温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

折立温泉 大鼻旅館

2011年05月20日 | 新潟県
※2011年7月末に発生した水害により甚大な被害を受けたため、残念ながら閉館されてしまいました


奥只見や尾瀬の玄関口に当たる越後魚沼地方東部の湯之谷温泉郷。その中でも比較的小出の街に近い方に位置しているのが折立温泉ですが、今回はその折立温泉でもお湯の評判が良い大鼻旅館で日帰り入浴をお願いしてきました。国道から温泉街に入り、佐梨川に向かって下りてゆくと、その川岸に昔ながらの湯治宿然とした瓦屋根の建物が見えてきます。
折立温泉の他の宿は河岸の高いところに建てられているのですが、この大鼻旅館だけがぽつんと川の傍に位置しているため、あたかも一軒宿のような佇まいを漂わせています。


宿の隣には源泉井らしき施設が。大鼻旅館は元湯を名乗っていますから、源泉のお湯を最も近い位置で楽しむことができるわけですね。


玄関には三和土に上り框があって、古きよき旅館の風情がたっぷり。入浴をお願いすると、対応してくださったのは宿のご主人と思しきおじいさん。この方が実に丁寧で、わざわざ浴室前まで案内してくださいました。館内には小さなお社やバスケットゴール、その他いろんな置物が所狭しと陳列されていますが…

 
中でも隠れ鉄道ファンの私が目を奪われたのが何気なく飾ってある鉄道グッズ。左(上)画像を良く見ると、左側に特急列車のシートが置かれていますね。これはいわゆる国鉄のR27系リクライニングシートでして、新幹線以外の全ての国鉄特急車両に装備されたといっても過言ではない、当時の標準的なグリーン車用シートです。肘掛脇に収納する小テーブルが特徴的で、いまでは殆ど見られなくなっちゃいましたね。ちなみに半年前、私はこれと同系のシートに座って旅をしています。その様子はこちらをご覧下さい。
もういっちょ、画像右(下)は見てお解りの通り、上越新幹線の上野開業を祝う旗ですね。上越&東北新幹線は当初大宮までの暫定開業で、大宮~上野間は185系200番台による「新幹線リレー号」が運転されていました。あぁ懐かしい。幼き頃の私は赤羽駅や大宮駅のホームに立って、このリレー号をカメラによく収めたものです。その新幹線が乗り換えなしで都心に乗り入れることが出来たのですから、新潟の方々がどれだけ喜んだかは想像に難くありません。

 
閑話休題。こちらが浴室入口。男女別のお風呂が一室ずつ。その傍には洗面台も並んでいます。昔の宿の典型的な姿です。


シンプルなつくりの浴室には浴槽がひとつと蛇口が4つ。蛇口のうち2本は水が出て、残り2本は何も出ません(おそらく以前はお湯が出ていたのかも)。浴槽上の窓を開けると、すぐ目の前は佐梨川の渓流です。古いタイル貼りですが、とても丁寧にメンテナンスされており、全く古さや経年劣化を感じさせないほどピカピカに清掃されています。

 
お湯は無色透明、非常に清らかに澄み切っています。浴槽底の青いタイルが澄明さをより際立たせてくれます。無味無臭で癖の無い柔らかいお湯。ツルスベ感もはっきり感じられ、肌に優しい浴感です。微かに芒硝っぽい感触が伝わってきます。加温加水循環消毒一切なし。湯温が40℃くらいなので、いつまでも長湯することができ、優しいお湯なので長湯しても体への負担が軽いのが嬉しいところです。湯中でじっとしているとやがて細かな気泡が肌に付着してきました。
湯口にはさらしの布が巻きつけてありますが、そのおかげで浴槽内には浮遊物や沈殿物は一切なし。投入される湯量も豊富で(というか浴槽の大きさに適した量で)、浴槽の縁から大量にオーバーフローしていきます。その様子を見ているだけでも実に清清しい思いがします。

温泉は濃いお湯も個性的ですが、こんな無色透明無味無臭ながらとっても優しいお湯もまた魅力的。浴感の良さにすっかり惚れてしまい、少なくとも1時間以上はこのお湯に入り続けていました。
帰るときもご主人は一介の入浴客である私に三つ指ついてご挨拶してくださいました。お湯の良さとご主人の丁寧な姿勢がとても印象的な宿です。


