前回記事の続編です。
お部屋や食事の後は、拙ブログの主題である温泉へと話題を移しましょう。
こちらのお宿では2つの大浴場のほか、複数ある貸切風呂を事前予約により利用できるのですが、まずは予約せずに入浴できる大浴場から入ってみることにしました。
2つの大浴場は「錦江の湯」と「大隈の湯」。男女日替わりとなっており、朝に入れ替わりますので、宿泊すれば両方に入ることができます。結論から申し上げてしまえば、両者は基本的にシンメトリな構造であり、共通点が多いのですが、露天風呂をはじめとして細部に差異がありますので、その違いに注目しながら、双方を見てゆくことにします。
●錦江の湯
私がチェックインした日は、右側の「錦江の湯」に男湯の暖簾が掛かっていました。
奥行きのある浴室には、2つの浴槽と洗い場が設けられています。
洗い場にはシャワー付き混合水栓が7基並んでおり、備え付けのアメニティーは、シャンプーとコンディショナーがちゃんと分かれていますので、せっかくお風呂に入ったのに髪の毛がゴワゴワ、という心配をする必要はありません。この洗い場に向かい合う形で半円形の浴槽が設けられているのですが、これは浅い寝湯で、後述する主浴槽から流れてくるお湯を受けています。
窓の下に据えられている主浴槽は、手前側が大きな曲線を描いており、そのカーブは上述した寝湯の半円へと繋がっています。こちらのお宿では、単純泉(丸尾12・13・14・15号混合泉)と硫黄泉(丸尾97号泉)という2種類の源泉が浴槽によって使い分けられているのですが、内湯の浴槽に引かれている源泉は単純泉で、前回記事で取り上げた飲泉所と同じお湯です。この単純泉はその名前に反して、その特徴は決して単純ではありません。湯船のお湯は無色透明ですが、ちょっと大きめのアイボリー色をした湯の花が沈澱しており、硫黄の存在を予感させます。そして石積みの湯口はまるで硫黄泉のように白く染まり、硫酸塩泉のようなトゲトゲとした析出がびっしりこびりついていました。単純にあらざるは見た目のみならず、その湯口からは刺激を伴う硫化水素臭がはっきりと香り、硫黄泉みたいな味がほんのりと感じられました。
露天風呂は霧島の山裾と錦江湾、そして桜島を一望する絶好のロケーションです。「錦江の湯」の露天風呂は四角い石造りの3〜4人サイズで、浴槽の上には屋根が掛かっていますが、前方の視界を遮るものは無く、高い空と果てしない景色の只中で開放的な湯浴みを楽しむことができました。この眺望は本当に素晴らしい。時間を忘れていつまでもここで過ごしたくなります。
露天風呂のお湯は硫黄泉。湯口からチョロチョロと注がれてるお湯からは、刺激を伴う硫化水素臭が香り、口に含むと弱い酸味と少々のタマゴ味が感じられました。湯船の中では湯の花がたくさん沈澱しており、私が湯船に入る前は透明だったのですが、湯船に入ってお湯が動くと、忽ち沈澱が舞い上がって黄色を帯びた白濁へと変貌しました。
●大隈の湯
朝に男女が入れ替わるため、翌朝は「大隈の湯」が男湯でした。
浴室はお隣「錦江の湯」とシンメトリであり、基本的に構造はほぼ同一です。館内に掲示されている各種説明が異なる程度でしょうか。
主浴槽も「錦江の湯」と同形状のシンメトリで、使用源泉も単純泉に変わりないのですが、湯口の形状が異なっており、こちらは白い湯の花がビッシリ付着して、白いモンスターのような姿になっていました。また浴槽内にもたくさんの湯の花が沈澱および浮遊していました。こうした状況を見ると、このお湯がとても単純泉だとは思えません。名前が単純だからと言って侮るなかれですね。
こちらの露天風呂も素晴らしい眺めですが、浴槽のスタイルが異なり、こちらは歪な円形の岩風呂となっているのでした。
露天風呂の庭先では、竹樋からお湯が落とされていたのですが、これって何なのでしょう?
