態.
オーバーフローではこんな風にこんなところが汚れるはずも無く,オイル付着でもなさそう.





組み上げたキャブレターを車体に取り付けガソリンを流したところ,リフトに染みが付いているのに気づいた.

やはりどこからかガソリンが漏れている.

今回の分解で症状がひどくなったのではと思うほどポタポタ落ちる.


よくよく見るけど毛細管現象であっという間に染み広がるので場所の特定が難しい.
キャブレター本体のマイクロクラックかとも思ったけれどそうではなく,どうやらこの封止プラグが甘くなってここから漏れているようだった.




このプラグがどうやって気密させているのかが分からない.見渡してみても表側からしかアクセスできないので,ポンチで叩いて見たが
改善しなかった.

幸いフロート室側だったので予備品のキャブレターから移植して組み上げた.



月曜の午前3時前.
出勤までに組み上げないとだめなのに,単純な部品交換だけでなく修理箇所の特定もしないといけない作業はつらい.






予定した作業が終わったのが午前4時半.
始動性が良くなりそうなことを想像していたら変にテンションが上がってしまい,ついでなので以前買っておいた風防を取り付けてみた.


これはオークションで買ったもの.ヴェクスター用とあったけど全然取り付けが合わない.

何度もステーを曲げて調整してやっと取り付けられた.





ハンドルカバーに風防.防寒用の膝掛けまでしてるので,まんまオッサン仕様.でも気にしない.



こんな大きな風防を付けた事なくて,走ってみたら何か気分は“白バイ野郎ジョン&パンチ”

この番組のことなんをリアルで知っている人ももう少ないと思います.

私は左の方のパンチが好きでした.ちなみにコールサインはメリーセブン4号(たぶん)
(中学生の時に買ったレコードです.)



(ドラマの中では二人は名コンビでしたが実際は不仲だったそうです.)


Youtubeにあったので貼っておきます.

CHiPs intro HQver.




さて,修理してから2週間ほどが経ちその結果はというと,劇的に始動性がされました.
セルが一瞬回るだけで即始動し,以前初爆があった二秒間と同じくらいの間アイドリングが上がり,数秒して回転数は下がるものの
少しアクセルを開けてやると(実際は当てるといった感じの僅かな感じ)回転は持ち直してくれます.

そのままアクセルを開度1/8くらい開けると若干ボコ付くものの爆発は安定していて,ゆっくりとアクセルを開けるとそのまま
走り出す事が可能になりました.

3分ほどは開度1/4でもたつくものの,その開度を過ぎると後は全開までスムーズに吹け上がります.


びっくりしたのがそれまでがんばっても80Km/hも出なかったのが,今は90Km/hまでスムースに加速するようになったのと
どの速度域でも力強くなったこと.

積み替えて6万キロ,その前があるので実質何キロ走っているか分からないエンジンだけれど,昔の加速に戻ったような気がして
走っていても楽しい.

月曜日,休み明けも同じように一瞬の始動してくれます.

オートチョーク(PTC)の良否が不明だけれど,現状でも非常に調子の良い状態に戻ってくれました.

中華製の耐久性についても後々見ていきたいと思います.


今回購入した中国SUZUKIを販売されているサイトはこちら.
奇特なヴェクスターの部品を扱っているいる業者さんなので,これからもがんばって頂きたいです.

プレコミモーター http://www.plecomi.biz/shop/home.php



購入時におまけが付いてきました.
プラグとオイルフィルター.それとカウルなどを固定するナット.
このナットは古くなるとさびて朽ちてくるのでありがたい部品.






10万と6000キロ.
もうすこし乗れそうです.





“以上 メリーセブン4号 ザッ ”

(“ザッ”は無線が切れる際の音ね)



箕面の滝 初めて食べる「もみじの天ぷら」 

2015-03-14 08:40:29 | ツーリング・旅・散歩
大阪の北部.
箕面市にある“箕面の滝”

自分たちが小学生だったころはよく遠足で行った場所.

野生の猿がいて,その猿が年々凶暴になってしまって,目が合えばすごい勢いで威嚇され,食べ物を持っていたら力尽くで奪って
いくほど怖い存在でした.


