温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

川内高城温泉をお散歩

2016年02月14日 | 鹿児島県
江戸時代以前からの長い歴史を有し、湯治場として人々に愛されてきた川内高城温泉は、山間にレトロな街並みがひっそりと佇む小さな温泉街。まるごと時空の狭間に迷い込んで、そのまま時代の流れに取り残されたかのような集落に、昔ながらの鄙びた湯治宿が軒を連ねています。拙ブログでは数回連続でこの温泉に関して取り上げてまいりましたが、温泉宿を擁するこの集落はとても小さく、温泉街の隅から隅まで歩いても数分で歩き切ってしまい、湯浴みする以外に楽しみが無いようにも思われます。でものんびり歩いてみたら、随所に目を惹く光景が散見されましたので、一泊した翌朝に散歩してみることにしました。


 
これが温泉街のメインストリート。車一台分の幅員しかないこの細い一本道に沿って、小規模の湯治宿や商店が軒を連ねているわけです。


 
斜陽どころかすっかり日が暮れちゃったかのように渋く鄙びた温泉街ですが、その中でもこの酒屋さんは一生懸命華やかに当地を盛り上げようとしていました。


 
温泉街の西の端には、湯に浸かる西郷さんの大きなモニュメントがあるのですが、夜中に見たらちょっと不気味かも。この西郷さんの更に西には、当地唯一の旅館且つ高層建築である「ホテルマル善」がそびえ立っているのですが、ネット上の情報によれば、どうやら現在は旅館営業ををやめてしまったらしく、入浴のみ受け付けているとのこと。本当なのかな?



私はレンタカーでこの地へやってきたのですが、もし公共交通機関で訪れる場合は、JR川内駅などから薩摩川内市の北部循環バスでアクセスすることになります。市のコミュニティーバスですが、実際の運行は南国交通に委託されているようです。上画像がそのバスの車両ですが、この一般的な車両の他、ボンネットを擁するレトロタイプの車両も運行されるんだそうです。


 
この温泉街はとにかくニャンコが多い。私が宿泊した「竹屋旅館」の前では、人懐っこい三毛猫が体をすり寄せて甘えてきましたし、その近所でウロウロしていた白いネコも甘ったるい鳴き声でこちらに媚びてきました。場所柄、他所者に甘えることに慣れているのでしょうね。


 
車道から離れて、川沿いの細い路地へ入ってみることに。路地に立ち並ぶ民家のうち、数軒はいまにも崩れ落ちそうな陋屋でした。ただでさえ哀愁たっぷりの集落なのに、こうした家屋が余計に悲哀を強くしていました。


 
このの細い路地を上がってゆくと、どことなく他の民家を雰囲気が異なる仕舞た屋に遭遇。壁に「理容」の2文字が掲げられているので、おそらくこの民家は床屋さんなのでしょう。玄関の引き戸には「厚生大臣認可 Sマーク理容店」と印刷されたステッカーが貼られていましたが、カーテンが下ろされており、いまでも営業しているかは不明です。


 
細い川を更に遡ると、公民館に行き着きました。注目すべきは玄関前に立つ、苔むして古びた二宮金治郎像。いまどき二宮金治郎の像は珍しいですよね。台座には「勤勉正直」と彫られているのですが、ここってかつては学校関係の施設だったのでしょうか?



公民館のすぐ近くで工事中の建物を発見。私が訪れた時には、あとちょっとで竣工というような感じでしたが、案の定、その後まもなくしてこの建物は「高城の湯 ゆすら」としてオープンしました。温泉の内湯はもちろん、サウナも設けられており、客室は和室の他にベッドの洋室も用意されているという、現代ニーズにあったファシリティとなっているようです。しかも素泊まりの他、別途申し込めば夕食や朝食もいただけるそうですから、これまで自炊するか街中へ出て食事する他なかった当地において、とても利便性の高いお宿が生まれたことになりますね。
こちらの他、昨年は「癒しの湯宿 しもぞの」もオープン。いままで時計の針が止まっていたこの温泉街に、俄然2軒の新しい宿が誕生したことになります。新風が吹き込むことにより、古き良き佇まいと現代的なサービスが上手い具合に調和する、素敵な温泉街に昇華してほしいですね。あくまで個人的な見解にすぎませんが、日本の昔ながらの光景を好むアジア圏の観光客に、こうした温泉街はウケそうな気がします。


 
こちらは温泉街の集落の鎮守である熊野神社。狛犬の台座には「皇紀二千六百年記念」と彫られていますので、昭和15年に設けられたものなのでしょう。もちろん神社自体の歴史はそれよりはるかに古く、創建は江戸時代の貞享2年(1685年)なんだそうです。


 
神社は集落を見下ろす小高いところに本殿があり、境内に立つと温泉街を一望できます。山間の狭い集落に瓦屋根が櫛比している様子がわかります。またその奥に聳える「ホテルマル善」だけが妙に目立っているのも一目瞭然です。

この神社の上の方に温泉の貯湯槽があり、2つの源泉を集めてその貯湯槽にストックし、下に広がる各宿や共同湯などに配湯しています。右(下)画像に写っている、神社下の駐車場と思しきスペースにある小屋は、2つある源泉のひとつです。ちなみに、もうひとつの源泉は「川内岩風呂」の裏手にあるんだそうです。

このようにぶらぶら散策しても面白いこの川内高城温泉。公式サイトにはイラストマップも用意されていますので、この温泉に一泊したら、スマホ等に表示しながらレトロでほのぼのとした温泉街を散策するもの一興かと思います。
 
 川内高城温泉公式サイト
 (上の絵地図サムネイルをクリックしても公式サイトへ飛べます)

川内高城温泉はひとまずこれにておしまい。
次回以降の記事も鹿児島県の温泉を取り上げます。
コメント (3)
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