この朝も露天風呂から桜島が綺麗に眺望できました。その雄大さと秀麗さを画像や文章でお伝えできないのがとても残念です。
レモンイエローを帯びたホワイトに染まる湯口からお湯が注がれています。
このお湯は「錦江の湯」の露天風呂と同じく硫黄泉。底には黄色みを有する白い湯の花がたくさん沈澱していて、私が湯船に浸かると一気に黄白濁を呈したのですが、しばらくすると再び沈澱して透明度が蘇ってきました。
次回および次々回記事では貸切露天風呂を取り上げますが、開放感や眺望で評価するなら、両大浴場の露天風呂が抜群です。日本にが温泉が無数にありますが、これほどの眺望を楽しめる露天風呂は、なかなかお目にかかれないかと思います。日帰り入浴では「錦江の湯」か「大隈の湯」のいずれかに入れますから、日帰り利用でも十分にお風呂の魅力を満喫できるでしょう。
丸尾12・13・14・15号混合泉
単純温泉 62.4℃ pH6.8 溶存物質822mg/kg 成分総計915mg/kg
Na+:100.9mg(58.61mval%), Mg++:5.1mg, Ca++:40.5mg(26.97mval%),
Cl-:48.0mg(18.85mval%), SO4--:68.3mg(19.83mval%), HCO3-:267.3mg(61.17mval%),
H2SiO3:262.3mg, CO2:92.5mg, H2S:<0.1mg,
(平成25年11月25日)
丸尾97号
単純硫黄温泉(硫化水素型) 81.6℃ pH5.5 溶存物質210.5mg/kg 成分総計259.8mg/kg
Na+:17.1mg(42.77mval%), NH4+:3.8mg(12.14mval%), Ca++:11.3mg(32.37mval%),
Cl-:13.7mg(22.03mval%), HS-:0.1mg, S2O3--:2.3mg, SO4--:42.8mg(50.28mval%), HCO3-:26.9mg(24.86mval%),
H2SiO3:79.7mg, CO2:44.0mg, H2S:5.3mg,
(平成27年10月17日)
加水加温循環なし
消毒あり(衛生管理のため全ての浴槽で塩素系薬剤を使用)
次回(その3)へつづく
お部屋や食事の後は、拙ブログの主題である温泉へと話題を移しましょう。
こちらのお宿では2つの大浴場のほか、複数ある貸切風呂を事前予約により利用できるのですが、まずは予約せずに入浴できる大浴場から入ってみることにしました。
2つの大浴場は「錦江の湯」と「大隈の湯」。男女日替わりとなっており、朝に入れ替わりますので、宿泊すれば両方に入ることができます。結論から申し上げてしまえば、両者は基本的にシンメトリな構造であり、共通点が多いのですが、露天風呂をはじめとして細部に差異がありますので、その違いに注目しながら、双方を見てゆくことにします。
●錦江の湯
私がチェックインした日は、右側の「錦江の湯」に男湯の暖簾が掛かっていました。
奥行きのある浴室には、2つの浴槽と洗い場が設けられています。
洗い場にはシャワー付き混合水栓が7基並んでおり、備え付けのアメニティーは、シャンプーとコンディショナーがちゃんと分かれていますので、せっかくお風呂に入ったのに髪の毛がゴワゴワ、という心配をする必要はありません。この洗い場に向かい合う形で半円形の浴槽が設けられているのですが、これは浅い寝湯で、後述する主浴槽から流れてくるお湯を受けています。
窓の下に据えられている主浴槽は、手前側が大きな曲線を描いており、そのカーブは上述した寝湯の半円へと繋がっています。こちらのお宿では、単純泉(丸尾12・13・14・15号混合泉)と硫黄泉(丸尾97号泉)という2種類の源泉が浴槽によって使い分けられているのですが、内湯の浴槽に引かれている源泉は単純泉で、前回記事で取り上げた飲泉所と同じお湯です。この単純泉はその名前に反して、その特徴は決して単純ではありません。湯船のお湯は無色透明ですが、ちょっと大きめのアイボリー色をした湯の花が沈澱しており、硫黄の存在を予感させます。そして石積みの湯口はまるで硫黄泉のように白く染まり、硫酸塩泉のようなトゲトゲとした析出がびっしりこびりついていました。単純にあらざるは見た目のみならず、その湯口からは刺激を伴う硫化水素臭がはっきりと香り、硫黄泉みたいな味がほんのりと感じられました。