折立源泉
単純温泉 40.6℃ pH8.0 380L/min(動力揚湯) 溶存物質583.3mg/kg 成分総計484.6mg/kg

新潟県魚沼市下折立237-2  地図
025-795-2136
ホームページ

日帰り入浴時間は直接問い合わせてください(玄関が開いていればOKらしいですが…)
400円
備品類なし(シャンプー類はあったかも。失念)

私の好み:★★★
コメント (1)
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新津温泉

2011年05月20日 | 新潟県
小学3年生の頃、ロサンゼルスのハンコック公園にあるラ・ブレア・タールピット(ページ博物館)で自然に湧出するコールタールとそこに漂う強い油臭を体験して以来、石油臭の虜になってしまった変態な私。温泉巡りをはじめてから、油臭がする温泉の聖地として有名な新津温泉には何度か足を運んでいたのですが、ここ数年ちょっとご無沙汰してしまい、先日ふと油臭が無性に恋しくなったので、久しぶりに行ってみることにしました。

 
相変わらず茅屋然とした建物であることに、ちょっと安堵。ここに初めて訪れた十数年前、(画像に写っていませんが)隣のショッピングセンター(現ベルシティ新津)は長崎屋でした。
玄関左側の小窓を開けてお婆ちゃんに料金を支払います。


湯屋の傍には錆びて薄汚れた源泉井のタンクが佇んでいます。中からはボコボコとお湯の踊る音が聞こえてきます。


廊下を歩いて玄関から浴室へ。大広間の前の廊下にはポットが沢山並べてありました。湯上りにいただくお茶用でしょうね。


脱衣所も以前とほとんど変わっていません。変わったところといえば、灰皿が消えている…。

 
浴室のガラス戸には真新しい注意書きが貼られており、「温泉の回りにガスが出ています。絶対に禁煙でお願いします」とのこと。噂によると、東日本大震災後に灰皿が撤去されたり火気厳禁の注意書きが貼られたんだとか。地震によって可燃性ガスが多く噴出するようになったのでしょうか。


脱衣所に入った時点で鼻を突いてくる油臭は、浴室では濃厚に充満しており、お湯に入る前から既に私は興奮気味。お湯は以前とあまり変わっていないように見受けられますが、かなり久しぶりで記憶が不確かなので、以前との比較はあまりできません。
塩ビのパイプから源泉が注がれ、浴槽の切り欠けから溢れて排湯されていきます。無色透明ながら若干濁って見えるお湯は、浴槽のタイルのおかげでターコイズグリーン色に見えます。タイルの目地が黒ずんでいるのは石油の影響でしょうか。湯中では微細な灰白色の浮遊物が舞っており、これが濁って見える原因かもしれません。熱くもぬるくもないちょうど良い湯加減。トロトロとしたお湯で、重曹パワーの影響なのかツルツルスベスベ感の強い浴感。濃い食塩泉ゆえにとってもしょっぱく、湯口にコップが置いてありますが、塩辛い上に油臭が強いこんなお湯をゴグっと飲む人なんているのかしら。

油臭にまみれて暫し恍惚ひとときを過ごしていたのですが、やがてこの匂いのために頭がクラクラしはじめ、軽く頭痛や吐き気を催してきたので、後ろ髪をひかれる思いでお湯から退散。非常に良く温まるお湯ですが、それ以上に油臭が全身にこびりついて、湯上り後もなかなか消えません。特に髪の毛は臭いが取れにくい。ガソリンスタンドに寄っていないのに車の中は石油の匂いに満たされ、翌日になっても残り香が漂っていました。

かつては産油量日本一を誇った新津油田の名残であるこの温泉。いつまでも私たち油臭温泉ファンを魅了し続けてほしいものです。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉
44.7℃ pH7.6 20L/min(掘削自噴) 溶存物質13820mg/kg 成分総計13880mg/kg
(平成21年7月27日調査・同8月21日分析終了)

