温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

えきねっと発券で経路が多めの乗車券を購入、そして「リゾートビューふるさと」乗車

2011年09月13日 | 旅行記
久しぶりに鉄道ネタです。
前回までの記事で取り上げた白馬鑓温泉への訪問およびそこまでのルートとしての白馬岳登山(白馬三山縦走)の際には、自分の車ではなく鉄道と路線バスを利用しました。スタートとゴールが異なる場所なので、公共交通機関を使った方が便利だろうと判断したからです。


JRの乗車経路については、単純に自宅最寄り~白馬を往復するんじゃ芸が無いので、東京都区内から町田まで反時計回りの一筆書きでグルッと一周するルートを辿ってみることにしました。具体的には以下の通りです。

東京都区内(東北線)大宮(上越新幹線)越後湯沢(上越線)六日町(ほくほく線)犀潟(信越線)直江津(北陸線)糸魚川(大糸線)松本(篠ノ井線)塩尻(辰野別線)岡谷(中央東)八王子(横浜線)町田

バカ正直に経路を記すとこのようになります。本当は思いっきり経路数を増やして手書きの切符(出補)を入手したかったのですが、上記のルートですと新幹線や中央線辺りの経路が省略されて、マルスによる発券が可能な経路数内に収まっちゃいそうな感じだったので、試しに「えきねっと」で、乗車駅:新宿、降車駅:町田、途中駅:犀潟・白馬・辰野と入力してみたら、なんと発券OKとなりました。提示された経路もバッチリです。「えきねっと」発券できちゃうんですから出補での発券は無理ですね。それなら窓口のMR32で感熱紙の切符をもらうより、スタンプ類のインクの載りが良い転写紙の乗車券が欲しいと思い、登戸駅のMV30端末で発券させてみたら、次の画像のような乗車券が出てきました。


(画像クリックで拡大)

 経路:大宮・新幹線・越後湯沢・六日町・ほくほく・犀潟・北陸

あれれ? 経路が思いっきり省略されているぞ。120mm券で発券している意味ないじゃん…。北陸線以降、どのような経路をたどるか、ちっとも記されていません。窓口で購入すれば端末で表記できない分は係員氏が手書きで補筆しますが、さすがにMVじゃそれができず、省略されたまんまで発券されてしまったわけですね。
尤も「乗車券」表記のそばに■や□の記号(東海道線部分を新幹線にするか在来線にするかの区別)が無いことや、有効日数、料金の額から判断すれば、北陸線から米原を経由するんじゃないことぐらいは判断できますが、たとえば松本から塩尻へ行かず、松本(篠ノ井・信越)長野(新幹線)佐久平(小海線)小淵沢(中央東)…という経路で乗車しても、「経路が印刷されなかっただけだよ」と言い張れば、駅員さんや車掌さんは文句が言えなさそうです。
とはいえ、そんな不誠実なことはせず、ちゃんと「えきねっと」で入力した経路の通りに乗車しました。下車印の「岡谷」「上すわ」がその証明です。いや、辰野別線については、運悪く乗車しようとした日に列車とシカが激突してしまったためウヤとなってしまい、仕方なくみどり湖経由で岡谷へと向かったのでした。
ちなみに旅行開始日は小田急で新宿まで行ったので、新宿駅中央西口の小田急連絡改札口で入鋏してもらいました。この改札はいまだにスタンパーじゃなく昔ながらの鋏を使っているので、キップの下辺には鋏を入れた跡がちゃんと残っています(分かりやすいように背景を黒くしました)。子供のころから新宿には数えきれないくらいに通っているので、この鋏痕はイヤと言うほど見てきているのですが、自動改札が当たり前になってからはお目にかかる機会が滅多になくなり、久しぶりにこの形状を見て、とっても懐かしい思いに浸ってしまいました。




(画像クリックで拡大)
白馬岳や白馬鑓温泉からの下山後は、白馬から松本まで「リゾートビューふるさと」に乗車。
仁科三湖や北アルプスの山稜を眺められるD席を指定して発券してもらいました。