露天風呂は霧島の山裾と錦江湾、そして桜島を一望する絶好のロケーションです。「錦江の湯」の露天風呂は四角い石造りの3〜4人サイズで、浴槽の上には屋根が掛かっていますが、前方の視界を遮るものは無く、高い空と果てしない景色の只中で開放的な湯浴みを楽しむことができました。この眺望は本当に素晴らしい。時間を忘れていつまでもここで過ごしたくなります。
露天風呂のお湯は硫黄泉。湯口からチョロチョロと注がれてるお湯からは、刺激を伴う硫化水素臭が香り、口に含むと弱い酸味と少々のタマゴ味が感じられました。湯船の中では湯の花がたくさん沈澱しており、私が湯船に入る前は透明だったのですが、湯船に入ってお湯が動くと、忽ち沈澱が舞い上がって黄色を帯びた白濁へと変貌しました。
●大隈の湯
朝に男女が入れ替わるため、翌朝は「大隈の湯」が男湯でした。
浴室はお隣「錦江の湯」とシンメトリであり、基本的に構造はほぼ同一です。館内に掲示されている各種説明が異なる程度でしょうか。
主浴槽も「錦江の湯」と同形状のシンメトリで、使用源泉も単純泉に変わりないのですが、湯口の形状が異なっており、こちらは白い湯の花がビッシリ付着して、白いモンスターのような姿になっていました。また浴槽内にもたくさんの湯の花が沈澱および浮遊していました。こうした状況を見ると、このお湯がとても単純泉だとは思えません。名前が単純だからと言って侮るなかれですね。
こちらの露天風呂も素晴らしい眺めですが、浴槽のスタイルが異なり、こちらは歪な円形の岩風呂となっているのでした。
露天風呂の庭先では、竹樋からお湯が落とされていたのですが、これって何なのでしょう?
この朝も露天風呂から桜島が綺麗に眺望できました。その雄大さと秀麗さを画像や文章でお伝えできないのがとても残念です。
レモンイエローを帯びたホワイトに染まる湯口からお湯が注がれています。
このお湯は「錦江の湯」の露天風呂と同じく硫黄泉。底には黄色みを有する白い湯の花がたくさん沈澱していて、私が湯船に浸かると一気に黄白濁を呈したのですが、しばらくすると再び沈澱して透明度が蘇ってきました。
次回および次々回記事では貸切露天風呂を取り上げますが、開放感や眺望で評価するなら、両大浴場の露天風呂が抜群です。日本にが温泉が無数にありますが、これほどの眺望を楽しめる露天風呂は、なかなかお目にかかれないかと思います。日帰り入浴では「錦江の湯」か「大隈の湯」のいずれかに入れますから、日帰り利用でも十分にお風呂の魅力を満喫できるでしょう。
丸尾12・13・14・15号混合泉
単純温泉 62.4℃ pH6.8 溶存物質822mg/kg 成分総計915mg/kg
Na+:100.9mg(58.61mval%), Mg++:5.1mg, Ca++:40.5mg(26.97mval%),
Cl-:48.0mg(18.85mval%), SO4--:68.3mg(19.83mval%), HCO3-:267.3mg(61.17mval%),
H2SiO3:262.3mg, CO2:92.5mg, H2S:<0.1mg,
(平成25年11月25日)
丸尾97号
単純硫黄温泉(硫化水素型) 81.6℃ pH5.5 溶存物質210.5mg/kg 成分総計259.8mg/kg
Na+:17.1mg(42.77mval%), NH4+:3.8mg(12.14mval%), Ca++:11.3mg(32.37mval%),
Cl-:13.7mg(22.03mval%), HS-:0.1mg, S2O3--:2.3mg, SO4--:42.8mg(50.28mval%), HCO3-:26.9mg(24.86mval%),
H2SiO3:79.7mg, CO2:44.0mg, H2S:5.3mg,
(平成27年10月17日)
加水加温循環なし
消毒あり(衛生管理のため全ての浴槽で塩素系薬剤を使用)
次回(その3)へつづく