地図データ @2015 Google.ZENRIN 



紅葉が美しい所としても有名な箕面の山々.
秋になると観光客で賑わい,週末は峠を一方通行にして片側車線をすべて駐車場にしてしまうほどです.

昨年の秋に一度来ようとしましたが時期が少し早かったのと,それでも車がいっぱいだったので断念.
寅次郎も一緒にのんびりと散歩したかったので,あえて時期外れに行ってみる事にしました.



滝を見に行くルートは二つ.
車で峠を走り滝のすぐ上にある駐車場に車で行く「楽ちんコース」と,駅から山道を歩いて行くお散歩コース.
ぶらぶら歩くのが好きなので駅周辺の駐車場に車を止めて,遠足を思い出して歩いて行く事にしました.


普通なら二時間程度の散歩コース.
寅次郎は13才になりましたが足腰が元気なのでがまだへっちゃら.
問題は娘.
今,二歳半.
まだ“おぼこい”ところが多くて道ばたの石ころとか段差に興味があってなかなか進みません.





駅もなんだか新しくなっていました.

どこの駅に行っても思う事ですが,駅だけは昔の姿のままが一番だったと思う事が多いです.





土産物屋さんがならぶ沿道を通ると何となく風情を感じます.

もみじの紅葉が有名で,そのもみじを揚げた“もみじの天ぷら”というのがここで有名なお菓子.





大阪にずっと住んで何度もここに来ていますが未だに“もみじの天ぷら”なるものを食べた事がありません.
だって“葉っぱ”ですもの.

でも美味しいと言う人がいるので今回は食べて見る事にしました.

あちこちのお店で売っていて,出来れば美味しいお店のを食べてみたいと思うのですがさっぱり分かりません.
そうこうしているうちに土産物屋さんもまばらになってきたので適当なお店で買ってみました.





甘く油で揚げたお菓子という感じ.“てんぷら”という言葉がしっくりこない気がするのは私だけでしょうか.

“かりんとう”に似た香ばしいお菓子とよく紹介されています.





食べてみましたが,もみじの存在意義はあまり感じられず,やっぱり甘く揚げたお菓子でした.

娘にも少しあげてみましたが普通に食べていました.普段はまだお菓子を食べさせていないので甘く感じたんだと思います.


とら母は葉っぱが歯に引っかかったと言っていました.葉っぱは存在したようです.






結構年代を感じる建物.古い時代の旅の宿って感じがします.

自分たちが小さかった頃,まだ新婚旅行が熱海や別府の温泉だった時代,ここももっと賑わっていたのではないかと思ったりします.

後で調べたら昔は旅館だったそうで後継者難や建物の老朽化により閉鎖となったものを2004年にリニューアルし今はカフェバーなどに
使われているそうです.






のんびりと歩くにはいいコースです.







さっき食べた“もみじの天ぷら”が美味しかったのか気になって,他のお店のと味比べすることにしました.

お店には多数のサインが飾ってあったり,テレビで取り上げられた事がいろいろ書かれていました.

『こだわりの味』『うまさがちがう』・・・・よっぽど自信ありげな感じ





・・・・何か油っぽい.さっきの方が美味しかった.

きっとこれが『こだわりの味』で,さっきのお店とは『うまさがちがう』なんでしょう.








時代は年々便利になって良くはなるけれど,その中にいて時折思うのが,まだまだ日本が広いと感じられたあの頃が何だか素敵に
思えると言う事.






知りたいことはインターネットですぐ手に入り,海外旅行も誰でも行けて,お正月もコンビニは開いて,携帯があるから彼女の家に
電話するときの緊張もない.

便利な世の中もいいけれど,見失いがちなちっぽけなことを噛み締めることができるかどうかも大切なように思います.






歩くと少し時間がゆっくり流れる気がします.






ちょっと歩くと“だっこ”,“ぶ~ぶ(おんぶ)”と訴えてくる娘をなだめすかせて何とか滝まで来ました.






実はこの滝が“人工滝”と話題になったことを最近知りました.
ニュータウン化のために道を付けようとトンネルを掘ったところ,この滝へと通ずる川の水脈を切断してしまい,そのままでは
川が涸れてしまうので川上でポンプ送水しているそうです.





すぐ上流でくみ上げていたり,滝壺から吸い上げているのではないのですが“人工滝”と“天然滝”とで意見の対立があったみたいで,
『人工滝』という人との言い分は「ニュータウンのうたい文句が「水と緑の健康都市・箕面森町」と言う割に環境破壊を
起こしている」と言う事.

『天然滝』であると言う側の言い分は「箕面の滝へ流れ込み一つの水脈が切断されただけで距離も離れている.ポンプで
放流するというのもトンネル工事の際の水量コントロールとしては普通の方法」だそうです.
箕面市の言い分はこちら








見た目は変わってなくても中身は少し変わってしまった箕面の滝.

娘は滝そのものがまだ分かっていないみたいでした.






帰りは川の対岸側の道を歩いてみました.
こちらは少し荒れていて昔のままのようでした.





行きと違ってこちら側は階段もあって歩きにくいです.






観光客が通るのはほんの数人.地元の人がウオーキングしたり犬を散歩させる人の方が多かった.





寅次郎も楽しそう.






歩くようになだめて





無理なときはやむなく





約3時間ほどの散歩でした.


ではまた

kagayakiさんのOKKのNCフライス盤の解体と搬出日記 kagayakiさんに捧げるエレジー

2015-03-03 01:26:49 | 整備・作業
ご近所の工作友達のkagayakiさんの所有するOKK製のNCフライス盤.





制御系が壊れてしまって使えないということで,直そうか,改造しようか,捨てようかと悩まれていた.

古いNC機は“壊れたらおしまい”とよく言われる.


仮にメーカーが修理を受け付けてくれたとしても修理費用は数十万単位の高額になりかねず,金額を考えると“こまし”な中古の
NCフライス盤を買った方が得策という気分になってしまう.


自力で直そうかとも考えられたみたいで,詳しい知り合いから『基板を洗浄してみたら』とか言われたそうです.

私のような遊びで使っているのと訳が違い、もし直ったとしても仕事中に再発したら信用問題になるのでやっぱり却下.
自分で事業をしている人の考えはやはりシビアです.


『モーターとドライバーを乗せ替えて“Mach”で制御してみようか』なんて事も言ってたけれど,その部品を作るフライス盤が
壊れているので大変.

旋盤をフライス盤代わり使っていると言ってましたが,技術的に可能な人ですがその前に気持ちが続くかどうかは微妙なところだと
思います.

そうこうしている内に他のメーカーのNCフライス盤のことを楽しそうに話しだしたので,きっとそちらに流れていくのだろうと
読んでいたら,とりあえず今有るフライス盤を先に廃却されることにしたと教えてくれた.


搬出が土曜日というので様子を見にいくことにした.



搬出日当日.予定時間が過ぎても運送業者が来ない.
どうやら準備がうまくいっていないらしい.

聞くところによると,OKKのフライス盤を楽々吊り上げるユニックを持っている業者はそれなりに費用も高く,いろいろと
探したところ,おもしろい業者があってそこに依頼したと言っていた.


そこの業者の持つユニックは揚力能力が2.9トンしかなく,OKKのフライス盤の重量が3トン以上でそのままではつり上げれない.
で,揚力不足分をフォークリフトでアシストするという超アクロバティックな積み込みをすると話してくれた.


フォークリフトは当然ながら現場まで自走できない.
で,どうするかと言えばトラックの荷台の“かご”の部分がズリ降りてくるアームロール車(車)と呼ばれるトラックに積んできて
現場で下ろし,積み込みが終わったらフライス盤共々また載せ帰るという無茶な方法.

う~ん,とってもアクロバティック.




結局アームロール車にフォークリフトを積んだら,高くてどこぞに引っかかって来れなくなってしまい,今作戦会議中と言っていた.

でも,どうも今日は無理らしい.




出鼻をくじかれた感のkagayakiさん.
ここまで来たら気持ち的には搬出してしまいたいに違いない.


ユニックだけが先行して来ていたので作戦タイム.


なら,ユニックでつり上げられる重さにまで分解したら・・・と言う話になって手伝うことにした.


OKKのベット型フライス盤.
おそらくMHA-300Ⅱというタイプ.





