温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯田中温泉 大湯

2011年05月18日 | 長野県

湯田中温泉のランドマーク的な存在である外湯。いままで何故か入ってこなかったのですが、先日入浴する機会を得たので行ってきました。そんなに大きな建物ではありませんが、風格が漂い重厚感に溢れ、1300年の歴史を刻んできた威風堂々とした佇まいに思わず圧倒されそうになります。


温泉ファンの皆さんならご存知のように、この大湯は地元の方あるいは湯田中宿泊者だけが利用でき、一般外来には開放していません(毎月26日は除く)。このカードキーで扉を開けます。

 
館内は脱衣所と浴室の一体型。石材と木材を組み合わせた伝統的な湯屋です。訪問当日は寒い日でしたが、天井の湯気抜きによって換気がシッカリ行われ、浴室内に湯気が篭るようなことはありませんでした。
浴槽は2分され、それぞれ4人サイズ。縁は木枠で底は石敷き。湯口のある山側の槽はかなり熱く、そこから流れてきたお湯を受けている道路側の槽は若干ぬるめでした(それでも43~4℃はありました)。古典的なつくりのお風呂ですからカランはありません。洗い場は排水用のスリットが入った白木の板敷き。その上を歩くと木の質感が実に気持ちよい。

 
男女の境は磨りガラス。ドボドボと湯口からお湯が注がれる音だけが湯気に木霊して室内に響いています。
無色澄明、微塩味+出汁味+芒硝味、ちょっと焦げたような出汁のような香りに弱い芒硝の匂いが混じって総じて香ばしい匂い。湯口には白い析出が付着しています。また山側の高温槽の底には白い沈殿が少々見られました。分析表では食塩泉になっていますが、含まれている硫酸塩の影響か、意外とひっかかりのある浴感です。


勿論加水加温循環消毒一切無しの掛け流し。ただ洗い場へだらしなくオーバーフローするのを防ぐためか、排湯はパスカルの原理を用いたパイプによって洗い場の隅までもっていった上で行われていました。


(↑画像クリックで拡大)
明治19年に記された湯田中温泉大湯の入浴法が掲示されています。

余計なものは何も無いのがかえってとっても味わい深い。伝統と風格を兼ね備えた素晴らしい湯屋ですね。


共益会4号ボーリング
ナトリウム-塩化物温泉 93.2℃ pH8.58 成分総計1869.4mg/kg

長野県下高井郡山ノ内町平穏  地図
湯田中温泉観光協会ホームページ

毎月3・11・18・27日と5月7日・10月7日・12月30日の9:00~17:00は清掃時間
湯田中温泉の旅館に宿泊すれば利用可能
備品類なし

私の好み:★★★

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新湯田中温泉 中華料理栄楽

2011年05月18日 | 長野県
 
長野電鉄湯田中駅から近い中華料理屋さんです。看板に小さく「内湯」と書かれているように、食事をすれば店内で入浴が出来るらしいので、興味津々、行ってみることにしました。
夕ご飯にちょうどいい時間だったので混んでいるかと思いきや、お客さんは私一人だけ。店の奥からご主人が現れ、ゆっくりとお冷の麦茶をテーブルに置き、テレビをつけてくれました。今テレビを点けるってことは、しばらく客が来なかったってことだな…。


なぜか無性に野菜が食べたかった私は五目そば(750円)を注文。あっさりとした塩ラーメンにホタテや肉入り野菜炒めを載せたもので、麺は黄色い縮れタイプですが、茹で過ぎで少々伸び気味。野菜とタマゴがこんがらがって固まっており、味も薄くてボンヤリしており、正直いまひとつ…。それでも残すのは失礼なのでちゃんと完食しました。

ご主人に入浴をお願いすると、一旦お風呂の状態を確認してからOKして下さいましたが、「うちは旅館みたいな立派なお風呂じゃないけどいいの?」「古い風呂で悪いね」「期待はずれだと思うよ、勘弁して」などと謙遜しきり。以前客から何か言われてしまったのでしょうか。でもそんなお風呂がいいんです。こちらも改めて丁重に入浴をお願いしました。


客室の奥の扉を開け、そこから階段を下りて右に折れ、真っ暗なトンネル状の廊下を進んだ突き当たりに浴室があります。照明のスイッチはセルフで点灯。スイッチがわかりにくい場所に取り付けられているので、結構難儀しました。


浴室はひとつだけ。明らかに普通の民家のお風呂とは違う脱衣所。当初からお客さんを入れることを念頭に置いた造りです。ここだけ一見すると明るい民宿のような感じですが、結構雑然としており、あまりお手入れされていない様子です。

 
2人サイズの浴槽は年代を感じさせる古いタイル貼り。所々タイルが剥がれており、隅っこに剥がれたタイルが集められていました。白い析出が付着した岩の湯口から激熱の源泉が投入されています。そのままでは熱すぎるので、水で薄めて入浴しました。
無色透明、綿埃のようなライトグレーの湯の華が多く浮遊しており、弱い芒硝の味と匂いを有し、トロミのあるお湯です。熱さゆえか泉質由来か、お湯からはキリっとした質感が伝わり、良い感じで冴えています。このような施設ですので、当然加温循環消毒などは一切無し。

 
洗い場にも源泉が出続けている蛇口があり、こちらは析出で覆われてすごいことになっていました。ここから出るお湯は一応桶で受けられていますが、その全てが使われずに捨てられています。なんて贅沢なんでしょう。ちなみにこちらで使われている源泉はご近所の数軒でしか使われていないらしく、外来者はここ以外では滅多にお目にかかれないんだとか。

人が入ればザバーっと勢い良くお湯が溢れ出すので実に爽快。新鮮で熱いピリっとするお湯を堪能できます。ご主人が謙遜していたように、確かに全体的な老朽化が激しく、私が湯船に浸かっているときも、浴槽底のタイルがボロボロといつくか剥がれていきました。浴室内も雑然としており色んな物が散らかっています。ご主人はあまり体の具合がよろしくないようで、なかなかお風呂のメンテナンスまで手が回らないのかもしれません(私の訪問時がたまたまメンテの谷間だったのかもしれませんが)。潔癖症の人には不向きですが、お湯の良さは確かですので、温泉ファンなら是非! 温泉に入れる食堂なんてユニークですね。


温泉分析表の掲示無し

長野電鉄湯田中駅より徒歩2~3分(約200m)
長野県下高井郡山ノ内町大字平隠3284  地図
0269-33-2262

食事をすれば無料で入浴できます
営業時間10:00~24:00
備品類なし(シャンプーや石鹸はゴチャゴチャとあるのですが、使っていいのか不明)

私の好み:★★★
コメント (2)
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