温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鎌先温泉 最上屋旅館

2011年11月04日 | 宮城県
 
開湯が1428年という長い歴史を有する鎌先温泉は、周囲の地形が白石の里から蔵王の山へと変わってゆく境界で静かに湧いている小さな温泉郷。バス停はいかにも田舎な感じのかわいらしいもので、待合小屋の中はちいさな図書館になっていました。

 
当地には5軒の旅館が軒を並べていますが、今回は「最上屋旅館」で立ち寄り入浴をお願いしました。こちらも寛政年間創業の老舗で、趣のある重厚的な木造建築は昭和初期のものなんだそうです。訪うと丁寧に接客してくださいました。玄関から左の廊下を歩き、階段を上がって渡り廊下を進み、再び1階に下りるとようやく浴室です。ちょっとした迷路みたいで、方向感覚が鈍い人は迷子になっちゃうかも。でもさすが老舗だけあって、館内はどこも綺麗に磨かれており、廊下からちらっと覗ける外の景色もなかなかの趣きですので、迷子を敢えて楽しんでみるのも一興だと思います。

館内には複数のお風呂があるそうですが、日帰り入浴で利用できるのは「東光風呂」と「三宝風呂」2室で、男女入替制となっているようです。訪問時は「東光風呂」は男性用、「三宝風呂」は女性用となっていました。


旅館らしく脱衣所もお上品な雰囲気。この「東光風呂」は脱衣所も浴室も小さめです。洗い場にはシャワー付き混合栓が3基。浴室には湯気が籠っており、窓を開けて換気しないとサウナ状態になってしまいそうでした。
浴槽に張られたお湯は、グレープフルーツジュースのような薄い黄色に若干赤みが混じっている色を帯び、底がボヤけて見える程度に弱く濁っています。口に含むとマイルドで明瞭な塩味と鉄が塩で錆びたような赤錆味が、鼻では赤錆びのような金気臭と砂消しゴムのような臭いが、それぞれ混じりあいながら感じられました。また、食塩泉のツルスベの中に、金気の多い温泉によくある引っかかりが混在しているような浴感でした。湯中では赤っぽい橙色で直径1~2mmの湯の花が浮遊していました。
源泉温度は36℃のため、常時加温されていますが、加水消毒循環なしで放流式の湯使いを実践しているところは素晴らしいですね。源泉投入量がやや少なめのように見受けられましたが、常時加温しながらの放流式なのですから、燃料代のことを考えたら、湯量が絞られるのは仕方ありません。加温は程ほどに控えられているため、ぬるめのお湯でじっくり長湯することができました。

この「東光風呂」は全体的に小さな造りでして、もう一方の「三宝風呂」はこの倍近い広さがあるらしいのですが、次回はそちらが男湯になる日を狙って再訪してみたいものです。歴史ある名湯を静かで味わえる、とっても素晴らしいお風呂でした。


三宝の湯
ナトリウム-塩化物。・硫酸塩温泉 36.0℃ pH6.7 溶存物質3081.7mg/kg 成分総計3127.9mg/kg
Na:861.2mg(83.52mval%), Ca:113.1mg(12.58mval%), Cl:823.9mg(52.60mval%), SO4:716.2mg(33.75mval%), HCO3:356.5mg(13.22mval%)
源泉温度が低いため常時加温、加水・循環・消毒なし

JR白石駅から白石市民バス「福岡線」で鎌先温泉下車(所要20分)(休日運休)
宮城県白石市福岡蔵本字鎌先1-35  地図
0224-26-2131
ホームページ

日帰り入浴10:00~15:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする