温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

屏風山温泉 2016年7月再訪

2017年04月24日 | 青森県

引き続き津軽の温泉を巡ります。今回は旧木造町(現つがる市)の「屏風山温泉」です。拙ブログでは6年前に一度取り上げていますが、その時は吹雪真っ只中の真冬であり、浴場内は真っ白な湯気で満ちていましたから(6年前の記事はこちら)、今回は真逆の季節に訪れて、視界がクリアな状態で湯浴みをしようと考えたわけです。


 
券売機で料金を支払って入館します。番台前には休憩用の小上がりが設けられ、その向かいに男女両浴室の入口が暖簾をさげていました。なお、この小上がり前の廊下の奥には家族風呂があり、1時間1,300円ですが、3,200円のフリータイム制もあり、また宿泊することも可能です(素泊まりと2食付きを選択可)。


 
脱衣室を抜けて浴場に入ると、磯のような匂いがプーンと香ってきました。浴場の中央に浴槽が据えられ、左右両壁に沿って洗い場が配置されているという、青森県の銭湯でよく見られる標準的なレイアウトです。


 
洗い場のカランは全てが使えるわけではなく、(脱衣室から見て)右側の列は12基中8基、左側は11基中9基が使用可能でした。なお水栓の多くが、混合水栓にもかかわらず何故かシャワーのみ。そのシャワーから出てくるお湯は温泉で、水は後述する水風呂に使用されている鉱泉水でした(カランから吐出される冷たい水を桶に溜めると、うっすらと褐色を帯びていました)。


 
浴槽は縦長の矩形で、浴槽内は丸い豆タイル張り。かなり年季が入っているらしく、温泉成分の付着によってタイルの表面は飴色に光沢していました。また部分的にタイルが剥がれて地がむき出しになっていました。この浴槽の脱衣室側に立っている出っ張りには、バルブ付きの湯口が2本設置されています。6年前の湯口はフレキ管でしたが、その後改修されたらしく、この時は塩ビ管に変わっていました。
浴槽は仕切りで大小に分割されており、湯口側の小さな浴槽は(目測で)2.5m×3m、おおよそ10人サイズ。後述する大きな浴槽に比べると若干熱いかも。


 
この小さな浴槽には、男女両浴場を仕切る塀の上から配管が伸びており、その先から温泉が打たせ湯のように落とされていました。


 
仕切りの向こう側の大きな浴槽には泡風呂装置が埋め込まれており、一定時間ごとに運転と停止を繰り返していました。また、上述の小さな浴槽に注がれたお湯は、この大きな浴槽へと流れ込んでおり、さらには大きな浴槽の縁から洗い場の床へオーバーフローしていました。おそらく多少の加水はあるかと思いますが、循環は行われておらず、放流式の湯使いかと推測されます。


 

浴場の最奥には、ぬるい温泉の打たせ湯と水風呂(そしてサウナの跡)が並んでいるのですが、この中でも水風呂は白眉です。蛇口から吐出される冷たい水は、薄い褐色を帯びており、ほのかに金気を有していました。おそらく井戸を掘って汲み上げている鉱泉水なのでしょう。青森県の温泉銭湯では、こうして自前の井戸で汲み上げた鉱泉水を水風呂に使っている施設が多く、温泉と同じくらいに面白い泉質に出会えることがしばしばです。こちらの鉱泉に入ってみますと、一般的な水道水より滑らかでやさしく、それでいてシャキッと冴える冷たさが全身に走り、温泉で火照った体を非常に気持ち良くクールダウンさせることができました。

さて、こちらのお湯に関するインプレッションですが、山吹色を帯びた透明で、しょっぱく、出汁味も伴っており、湯面からは臭素臭やヨードのような匂いが漂っていました。津軽平野に多く見られる化石海水型の温泉でしょう。湯船に浸かると、ツルツルスベスベな浴感が肌に伝わり、特にジャグジーが稼働している大きな浴槽では湯温が抑えられていたため、滑らかな浴感と相まって、いつまでも長湯していたくなりました。分析書によれば炭酸イオンが60.0mgも含まれているんだそうですから、これがツルスベ浴感をもたらしている要因のひとつなのでしょう。とはいえ、食塩泉ですから、たとえぬるめであっても容易く火照ります。そんな時には水風呂へダイブ! 一気にクールダウンするととっても気持ち良い! 私は湯船と水風呂を何度も行き来してしまいました。夏季は締めに水風呂へ入ると、湯上がり後の発汗が抑えられ、着替えた跡でも爽快な状態が続きます。その一方、冬季は湯船でしっかりと温まれば、湯上がり後も食塩泉ならではの温浴効果が長時間持続します。
良質なお湯と鉱泉のおかげで、夏でも冬でも、季節に応じた楽しみ方ができるこちらの温泉。今回再訪して温冷両方の良さを改めて認識しました。泉質重視の方にはおすすめの一湯です。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 温度・pH・溶存物質・成分総計記載なし
Na+:2703mg(94.16mval%),
Cl-:3381mg(75.66mval%), Br-:8.2mg, I-:1.5mg, HCO3-:1739mg(22.61mval%), CO3--:60.0mg,
(平成元年10月18日)

JR五能線・木造駅より徒歩15分(約900m)
青森県つがる市木造浦船58-2  地図
0173-42-1697

6:00~22:00
390円(家族風呂あり、料金などについては本文をご参照ください)
ドライヤー10円/3分、ロッカー100円有料、その他販売

私の好み:★★★
コメント
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