温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

月岡温泉 さかえ館

2011年05月23日 | 新潟県
※2020年4月に経営者が変わり、「湯宿あかまつ」としてリニューアルオープンしました。当記事は2011年時点旧「さかえ館」の様子を取り上げています。


月岡温泉のお宿は、立派でお高めの旅館と湯治宿的な小規模施設のふたつに分類できますが、「さかえ館」は後者の典型例でして、月岡温泉で観光客がもっとも集まるであろう足湯「月姫広場」の斜め前、新湯エリアのど真ん中に位置する絶好のロケーションにもかかわらず、周囲の立派な旅館群と異なり、この宿一軒だけぽつねんと鄙びた雰囲気を漂わせています。


隣には新湯の源泉分湯小屋が立っています。この小屋から最も近い場所でお風呂に入れる施設が「さかえ館」です。鄙びたお宿で宣伝などは特に行っていないにもかかわらず、ネットで月岡温泉を検索するとこの「さかえ館」を取り上げた温泉ファンのサイトやブログがたくさんヒットするんですから、それだけ温泉に一家言持っている御仁を満足させるお湯なんでしょうね。期待に胸を膨らませて日帰り入浴をお願いすることにしました。

 
玄関には木彫りで「旅舎榮館」と記された大きな札が立てかけてありました。以前はこれを表に出していたのかもしれませんね。中に入って声を掛けると、右側の部屋から犬を抱きかかえながらお婆ちゃんが登場。日帰り入浴を乞うと「ちょっと待ってくださいね」と奥へ行ってお風呂の状況を確認し、「大丈夫ですよ」とOKをいただいて、晴れて入浴できることに。その間、お婆ちゃんの腕に抱かれたワンちゃんはキャンキャンとけたたましく吠えて私を威嚇し続けていました。常連らしき爺さんが現れたときには吠えていなかったので、ワンちゃんは一見の客を見抜く力を持っているのかも。
浴室は玄関の左側。シンプルな内装です。湯治宿・自炊宿とはいえ、その手の施設にありがちな老朽感はあまりなく、手入れの行き届いた綺麗な館内でした。
浴室に近づくにつれ、月岡らしい油臭が漂ってきます…。


浴室は大小の2室があり、それぞれ貸し切りで使用します。こちらは小浴室で「家族風呂」として使われているようです。1~2人入ればいっぱいになってしまいそうなお風呂です。


もうひとつの浴室はご覧の通りの大きさで、3~4人は入れそうな浴槽がひとつ据えられています。全面タイル貼りで明るく綺麗なお風呂です。今回は先客がいなかったため、こちらの浴室を一人で使わせていただきました。こちらの宿のお風呂は男女の区別がないため、普段は利用客同士で譲り合いながら、うまい具合にやりくりしているそうです。


浴室にはシャンプー類の他、画像のように石鹸とヘチマのスポンジが備え付けてありました。これで体を洗ってくれ、ということなんでしょうが、他の人が使ったヘチマスポンジはあまり使いたくないなぁ。なお洗い場には水の蛇口しか無いので、掛け湯のときには浴槽から桶で直接汲むことになります。

 
コップが置かれた湯口から源泉が投入されています。加温循環消毒などは為されていない掛け流し。お湯は浴槽縁に開けられた二つの切り欠けから排湯されており、人が入るとしっかりオーバーフローしていきます。月岡らしく綺麗な翠色の透明のお湯で、焦げたような硫黄臭と油臭が混じりあった強い刺激臭や、苦味・渋み・塩味・硫黄味が混淆した味もしっかり月岡らしさを主張しています。湯口まわりや浴槽の縁に見られる黒ずみは油が原因でしょうね。こちらで使われているお湯は新湯源泉ですが、前回取り上げた「浪花屋旅館」で利用されている旧湯より匂い・味ともに若干マイルドであるように感じられました。
湯面には油が沢山浮いており、窓から差し込む日の光を反射して虹色に輝いています。湯中では細かくて灰色を帯びた綿状の湯の華が沢山舞っていました。さすが美人の湯だけあってツルツルスベスベ感が強く、よく温まります。


含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉 50.0℃ 
(HS-:88.4mg/kg)

JR羽越本線・月岡駅より新潟交通観光バス(路線バス)で約10分、月岡新湯下車、徒歩1分
またはJR白新線・豊栄駅よりシャトルバスで23分・200円、月岡新湯下車、徒歩1分
新潟県新発田市月岡温泉552-24  地図
0254-32-2424

