旅日記が続いたのでガレージネタを少し。
もうすぐ15万キロになるヴェクスター125。
クラッチの分解清掃をしてトルクカムの動きがよくなったせいか、加速もスムーズになってこれまでにないくらい調子良いです。
そんな調子のいい話ではなく今日はイケてない不具合の話。
長く乗ってるといろんな不具合が出てきます。
今日もサイドスタンドの足を掛けるところが折れました。
スタンド、ムッチャ出しにくい。
で、今日は下を向いてしまうバックミラーの話。
可動部のボール部が痩せたか、ナットの締め付けが甘かったかでミラーを保持できなくなって重力で垂れ下がってくるという不具合。
たまに見かけますが、見た目も情けないです。
そのまま乗ってる人もいますが、後ろが見えなくても平気なのかと思いますし、メンテなんて気にしてないんだろうなって思ってしまいます。
直すには付け根のナットをチョコっと締めてやればいいだけなんですが、そのナットが"はめ殺し"の鏡の中にあるのでアクセスできません。
発症したらたぶん買い替えるしか無いと思います。(修理した人がいたら方法を是非教えてください)
バックミラーなんてこだわらなければ1000円くらいなので買えば済む話ですが、ナットを締めれば直る不具合ってこと、こういった不具合も
直してみたい気がするので、ついつい直す方法を考えてしまいます。
とりあえずネットで直した人がいないか検索してみました。
鏡を外したって人が一人見つかりましたが、はめるときに割れたと書かれていました。やっぱり鏡を外しての修理は難しいと思います。
次にお手軽な方法ととして「ネジのすべり防止液」て「ネジやま救助隊 ネジはずし」を塗り込むというのがありました。
成分のケイ酸化合物、ケイ素系鉱物(細かな砂粒)が可動部に噛み込むことでミラーが垂れになるというもの。
バイクよりも車で使う話がほとんどで、ドライブレコーダーをルームミラーに付けたら垂れ下がってきたという人が対策でやっていて、「お辞儀するミラー」って呼ばれていました。
効果の程は塗った当初は良かったけど夏場になったら再発したとありました。
ミラー単体ならまだしもドライブレコーダーが付いたらそりゃ厳しい気がします。
でヴェクスターの方ですが、最初の頃はそこまでひどくなかったので、だましだまし乗りながら通勤の度にミラーを眺めて考えました。
問題はナットが密閉状態のミラーの中にあるということ。
すぐそこにあるのに締めらなくて歯がゆい思いを毎日してると、いつしか見えないナットが不思議と透けて見えてくるようになってきて、
そうなると買い替えなんて考えられず、ひたすらナットを締めることばかり頭に湧いてきました。
ミラーを割らずに分解するのが無理ならミラー本体をカットするしかないです。
カットするとなると、元に戻す方法も考えないといけないので、どちらか言えば最後の修復がキモになりそう。
カットする場所をどこにするかでアレコレ考えました。
ミラーの付け根の部分、ナットがある付近を輪切りにするのが手っ取り早いですが、あとで溶着させた時に強度が出なくてポロってことも無きにしも非ず。
それじゃあミラー面に並行に輪切りに切るほうが強度も気にしなくていいし、仕上がりが自然になりそう・・・、
なんてことを考えての通勤タイム。
次に思ったのが切る手段。
ノコギリでギコギコ切るのって何かスマートじゃない。
年食ったオッサンはスマートに作業しないと、単なるイケテないオッサン。
カッコ悪いのはあきません。
じゃあ電動工具って事でホールソーを使えば奇麗に華麗に小窓があけられるかな、なんて思いながらの通勤タイム。
オッサンは年相応な修理方法も検討要因の一つだったりします。
そうこうしているうちにミラーの緩さが増してきました。
前にも同じことがあって、その時は可動部をペンチでギュッと挟んで変形させて動きを渋くさせました。
でもこれは本当の応急処置的なやり方。若い子なら許されるけどいい歳したオッサンはやっちゃダメな気がしました。
ケミカルは数百円しかしないし、持ってたらやるかもしれないけど、本質的な修理でもないので、お金を出してまでやるほど魅力を感じない。
とりあえず手持ちの接着剤を塗って急場を凌ぐことにしました。
翌朝、かすかに効果を期待していたものの走り出したらあっけなく下を向いてしまいました。
・・・アカンやん。
他に応急処置の方法が見つからなかったのでビニールテープを巻いてみました。
おっ、何か意外と調子良いぞ。
・・・ですが一週間もするとテープの粘着剤が弱ってきてまた下がってきました。
旅先での応急処置には丁度良いかなって感じな方法です。
ホールソーで小窓をあけるつもりでいましたが、切り取った残骸はホールソーの刃の厚み分小さくなって、それを元の場所に戻してもポロっとおちてしまい
溶着しにくくなるのに気づきました。
簡単にいかんなあ。
ノコギリでぶった切るではなくて、あけた穴も簡単に塞げる方法は・・・・・。
なんかグダグダ書いていますが、実施に修理しようとするとこんなふうにアレコレ考えてるんです。
ついに着手の日。
カットをどうするか・・・・
ノコギリでもなく・・・
ホールソーでもなく・・・
電熱線で切ることにしました。
死んだ親父が昔何かの時に作った電熱カッター。
お隣の灰色の箱も親父が作ったトライアック式の電圧調整器です。
箱も市販品があまりない時代。日本橋のジャンク屋で買ってきた何かの箱を使って仕上げは焼き付け塗装で塗ってます。
昭和の頃に個人が焼き付け塗装って、親父も中々のマニアな人。
色が灰色ってのがイマイチと幼いながらに思ってました。
初めて使ったのですが電圧を絞った状態で通電したとたんニクロム線が赤熱して切れてしまいました。
あかんやん。親父、どうなってんねん。
生きてた頃は「なんじゃこのへんくつ親父は」と会話も少なかったけど、こんな事に出くわすと、聞けたらいいなと思う。
通信も5Gの次は霊界通信をお願いします。
直流安定化電源を繋いで電圧絞った所から始めたら使えました。
後で考えたらトライアックではなくスライダックトランスを使ってもっと電圧を落としてたのかなって思いました。
娘が遊びにきたので切らせてみました。
溶けた匂いにたまらず鼻をつまむ娘。
スタイロフォームがあったので適当に絵を書いてカットにチャレンジ。
先ずは試し切り。
あれよあれよと切り進んでいくのに戸惑う娘。
電熱カッターって溶けて切れるので熱量が勝ってると、ほとんど抵抗も無く切れてしまいます。
おまけにテーブル上に置いて切れないこんな姿勢でのカットは"定位"がないので難しいです。
「出来ない~」と弱音を吐く娘。
適当に書いた線なので失敗もクソもないので気にせず切っていけ~って言っても、けがいた線があるとそれに合うように切ろうと思うみたいです。
こういったところで性格が垣間見れる気がします。
「"定位"が定まらない」の定位って言葉。例えば音量ボリューム。
普通の回すタイプのボリュームは「軸」が定位となって指で握っても安定するので微妙な回し具合が可能なのですが、これがスライド式のボリュームとなると、
格好はいいですが、不安定で調整しにくいです。。車なんかでデザインを優先してスライドボリュームにしたら揺れて扱いにくいって顕著に感じます。
「膝に乗せてやってみソ」
で、バックミラーの修理。
スタイロフォームよりも薄いですが密度も高いので切れ具合を見ながら電圧調整。
工具が入る大きさってこんなものかなあと思いながらカット作業。
切れ(溶け)過ぎないように電圧を調整しましたが、定位が定まっていないのでカットラインが蛇行します。
蛇行しないようにしようと思うと慎重に切り進むのではなく一気に切り進んだ方がいいように思えます。
カットし終わっても溶断した部分が再溶着したので微妙にくっ付いています。
こじって開けました。再溶着しない方法があれば知りたいです。
問題のナットです。
見えにくいですがナットの奥にスプリングがあって、一定の力で押し付けられるようになっています。
根っこから少し離れたところに開口したためスパナもメガネレンチも届きません。
どうしようかと焦りましたが六角ビットがなんとか入って刺さりました。
六角ビットってインチなのね。
ハーレー屋さんでもないとインチのスパナなんてないのでモンキーレンチで締めました。
最近職場とかではモンキーレンチを使っちゃダメって言われて悪者扱いですが、ちゃんと使えば便利な工具。
仕事でしか工具を使ったことがない人が使ってケガして、使ったことがない人が規制ルールを作るからこんな変なルールができちゃう。困ったもんだ。
ナットの増し締め。
締めすぎず、緩すぎず。
ヘルメットを置いても垂れないでいて、ミラーの角度調整がやりやすい締め加減。時間が経ったら少し緩くなるかもしれない。
そうなると悲しいので慎重に増し締め。
増し締めしたので、開口部分を塞ぐわけですがノコギリを使うと鋸刃の厚み分小さくなりますが、ニクロム線は線径がコンマ数ミリなので
破片が小さくならず元の場所に戻しても収まりがいいので、後の修復がしやすくなります。
あとはハンダコテで溶着。
昔は電気工作のコテと共有してましたがコテ先が汚れるので専用品を用意しました。
溶着棒(溶接棒)ですがPPの溶接棒ってよく売ってるのですがABSは高かったり入手しにくかったりします。
なのでこれは何かの部品から切り取った端材。
TIG溶接のきれいなビードが出ればいいのですが、なかなか難しくてコテで均して仕上げてみました。
少し見栄えがするようにヤスリ掛けして最期にワイヤーブラシで均しました。
1000円で時間を取るか、時間を捨てて満足を取るか・・・
お辞儀するミラーから解放されて、少し「無 」な通勤時間が満たされました。
ではまた