手際よく解体できるように一旦家に帰ってエアーインパクトレンチなどを取りに帰って改めて作業開始.


外せそうな部品を見てみる.
事前に操作画面やアームなどは外してあったので残るはテーブルに電装ボックス、それに主軸とバランシングさせるための
カウンターウエイトくらい.



先ずはテーブルを解体から。
関連しそうな部品を取り外していくものの、あとになって段取りがまずかったことに気付いたり,元に戻そうと思ったら部品が
見当たらなかったりと,なかなかスムーズには行かない.



当事者でない私は楽しいけどkagayakiさんはユニックの時間とかいろいろと考えないといけないので大変.






でもなかなかうまく外れない.

禁断のボールネジのパイプレンチ回し.
スクラップにすると分かっていても私には“布団の上でおしっこするくらい”の背信な作業.

さすがに硬度が高くてパイプレンチが滑るくらい.
傷一つ入らないと言っていた.





ボールネジのナットを外してようやく分離.





お次は電装ボックス.
左右に電源系とNCの電装部品が収められている.
全体からしてみれば大した重さではないけど,それでも左右で100㎏か150㎏くらいにはなると思う.

チリも積もればなんとやら.





電装ボックスが外れたので残るは主軸とバランシング・ウエイト.

両者はローラーチェーンでつながっている.エレベーターの重りと同じ原理.


屋外からユニックのアームを伸ばして作業するのも限界になってきたので,一旦フライス盤本体を外に出す事になった.

床は水はけのために微妙に屋外側に勾配がついている.
下に差し込んでいるハンドリフトは完全に重量負けしているけどコロが付いているので引っ張り出した際にスルスルスルっと動いて
ちょっと焦った。







主軸とウエイト、どちらから抜くか深く考えないままにウエイトから抜く事になった.

チェーンさえ切れば抜けると思っていたら違っていた.
機械の最上部にあるにチェーンの歯車の軸が邪魔してウエイトが抜けない.

イモネジで固定されているだけなのでこれを緩めて軸を横から叩けば抜けるはず.

それがまた抜けないときた.

ハンマーを何度も振るった.

腕がだるくなって自分の手をぶったたいた.

腕がだるい。






結局抜けないのでkagayakiさんがサンダーで切り込みを入れてハンマーで叩いて破断させた.
高炭素鋼でよかった.これが“なまくら”な鉄の棒だったら叩いても曲がるだけだったと思う.


日も暮れはじめ、こんな作業は気力も奪っていく。
kagayakiさんは結構疲れている。私は当事者ではないので平気だけど、これって当事者はキツイと思う。





スゥ~と引き揚げられていくカウンターウエイト。

何となく達成感というか征服感を感じる。






バランスウエイトが無くなったため主軸の重量がもろに掛かってしまい,下に置いていたリフトテーブルが重さに耐え切れず,潰れかけていた.

一体主軸だけで何百キロあるのだろうか.





最後に主軸を抜く段になって気付いた.

主軸にもボールネジが付いている.

当たり前といえば当たり前の事.
分解する気力も体力もない.
辺りはすっかり暗くなっている.


先にウエイトの方を外したけれど,これが主軸の方を先に分解していたら,きっと途中で挫折して,今更ながらにウエイトを
分解なんて出来なかったのではと思った.




主軸を分解するのはもう無理.

『このままで釣り上げれないですか?』 kagayakiさんがそう呟いた.



カウンターウエイトが付いたままの時,一度釣り上げようとしてみた.
そのときは少しユニック車と距離があったので,そのせいもあって車体の反対側が浮き上がって無理だった.



ゆっくりと釣り上げてみる。






何とかいけそう.






昼1時過ぎから作業を始め,積み込み完了したのが夕方6時半.

何とか無事終了.





kagayakiさんお疲れ様でした.
思い出にと記事にしました.
私ほどおセンチではなさそうなので,いらぬお節介とも思いましたがいつかまた忘れた頃に見返すと懐かしいと思うはずです.

新しいフライス盤の話があったら教えてください.
ちなみに,ご指示の通り段ボール箱の印刷が分からないように画像処理しました.
顔出については男前なので私の独断でOKとしました.


ではまた