温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯之元温泉 家族湯 ゆぅ~ゆぅ~

2016年02月06日 | 鹿児島県
 
東男の私が九州を温泉巡りしていて当地を羨ましく思うのが、家族風呂の多さです。私のホームグラウンドである関東や東北では、家族風呂(貸切風呂)の数が少なく、料金設定も高止まりしているのですが、鹿児島・大分・熊本を中心にして九州にはワンコインで利用できる廉価な貸切風呂があちこちに点在しており、誰にも邪魔されずに温泉を楽しみたい時にはもってこいです。今回はそんなリーズナブルな貸切風呂を利用できる湯之元温泉の「家族湯 ゆぅ~ゆぅ~」に立ち寄りました。
路傍に立つ看板に導かれながら、駐車場にレンタカーを停め、受付へと向かいます。


 
その名称からもわかるように、こちらは貸切風呂だけで営業している施設であり、本館に並ぶ12の個室のほか、別館には2室の大風呂、そして川沿いの離れには2つの露天風呂があり、すべて貸切で利用します。私は一人で伺いましたので、本館の個室を利用することにしました。上画像の窓口で申し込みますと、たまたま空室があったので、待ち時間無しで利用することができました。


 
今回宛てがわれた個室は「15号室」。受付で鍵を受け取り、指定された個室へと向かいます。


 
ドアノブに「入浴中」を札をぶら下げて入室します。4畳半ほどの広さがありそうな室内には、タイル床の上にスノコが敷かれており、4つ枠の棚がくくりつけられ、ドライヤーも備え付けられていました。また室内にはエアコンのダクトが伸びており、湯上がりにこのダクトから吹き出す冷風で体をクールダウンすると、実に爽快でした。


 
浴室は一般家庭のお風呂をひと回り大きくさせたような広さがあって、基本的な構造は一般家庭のお風呂とほぼ同様ですが、室内には温泉由来の焦げたようなタマゴ臭が充満しており、浴室のドアを開けた時点でお湯への期待が膨らみます。全面タイル張りの浴室にはシャワー付き混合水栓がひとつ、そしてお湯と水の蛇口のペアが1セット設けられ、窓の下にはタイル張りの浴槽が一つ据えられています。広さや備品の数から考えて、このお風呂は1~2人(プラス小さな子供)が適当なキャパかと思われます。


 
カランから出てくるお湯は源泉100%の温泉であり、温泉には硫黄が含まれるため、水栓金具は硫化により黒く変色していました。カランのお湯の温度を測ってみますと、56℃という高温です。さすがにこのままの高温でお湯を浴びる人はいないでしょうから、カランを使う際には必ず水で薄めることになります。カランのお湯からは後述するようなお湯の特徴がしっかりと伝わってきました。


 
浴槽は2人が入れるサイズで、1人でしたら悠々と足を伸ばして湯浴みできちゃいます。貸切風呂には、利用の都度お湯を張り替えるところと、常時お湯を張りっぱなしのところがありますが、こちらの施設は後者であり、利用時に湯船の湯加減がいまひとつでしたら、自分でお湯や水を加えて、好みの湯加減にして構いません。私が利用したこのお風呂はちょっとぬるかったので、お湯のコックを開いて源泉のお湯を吐出させたところ・・・


 
アツアツのお湯が供給され、コックを全開させたら、コック下にある湯溜まりの水面がコンモリ盛り上がるほど、大量に吐出され、あっという間に湯船の温度が上昇。それだけに留まらず、浴槽からはお湯がドバドバ溢れ出て、洗い場がすっかり洪水状態になってしまいました。それだけこちらの源泉は湯量が豊富なのですね。

お湯は無色透明で湯中では白い湯の花がチラホラ舞っています。お湯を口に含むと苦味の強いタマゴ味が感じられ、特に苦味は口腔内の粘膜にしぶとく残って、喉がいがらっぽくなりました。またマイルドながらもはっきりと、焦げた臭いを伴うイオウ臭が湯面から漂っていました。アルカリ性泉らしいツルスベ感が肌に伝わり、その滑らかな浴感は湯浴み客を虜にさせること必至。私も浴感が気に入ってついつい長湯をしてしまい、前後不覚になるほど火照ってふらふらになってしまったのですが、脱衣室にあるダクト式エアコンの冷風のお陰で、湯上がりには見事に気力が蘇りました。
新鮮なお湯を贅沢に継ぎ足すことができ、しかも誰にも邪魔されず、自由気ままに湯浴みできるこの貸切風呂は、平日でしたらなんと一人500円、つまりワンコインで利用できるのですから、この上なくありがたい施設です。湯量が豊富で且つ温泉と人々の生活が密着しているご当地だからこそ成り立つ営業形態なのでしょう。気に入りました。


 
 
今回は利用していませんが、受付から通りを挟んだ反対側の川沿いにあるのが、この2室の露天風呂。赤い鳥居が目印ですね。内部は見学できませんでしたが、受付には内部の写真が掲示されており、これによればなかなか広い空間が確保されているみたいです。ちなみに、この露天エリアに建つコンクリの躯体は、おそらく源泉井や貯湯設備なのでしょうね。


湯之元国道以北19号泉
単純硫黄温泉 67.6℃ pH8.6 溶存物質663.0mg/kg 成分総計664.0mg/kg
Na+:176.5mg(91.76mval%),
F-:10.1mg, Cl-:122.2mg(39.38mval%), HS-:14.7mg, S2O3--:4.8mg, SO4--:55.8mg(13.24mval%), HCO3-:143.4mg(26.83mval%), CO3--:22.2mg(8.45mval%),
H2SiO3:95.4mg, H2S:0.4mg,
(平成19年2月19日)

JR鹿児島本線・湯之元駅より徒歩9分(約800m)
鹿児島県日置市東市来町湯田3460-18  地図
099-274-0526

10:00~23:00 月曜定休
本館個室900円/1時間(平日のみ1名500円、土日祝1人800円)
大風呂(5名まで)1400円/60分・2000円/90分
露天風呂(5名まで)1800円/60分・2500円/90分
人数に応じた料金設定あり。詳しくは施設へお問い合わせください。
ドライヤーあり、各種入浴グッズ販売あり

私の好み:★★+0.5
コメント
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