毎度何かしらトラブルが起きながらも走り続けてくれるヴェクスター125.
今回もまたそんなヴェクスターにまつわるトラブルを回想録風に書いてみました.
少し長いので暇ですることがない時に読んでください.
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・・・思い起こせば始まりはあの頃だったのかもしれない.
・・・・・
・・・・・・・
今年の2月の下旬.
アクセル全開で快調に走るヴェクスター125を突然の「バコッ」っという音と共に激しい
振動が襲った.
クーリングファンの破損だった.
何度もクーリングファンの破損を経験すると壊れる箇所が同じであることに気付く.
壊れる場所は
「取り付け用のネジ穴の外周側」である.(
検索すると出てくる出てくる)
これが昨年の11月の破損.
12時の方位に大きな破損があり,8時の方位にもフィン一枚が破損している.
どちらも取り付けネジの外周側である.
あれから3ヶ月,今年の2月の破損がこちら.
言うまでも無く破損箇所は同じである.
さすがによく割れるクーリングファンは現在,部品番号の違う対策品に変更されていて,
よく「割れてくれる」クーリングファンは欲しくても,もう入手することは出来ない.
さてスズキが行った対策であるが,その前に遠心力を導く公式を思い出してみる.
F=mV2/r (遠心力F 質量m 速度V 半径r)
教習所や免許更新の講習会で教えられる
「カーブで車が飛び出そうとする力は速度の二乗に比例し半径に反比例する」と教わったアレである.
話を戻して天下のスズキが行った対策であるが,遠心力で割れるその部分のフィンをカットして
質量を小さくしている
だけのすばらしい対策である.
安易といってはいけない.
他社に見られるような外周をリングでつなげてしまうような方法は回転マスの増大につながるばかりか,
原材料の増加を伴い,CO2の排出量アップ,地球温暖化の加速につながる地球規模的な
環境破壊行為となる.
なのでこのスズキの取った対策はエコなのである.決して手抜きと言ってはならない.
新しいファンとカバーに交換し,程無く修理を終えたヴェクスター125は翌日もまた通勤の足として
活躍してくれている,と言いたいところだが,なぜかどこか振動が大きい気がする.
ハズレのファンを引いたのかと思ってあきらめることにした.
毎日片道20キロの通勤の旅.ヴェクスターはガソリンさえ入れると文句も言わずに,いや若干の
文句を言いながらも,けなげに走ってくれる.
しかし,350-10インチのリアタイヤはさすがによく減る.
このタイヤ交換のためにタイヤチェンジャーのオーバーホールを始めたのだったが,無情にもタイヤの
磨耗は待ってはくれず,また力技で交換しなければならない.
おまけにメンテナンス用のバイクリフトにはタイヤチェンジャーの部品が陣取っているため屋内で
整備はできない.
久しぶりの青空整備である.
バイクリフトで踏みつけてタイヤのビートを落とす.
タイヤのビートを落すためのタイヤチェンジャー.
今はそのタイヤチェンジャーの部品の重みでビートを落としている.
何事も自分の思うようは行かないものである.
タイヤとエアバルブを交換する.
タイヤ一つが新しくなっただけなのだが気分が良い.
きっと自身で整備をした事のある方なら分かっていただけると思う.
ただ,不快な振動は少し気分をブルーにしてくれる.
・・・・ある日,我が町で催されたイベントにベクスター125で出かける.
「チューリップアートin摂津」
青空に泳ぐこいのぼり.
小さな町の小さなイベント.
でも頑張っている.
小さな幸せの時間を過ごす.
ヴェクスターの活躍である.
帰りがけヴェクスターがオシッコをちびっているのに気付く.
ヴェクスターも寄る年波には勝てないのか.
幸い症状は軽く大手術に至ることなくオシッコタレは回復した.
尿漏れパッドのお世話になる年になったかと思った.
スクーターの10年は人間に例えると何歳だろうか.
私と同じで40~50才くらいなのかもしれない.
