温泉浴場の宝庫、加久藤盆地の吉松地区へやってまいりました。このエリアにはたくさんの温泉があるのですが、今回訪れたのは「安楽温泉整骨院」です。整骨院と言っても、旅行中に骨折したわけじゃありません。九州の温泉ファンはご存知かと思いますが、この整骨院には温泉公衆浴場が併設されているのです。
整骨院の受付や施術室がある本棟の左側に、まるで納屋のような可愛らしい湯小屋が建っています。外観から想像するに、そんなに古い建物には見えず、おそらく建てられてから10年前後ではないのかな。浴場自体は無人。出入口は男女に分かれており、女湯入口の横に取り付けられているポストへ湯銭を納めます。
外観からも容易に想像できるように、浴場内はかなりコンパクトであり、脱衣室も3畳あるかないかで、棚と扇風機が備え付けられているばかりですが、お手入れが行き届き綺麗に維持されていました。室内のコルクボードにはいくつかの人生訓が貼り出されていたのですが、ここに限らず、民間公衆浴場の脱衣室には、なぜかこうした教訓めいた言葉が並べられる傾向にありますよね。
浴室も脱衣室とさほど変わらないほどのスペースしかなく、タイルと防滴建材で構成された実用的な造りなのですが、大きな窓があり、しかもサンルーフ状に外側へ出っ張っているため、陽光が燦々と降り注ぎ室内はとても明るく、狭さもかなり払拭されていました。
サンルーフ状の出窓には桶や腰掛けが並んでおり、公衆浴場らしい光景を生み出しています。天井に埋め込まれたスピーカーからは有線放送と思しき演歌が途切れることなく流れ続けていました。青森県では演歌の流れる温泉銭湯がよく見られますが、鹿児島県では珍しいかもしれません。
コンパクトなお風呂ですが、洗い場はちゃんと用意されており、混合水栓が2基取り付けられていました。うち1基はシャワー付きであり、カランから出てくるお湯は温泉です。なおボディーソープの類は備え付けられていおらず、販売もされていないので、あらかじめ持参する必要があります。
タイル張りの浴槽は1.5m×2mで、大体3人サイズ。バルブ付きの湯口から源泉のお湯が吐出されており、私が入室した時にバルブは半分程度開いたのですが、全開にしても湯加減に大して影響は無さそうだったので、数分間だけ全開にさせてもらったところ・・・
私が湯船に入ったら、浴室内が洪水状態になり、上の小さな画像でもわかるほど床タイルの上がオーバーフローで波立ちました。お湯がもったいないので、すぐにバルブを元通りにしておきましたが、新鮮なお湯で豪快な湯浴みを楽しめ、とっても満足です。無論、完全放流式。文句なしにフレッシュなお湯です。
加久藤盆地に湧くお湯はモール泉が多いのですが、こちらの源泉もやはり同様であり、見た目は無色透明に近いのですが、ほんのり琥珀色を帯びており、湯中には半透明の細かな浮遊物がチラホラしています。浴槽内はブラウンのタイルが用いられているのですが、お湯も薄い琥珀色ですから、湯船では琥珀色が余計に強調されているようにも見えました。また薄いながらもモール泉らしい知覚的特徴が得られ、具体的には木を燻したような香ばしい匂いや鉱物油のような匂い、ほろ苦味、重曹味、そしてちょっと焦げたような味が感じられました。匂いや味のみならず、浴感もモール泉そのものであり、ツルツルスベスベの滑らかな浴感がとても気持ち良く、湯上がりは粗熱の抜けが良いので爽快感も極上。大量掛け流しゆえの新鮮さも相俟って、実に清々しく心地の良い湯浴みが堪能できました。
吉松川東19号泉
アルカリ性単純温泉 55.9℃ pH8.9 溶存物質254.7mg/kg 成分総計254.9mg/kg
Na+:46.4mg(97.12mval%),
HCO3-:105.0mg(69.64mval%), CO3--:18.0mg(24.29mval%),
H2SiO3:78.5mg, CO2:0.2mg,
(平成19年4月6日)
JR肥薩線および吉都線・吉松駅より徒歩15分(約1.2km)
鹿児島県姶良郡湧水町中津川1086-1 地図
0995-75-2266
利用可能時間不明
200円
備品類なし
私の好み:★★★