
大館能代空港の南側近くにある鄙びた日帰り入浴専門の温泉です。カナザワではなくカネサワと読むんだそうです。人まわりを杉木立に囲まれた長閑で静かな環境なのですが、県道24号線からちょっと奥へ入った目立たないところにあり、駐車場に車がほとんどとまっていなかったので、訪問時には長閑を通り越して物悲しさを感じてしまいました。

地域の集会場を思わせるような平屋の素朴な建物。内部には食堂も併設されており、玄関に置かれた入浴券の券売機は食券の販売も兼ねていました。受付で券を受け取ったのは若奥さんという言葉がぴったりな風貌の女性。こういうところの係員さんは大抵おばちゃんかおじちゃんなので、若い人が出てくるとその意外性にちょっとびっくりしてしまいます。

玄関入って左手が食堂、正面が女湯、右側が男湯という配置。更に右奥はお座敷のようです。
全体的に古びて草臥れている脱衣所室内は、至るところが若干カビっぽい感じ。手作り感溢れる注意書きが多く、とくに「おしりを洗って入りましょう」と書かれたイラストは場違いにメルヘンチックなので、微笑ましさすら覚えました。


意外と広い浴室。ちょっと薄暗いのですが、窓の外から燦燦と陽の光が降り注いでいるため、昼間ならこれで十分と思えるほどの照度は確保されています。洗い場にはシャワー付き混合栓が11基設置されています。

奥には更に洗い場があり、こちらにはシャワー付き混合栓が8基設けられていました。

更にその奥の屋外を窺うと露天風呂エリアを発見しましたが、現在は使用停止中になっているようで、外へ出る扉には鍵が掛かっており、浴槽にもお湯は張られていませんでした。


大きな浴槽は大小2つに分かれており、大きな方は42℃、小さな方は44℃に設定されています。源泉温度は30.6℃なのでいずれも加温されていますが、循環はされておらず放流式です。湯口から浴槽に注がれたお湯は、浴槽角の穴に吸い込まれて排水され、人が入った時などに限ってオーバーフローしていきます。
お湯はこの界隈では珍しいモール泉的な泉質で、薄い紅茶色の透明、弱い塩味+ほろ苦さ、弱いモールのような匂い+微かに油っぽい匂いが感じられます。消毒されているみたいですが、あまり気になりませんでした。ツルスベ感がはっきり得られる気持ち良い浴感です。

窓の外はとっても長閑な田園風景。空港の傍なので、タイミングが合えば飛行機の離発着を見ながら湯浴みすることができるでしょう。私が湯船に浸かっていたときには、離陸したばかりの羽田行きANA788便が機首を上げながらテイクオフしていきました。
ナトリウム-塩化物温泉 30.6℃ pH8.3 300L/min(動力揚湯) 溶存物質1299.5mg/kg 成分総計1299.5mg/kg
秋田内陸縦貫鉄道・大野台駅から徒歩15分
秋田県北秋田市上杉字金沢6-25 地図
0186-78-5020
9:00~21:00
350円
100円リターン式ロッカー・ドライヤーあり、石鹸などは販売
私の好み:★★