JR新津駅より徒歩15分(約1200m)
新潟県新潟市秋葉区新津本町4-17-13  地図
0250-22-0842

8:00~19:00
300円
備品類無し

私の好み:★★★


コメント (2)
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若槻温泉

2011年05月20日 | 長野県
長野市街の北部郊外に鎮座する蚊里田神社の傍に、2005年オープンした比較的新しい温泉入浴施設です。長野駅から路線バスに乗っていってみることにしました。


長野駅前6番のりばから1系統の東長野病院行バスに乗車。

 
蚊里田神社前バス停で下車。辺りを見回すと「若槻温泉」と書かれた看板が立っているので、それに書かれた矢印に従って先へ進みます。

 
長野市が運営する市民農園のひとつである「サラダパーク蚊里田」付近まで来ると、とっても見晴らしが良く、眼下に広がる善光寺平の向こうに青い山々が綺麗に聳えていました。

 
バス停から10分も歩かないうちに到着。南欧調のちょっと瀟洒な建物です。


小洒落た外観とは裏腹に、館内では農産物の直売や食料品・雑貨の販売が行われていました。フロントに隣接してお座敷の休憩室兼軽食コーナーも設けられています。思いっきり日本の地方の入浴施設そのものですね。


お座敷から外を見ると、そこには南欧風のテラスが。この極端な和洋折衷が面白いなぁ。

 
こちらの施設の「売り」は癒浴室でのラジウム温浴でして、ラジウム原石の入った湯船に源泉掛け流しのお湯が注がれており、そこへ係員の指示に従って水着で40分~50分ほど入浴するんだそうです。館内の壁にはお客さんの体験談がビッシリと張られており、皆さん大絶賛されていました。この効能を信じるか否かは皆さんにお任せするとして、私はそのラジウム温浴をパスして普通の温泉浴場へ。

 
脱衣所の壁面はグリーン一色に統一。比較的綺麗にまとめられています。

 
浴室のカランは全て混合栓で、シャワー付きが6基、シャワーのみが1基、スパウトのみが1基といった構成。カランからは金気を帯びた加熱済みの源泉が出てきます。

  
内湯は5~6人サイズ。湯面上に見えるパイプの他、底にもパイプが設置されており、それぞれから加温された源泉が湯船へ投入されています。

 
露天は2~3人サイズの小さなもので、とりあえず造ってみましたという感じでしょうか。湧出量は毎分1030リットルなので、もう少し大きな浴槽でも湯量的には問題ないような気もしますが。お風呂の前にはハーブが植えられた小さな庭、その向こうに広がる杉の木立の間から志賀方面の山々が綺麗に聳えています。訪問時には善光寺の鐘の音が聞こえてきました。とってもいい雰囲気です。

お湯は白みを帯びた橙色に強く濁り、透明度は内湯で15cmほど、日の光が差し込む露天ではもう少し透明度が増して浴槽中の段が見える程度です。口にすると、赤錆のような金気味+マイルドだが明瞭な塩味+土気味+苦み少々+えぐみ+微かに焦げたゴムのような風味、というようにとっても複雑な味が感じられ、匂いは金気臭+微かな焦げゴム臭+弱い土気臭といった感じ。食塩泉的なスベスベ感と引っかかり感が混じる浴感です。冬季は内湯・露天とも加温されていますが、しっかり掛け流されており、浴槽からオーバーフローしています。
露天エリアで体を拭かずに温泉のお湯がついたままの肌を乾かしていたら、温泉成分がうぶ毛に付着して毛が金髪みたいに染まってしまいました。濁り具合からもわかるように結構濃いお湯なんですね。どうやら善光寺平の周辺部には、ここや松代の温泉のように、鉄分赤錆で橙色濁りの食塩泉が点在しているようですね。
ちょっと分かりにくい場所にあるので知名度はそんなに高くありませんが、それゆえ穴場のような静かな環境で濃いお湯を堪能することができました。


ナトリウム-塩化物温泉 40.8℃ pH7.3 1030L/min(動力揚湯) 溶存物質4565mg/kg 成分総計4592mg/kg

長電バス1系統の東長野病院行バスで蚊里田神社前下車(所要約30分・400円)、徒歩5~10分
長野県長野市若槻東条1300-3  地図
026-295-4546
ホームページ

11:30~20:00 毎月21日休み(土日祝の場合はその翌日)
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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