日々どこかがおかしい.悲しき中年である.
中年オヤジが乗る中年バイク.
チューリップアートに出掛けた翌日からエンジンの振動に加え,足回りからカタカタと異音が
聞こえるようになった.
中年バイクにとら母と寅次郎の三人乗りはちょっとハードだったのかもしれない.
しかしこの異音,気になる.
まるで伸びたチェーンがコマ飛びしているような音である.
翌日もだましながら会社へ通う.
あと数日でGW.なんとかもってもらいたい.
翌日もまただましながら会社へ通う.
こんどは異音の箇所を特定するために長い下り坂をエンジンを切って下っていく.
遠心クラッチが切れている状態でも異音がするのでドリブンギア以降のトラブルである.
ベアリングが逝ってしまったのか,ギアが磨耗したのか.
想像するがイマイチ,ピンとこない.
日本製のギアやベアリングはそんなヤワに作られていない.
バイクリフトの上に鎮座していたタイヤチェンジャーの部品を片付ける.
ようやくどこが悪いか調べられる状況になった.
プーリーカバーを開け,リアタイヤとクラッチを手でまわして感触を確かめてみる.
ガタツキや引っ掛かり,異常な点は感じ取れない.
明日も仕事なので残念ながらこのままプーリーカバーを閉じることにした.
あと数日,なんとかもって欲しい・・・・・.
翌日,出勤する前にリアタイヤのエアーが抜けているのに気付いた.
「おいおい,今度はパンクか?」
急いでエア漏れチェック液をかけてパンク箇所を探すが,いくら探しても見つからない.
止むを得ず空気圧をあげて会社に向かった.
エンジンの振動にカタカタ音,エア漏れの三重苦である.
真剣に買い替えを考える.
行きは会社までもったが帰りは途中でエアが抜けてしまいスタンドで補充した.
悪化しているようであった.
GWに入りヴェクスターの不具合箇所の点検を始める.楽しくない作業である.
プーリーカバーを開け,ギアボックスを分解する.
丈夫なギアに良く出来たベアリング.
回転もスムーズで当然問題点は見つからない.
良く出来たトランスミッションだが,不具合が見つからないのは困り者である.
トランスミッションに問題ないとすれば残るはリアホイールしかない・・・・.
ふとヴェクスターのホイールがリムとハブのツーピースの組み立て式であることを思い出した.
慌てて確認してみる.
やっぱりボルトが緩んでいる.
緩み防止付きのナットにもかかわらず緩んでいたのだった.
カタカタ音の原因が分かればあとはパンクだけ,すこし気分が楽になった.
パンク箇所を特定するためエアを入れる.
するとどこからかシューっとエア漏れの音がする.結構な音である.
耳を近づける.タイヤではない.
リムから聞こえる.
慌ててエア漏れチェック液をかける.
プクプクプクとリムから泡が出る.
エッ?.
ちょっと驚いた.
リムとハブをつなげるステイの溶接箇所からだった.
リムとハブを分解して再度エア漏れチェック液をかけてみる.
溶接で補修しようかとも考えたが,目視で分かるようなクラックやピンホールが見当たらないため
予備のリムと交換することにした.
修理を終え試乗してみる.
カタカタ音は消え,エンジンの振動も小さくなったように思える.
中年バイクだが少し元気になった気がした.
原因を振り返る.
今年の2月,クーリングファンを交換したあとのあの振動.
実はあの頃からホイールのボルトが緩み始めていたのかもしれない.
三人乗りでチューリップアートを見に行ったことで致命的な緩みを与え,走行時のカタカタと
異音をさせるまでに至った.
異音は打音であり,その衝撃によりリムにクラックを誘発させてしまったのかもしれない.
年をとると調子の悪い原因が分からないことが多くなる.
治りが悪くなるのは勿論のこと,いつもスッキリしない日が多くなる.
私もヴェクスターも寅次郎も中年である.
いつまでも元気でいたいし,いてほしい.そんなことを思わせる今日この頃でした.
おしまい