温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

柏房田温泉 柏ロマン荘

2017年04月18日 | 青森県
 
青森県には温泉に入れて安く泊まれる公営のお宿がたくさんありますが、今回はそんな中でも、エントランスの尖り屋根が印象的な旧柏村(現つがる市)の「柏ロマン荘」で一晩お世話になりました。大型ロードサイド店舗が立ち並ぶ県道154号線(国道101号の実質的なバイパス)や津軽道のつがる柏ICに近いので、車で行動する人にはとても便利なロケーションです。こちらの温泉浴場は、宿泊するか、あるいは食事とセットになった日帰りプランを申し込まないと利用できないため(日帰り入浴のみの利用は不可)、2016年夏に津軽地方を旅した際、どんなお風呂か自分の目と体で確かめるべく、こちらへ泊まったのでした。


 
フローリングで明るいロビーは、天井が高くて広々しており、全体的にゆとりのある造りです。チェックイン後、スタッフの方に導かれながら、館内の廊下を進んで2階の客室へと向かいます。


●客室・食事
 
客室にはいくつかのタイプがあるようですが、今回お願いしたのは、トイレなしの和室で、広さは10畳。清掃が行き届いており、室内はとても綺麗。入室した時には既に布団が敷かれていました。室内には空調・テレビなどひと通りの備品が揃っているほか・・・



洗面台も設けられており、不自由することなく快適に一晩を過ごすことができました。
公式サイトを見ますと、いろいろな宿泊プランが用意されていますが、今回私が利用したのはベーシックな「じょっぱりコース」。一人で宿泊する場合は、1室3名で利用する場合の1人分の料金に1,000円を加算した額、つまり7,500円が1泊2日2食付きの料金となります。


 
お部屋には小さなベランダも付いており、翌朝ベランダに出てみますと、津軽平野の水田地帯が果てしなく広がっており、サラサラと風に葉を揺らしながら、青々とした香りを辺り一面に漂わせていました。



リーズナブルにもかかわらず、夕食はお部屋出し。しかも、ちゃんとしたお膳で品数が多く、もちろん美味。


 
朝食は1階の大座敷に移動するのですが、晩に引けを取らないほどの品数が用意されており、美味しくたっぷりいただくことができました。これだけの食事が提供されて7,500円なのですから、コストパフォーマンスが良すぎですね。


●お風呂
 
さてお風呂へと参りましょう。こちらの温泉は、東北をメイングラウンドにしている温泉ファンの方々から良い評価がなされているので、私も以前から入ってみたかったのです。フロント前を曲がって廊下に入り、左手に中庭を見ながら進んで行くと・・・



男女の暖簾がかかっていました。位置としては、中庭を挟んでフロントの向かい側に当たります。お風呂は男女別の内湯のみで、どうやら男女の暖簾替えはないようです。
脱衣室は清潔感に満ち溢れており、冷房こそ無いものの、扇風機が用意されており、洗面台周りにはアメニティ類も揃っていました。


 
浴槽上のステンドグラスが特徴的な浴場に入ると、ハロゲン系と思しきツンとくる弱い刺激臭が鼻腔を刺激してきました。おそらく温泉由来の臭素臭なのでしょう。ステンドグラスの下に長方形の浴槽が据えられ、その手前に洗い場が配置されています。浴槽は琥珀色のお湯を湛えており、手前側の洗い場へ惜しげも無くお湯をオーバーフローさせていました。


 
洗い場は脱衣室側の左右に分かれており、左右それぞれ4基ずつのシャワー付きカランが取り付けられています。なおカランから出てくるお湯は真湯です。


 
壁の高い位置で口を開けるライオンから温泉が吐出されており、ライオンの顎下は成分付着によって黒く染まっていました。そしてその勢いにより、滝壺の位置にあたる湯船の湯面には泡が立っていました。ただ、ライオンが吐き出すお湯はややぬるいので(私の体感で40℃前後)、この他にもお湯の投入口があるはずだと探していると・・・


 
ライオンの真下付近の浴槽内部に2つの投入口を発見。またその反対側(浴槽の右側)の底部付近には、吸引口と思しき穴も開いていました。つまりこれらの穴を通じて槽内循環が行われているものと思われます。なお、館内表示によれば、温度調整を目的とした加水と衛生管理のための消毒が実施されているとのことですが、循環に関しては記載がありませんでした。こうした状況から想像するに、新鮮なお湯を供給しつつ、循環装置も併用しているのでしょう。


 
浴槽の縁からジャンジャン溢れ出ているお湯は、しっかり新鮮なお湯を投入している証拠。オーバーフローした温泉の成分付着により、
床の石板タイルはまるで銅鍍金を施したかのようにテッカテカに輝いていました。


 
湯面にはたくさんの泡が浮いており、特に宿泊した翌朝はその傾向が顕著でした。そして湯船に浸かった私の腕にも、気泡がビッシリと付着しました。分析書によれば遊離炭酸ガスは12.4mgしかありませんので、この気泡はお湯が持つ粘性に起因するものかと思われます。湯船のお湯は淡い琥珀色に微濁しており、褐色の小さな浮遊物がチラホラ舞っています。溶存物質10.816g/kgというかなり濃い食塩泉ですから、数値だけ見ると塩辛そうですが、実際の塩味はそこまで強くなく、塩味とともに弱出汁味も確認できました。相当加水されているのでしょう。加水の多さは、味のみならず温度からも推測され、源泉温度は60℃以上であるにもかかわらず、湯船の湯加減は長湯仕様の40〜41℃でしたから、この温度をとってみても加水の多さがわかります。でもその温度調整のおかげで、じっくり湯船に浸かれ、存分に長湯することができました。食塩泉らしいツルツルスベスベの大変滑らかな浴感も得られます。加水されているとはいえ、濃い食塩泉ですから、湯上がりはしっかりと温まり、いつまでも湯冷めしません。そして、基本的には宿泊客(と日中の日帰りプラン利用客)以外はお風呂に入りませんから、湯鈍りが少なく、いつ入浴しても掛け流しと同等の良好なコンディションでした。

リーズナブルに宿泊できる上、個性的で良好な温泉に入れる、利用価値の高いお宿でした。


ナトリウム-塩化物温泉 62.2℃ pH7.7 湧出量測定不能 溶存物質10.816g/kg 成分総計10.828g/kg
Na+:3476mg(95.76mval%),
Cl-:6300mg(95.44mval%), Br-:29.6mg, I-:1.5mg, HCO3-:491.1mg,
H2SiO3:196.8mg, HBO2:101.1mg, CO2:12.4mg,
(平成27年8月29日)
加水あり(入浴に適した温度に保つため)
消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤で通年消毒)

青森県つがる市柏上古川房田178  地図
0173-27-5055
ホームページ

入浴は宿泊客および日帰りプラン利用客のみ(入浴のみの利用は不可)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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