十和田市では「十和田ポニー温泉」で一晩お世話になりました。
こちらは宿泊部と公衆浴場部に分かれており、日帰り入浴は原則的に公衆浴場部で受け付けています(細かなことは本文中で改めてご説明します)。数年前にその公衆浴場を利用したことがあるのですが(拙ブログでは未掲載)、今回は宿泊して、公衆浴場とは別個に設けられている宿泊者用のお風呂にも入ってみようと考えたわけです。公衆浴場部に関しては次回記事で取り上げることにして、今回はホテル棟に関して記述させていただきます。上画像の建物はホテル棟。宿泊客専用の建物です。
●ホテル棟
この時は某大手宿泊予約サイトを通じて予約しました。客室の備品や構造などは一般的なビジネスホテルと同等であり、居心地や利便性は全く問題なく、比較的新しくて清掃も行き届いており、快適に過ごすことができました。それどころか、後述する掛け流しの温泉に入り放題、しかも朝食付きで何と5,180円(当時)という大変リーズナブルな料金だったのです。抜群のコストパフォーマンスですね。
客室に付帯しているユニットバスの水栓を開けると、蛇口から温泉が出てきました。各客室にも供給できるほど、お湯の量が豊富なのでしょう。
朝食はバッフェ式。宿泊したのは初夏の週末だったのですが、このお手頃な料金と温泉、そして観光に便利な立地が魅力なのか、朝食会場では家族連れが多く、テーブルが全て埋まるほど、大変賑わっていました。
●宿泊客用浴場(露天風呂)
さて、客室で浴衣に着替えてから、宿泊者用のお風呂へと向かいましょう。
上画像の入口から廊下へ進み、奥へ奥へと歩いていきます。
浴場へつながる廊下は妙に長く、しかもやけに古めかしいのです。おそらく宿泊棟の旧館なのでしょう。途中でロビーのような広いスペースを通り過ぎたのですが、おそらくかつて玄関として使われていた空間かと思えわれます。またその玄関跡と思しき箇所の先には「家族風呂」と記されたドアも並んでいました。
長い廊下を抜けた先にはバーカウンターがあり、その左手には公衆浴場部の番台とロビーが広がっていました。宿泊客は公衆浴場にも無料で入れますが、そちらについては次回記事で取り上げることにして、まずは宿泊客用浴場に入るべく、このバーカウンターを右手へと進みます。なお宿泊者「専用」浴場ではなく宿泊者「用」浴場と記載した訳は、宿泊せずとも510円支払えばこちらでも日帰り入浴できちゃうためです。公衆浴場には露天風呂が無いため、ここで露天に入りたければ、宿泊客用のお風呂を利用することになるわけです。でも夜通し入れるのは宿泊者のみ。私は皆さんがチェックイン直後、皆さんが寝静まった真夜中、そして陽が上って間もない朝ぼらけの計3回、利用させていただきました。
ウッディな浴場棟。手前が女湯で、奥が男湯です。
浴場棟のまわりには古いロッジのような建物が並んでおり、私が宿泊した晩には、三沢基地に配属されていると思しき米軍のお兄さんたちが、そのロッジに泊まって楽しそうに休暇を過ごしていました。
お風呂は内湯と露天に分かれており、脱衣室を抜けるとまず内湯、そしてその奥に露天風呂が続いているようなレイアウトになっています。白木の壁が綺麗な内湯の室内には、檜の香りが強く漂っており、縁が木材で槽内が石板張りの四角い浴槽がひとつ据えられていました。
洗い場のカランは壁に沿ってL字型に計5基配置されているのですが、割と新しい建物にもかかわらず、レバー式水栓に壁直付けシャワーという、まるで昭和の銭湯のような設備が採用されていました。なおカランから出てくるお湯は温泉です。次回記事で取り上げる公衆浴場部には、ボディーソープやシャンプーの備え付けはありませんが、主に宿泊客が使うこちらの洗い場には、いずれもちゃんと備え付けられていました。
内湯の浴槽はおおよそ3人サイズというコンパクトなもの。その一部には電気風呂が取り付けられており、9:00〜17:00の時間帯に稼働するのですが、私は電気風呂のビリビリが苦手なので、稼働時間帯を避けて入浴しました。この電気風呂装置の上には、客が自由に開閉できる湯口があり、お湯を足すことで好みの湯加減に調整可能です。とはいえ、コックを全開にしてお湯をドバドバ出したところで大して熱くならないのですが、そのかわり新鮮なお湯の比率が高まるので、湯加減というよりも浴感の向上に役立っているようでした。
続いて、扉を開けて屋外の露天風呂へ。露天風呂の浴槽はいわゆる石風呂で、最奥部は一般的な浴槽の体をなしているのですが、その手前側は縦に細い水路のような特徴的な形状になっていました。上から見ると、アルファベット小文字のqの字に似たスタイルになっているものと思われます。湯尻には排湯の吸い込みがあり、惜しげもなくお湯が捨てられていました。
周囲には目隠しのエクステリアが立てられていますが、最奥側は田んぼが広がるばかりですので、景色を眺めてもらおうという配慮なのか、部分的に窓サッシが設けられ、窓を開けることによって田園風景を眺望することができました。なぜ塀を低くせず、あえて窓サッシを設けたのかは不明。
水路のような箇所を抜けた先は、先述のようにごく普通の石風呂であり、サイズとしては7〜8人。内湯同様、露天でも湯口にはコックが取り付けられており、客が自由に開閉することができます(もちろん開いた後は元に戻しておきます)。私が入った時には既に適温でしたが、あえてコックを開いて新鮮な温泉を投入させていただきました(ドバドバ入れてもあまり湯加減は変化しませんでした)。
お湯はほぼ無色透明ですが、ごくわずかに黄色を帯びているようにも見えます。お湯を口に含んでみてもほぼ無味無臭で、味や匂いに関してはあまり特徴がないのですが、このお湯で特筆すべきは「これぞアルカリ性泉」と納得したくなるような、ニュルニュルの大変滑らかな浴感です。湯中ではまるでローションの中に浸かっているような感覚が得られ、あまりにスベスベするものですから、私は入浴中に何度も自分の腕をさすって、その滑らかさを楽しんでしまいました。特に、お風呂に誰もいない深夜や早朝に露天へ入ると、お湯の素晴らしさを独占できたような優越感も味わえ、最高な湯浴みの時間を過ごすことができました。
次回記事では翌朝利用した公衆浴場に関して取り上げます。
次回記事に続く