日帰り入浴館可能時間:要問合せ
300円
シャンプー類あり、ドライヤー貸し出し、貴重品帳場預かり

私の好み:★★★







コメント (2)
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月岡温泉 浪花屋旅館

2011年05月23日 | 新潟県

硫黄含有量が日本第2位といわれている月岡温泉は、結構な軒数のお宿があるわりに、源泉掛け流しでお湯を提供しているところが意外と少ないんですが、浪花屋旅館さんはそんな数少ない源泉掛け流しのお湯に入れるお宿のひとつであると聞いたので、某日日帰り入浴をお願いしてきました。
こちらはタバコ屋さんも兼ねており、玄関左側にはそのカウンターが設けられています。訪問時も軽トラで乗りつけたお爺ちゃんがタバコを購入していきました。


宿の目の前には「月岡温泉発祥の地」の石碑と並んで、6号源泉の小屋があります。この6号源泉のお湯は浪花屋さんにも配湯されています。源泉から至近距離ゆえ、他のお宿より新鮮な状態のお湯を堪能できるんでしょうね。入る前から期待しちゃいます。

 
玄関に入って声を掛けると、タバコ屋のカウンターに座っていた女将さんが出てきて対応してくれました。玄関を上がったところには、「当館の温泉は源泉掛け流しでございます」と書かれた小さな札が立てられていました。遠慮気味ながらもしっかりと掛け流しであることを誇示しています。


建物右手へ入って廊下を進むと、その突き当たりに浴室がありました。浴室手前には洗面台が並んでいるのですが、そこの水栓が見事なまでに黒く硫化しており、洗面台が真っ白いのでその黒さがとても際立っていました。温泉を直接被らないところですら硫化しているのですから、よほど硫黄分が強いんでしょうね。そんなことを思いながら脱衣所に入ると、さっそく月岡ならではの油臭が匂ってきました。

 
お風呂は男女別の内湯がひとつずつ。ご覧の通り浴槽は小さめで2~3人サイズといったところでしょうか。洗い場のカランはシャワー付き混合栓が2基。湯口から絶え間なく源泉が供給され、浴槽縁の切り欠けから排湯されています。その切り欠けから排水口までは成分付着により真っ黒。まるでコールタールでも垂らしたかのような色です。湯船に入ると勢い良くお湯があふれ出すのでとっても爽快です。湯口を良く見るとちょっと白いものが付着していますが、これも硫黄分なんでしょうね。


きれいな翠色透明のお湯。黒や灰色の綿みたいな湯の華が沢山浮遊しています。浴槽のタイル目地は油分のためか若干黒ずんでいます。湯面を良く見ると油の膜が浮いているのが確認できます。ちょっと熱めですが少しずつ体を慣らしていけばすぐに湯船に入れるようになりました。
クレゾール的というか、焦げたような硫黄臭と石油臭が混ざったような強い匂いが鼻を刺激しますが、人体は面白いもので、しばらくするうちにこの刺激臭に慣れて不感になってゆく自分に気づきました。いや、これは油臭が好きな私独特の感覚で、この臭いが苦手な方はな慣れないのかもしれませんが…。口に含むと、舌や口腔が痺れるような強い苦さ+塩味+焦げた卵黄のような硫黄味がミックスされて感じられます。美人の湯を称するだけあって、ツルツルスベスベ感が非常に強く、湯上りもこれが持続しました(肌の弱い方は逆に肌荒れを起こすことがあるそうなので要注意)。

お湯が浴槽に落ちる音だけが響く、静かで落ち着いたシンプルな浴室で、加水加温循環消毒なしの完全掛け流しの個性的なお湯をじっくり堪能することが出来ました。


月岡5号井・6号井
含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉
5号井:50.7℃ pH7.5 440L/min(動力揚湯) 溶存物質3565mg/kg 成分総計3600mg/kg 
6号井:49.0℃ pH7.6 141L/min(動力揚湯) 溶存物質3414mg/kg 成分総計3474mg/kg
(HS-:5号井20.7mg/kg、6号井113.6mg/kg) 

JR羽越本線・月岡駅より新潟交通観光バス(路線バス)で約10分、月岡旧湯前下車すぐ
またはJR白新線・豊栄駅よりシャトルバスで23分・200円、月岡旧湯前下車すぐ
新潟県新発田市月岡温泉609-7  地図
0254-32-2010
ホームページ

日帰り入浴時間9:00~20:00
600円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品は帳場預かり

私の好み:★★★
コメント (2)
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