白馬駅に入線する「リゾートビューふるさと」

 
ハイブリッド気動車のHB-E300系。天地方向にデカイ窓の下には誇らしげにHYBRIDの文字が。

 
通路上の車内モニターには先頭からの映像が映されるほか、沿線観光に関するDVDも放映されました。列車は一応ワンマン運転ですが、アテンダントのお姉さんが一人添乗し、車内放送したり記念撮影を手伝ったり車販したりと、いろいろ忙しそうに活躍なさっていました。お姉さんが売っていたキャラメル味のアイスクリームが懐かしい感じがする味で美味かったなぁ。

 
シートは今時の列車らしく堅めの座り心地ですが、シートピッチがかなり広く、まるでグリーン車みたい。思いっきり足を伸ばせます。短足の私はスペースをもてあましちゃいました。


運転台の真後ろはパブリックスペースとなっており、誰でもかぶりつき可能。

 
パブリックスペース後方では、ソバの花とともに松川村の鈴虫が展示されていました。残念ながら啼き声は聞けませんでしたが…。

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登山初心者の登山記 2011年初秋 白馬岳 その4「白馬鑓温泉→猿倉」

2011年09月13日 | 長野県
白馬岳登山記その3(白馬山荘→杓子岳→白馬鑓ヶ岳→白馬鑓温泉)のつづきです
白馬鑓温泉のレポートはこちらをご覧ください。

2011年9月9日 曇り時々雨 計2人
白馬鑓温泉→小日向コル→猿倉
距離:5.9km
標高差:778m
獲得標高:上り49m、下り797m


 
【4:50 起床→露天風呂へ直行 (ご来光)】
前日は到着後に茫洋たる山巒を遠望しながら、そして夕食後には満天の星空を仰ぎながら、全身がふやけそうになるほど、さんざん長風呂したのですが、それでも飽き足らず、翌朝は早暁に褥から起き上がり、曙の薄陽に照らされた中を露天風呂へと直行しました。目的は湯あみしながらご来光を仰ぐこと。
上空には西方から雲が流れてきていましたが、幸いまだ東の空には及んでおらず、湯に浸かりながらカメラを構えること暫し、5:28に待望のご来光とご対面です。何とも荘厳な黎明ではありませんか。この日の出を見られただけでも、わざわざ登山してここへ来た甲斐がありました。

【5:30 朝食】
真っ赤に燃える太陽が上がる様をいつまでも眺めていたかったのですが、小屋の朝食は5:30と決められているので、戸隠の山から太陽が姿を現したのを確認したら、そそくさと風呂から上がって体の湯を拭い、慌ただしく着替えを済ませて食堂へと急ぎました。
そして食後、皆さんが次々に身支度を整えて次々に出発する中、下山するだけの私はSさんと一緒に再び露天風呂へ。つまり朝だけで私は2回もここの露天風呂に入っているわけです。前日を含めたら計4回に及ぶわけで、かなり奇特な珍客かもしれません。だって、名残惜しいんだもん。こんな私は失恋したらいつまでもクヨクヨして未練を断ち切れない性格だったりします。

 
【7:10 出発】
この日も前日白馬山荘でお会いしたSさんと行動を共にします。
連日の快晴、そして2日連続のライチョウとの邂逅によって、私は当面の運を使い果たしたのか、出発しようとすると、西の空から厚く暗い雲が覆いはじめ、それとともに雨がポツポツ降ってきました。せっかくバックパックの奥にしまいこんだ雨具をわざわざ取り出し、それを身に纏って下山開始です。東の空はまだ明るいのに、まるで狐の嫁入りのように雨粒が次々と雨具を叩きます。登山道の脇には露天風呂から溢れ落ちた温泉の湯が、湯気を上げながら川となって下の方へと落ちていきます。

 
初秋まで辛うじて残った雪渓は、人喰い鮫のような口をあけながら、底を流れる沢をトンネルのように覆っていました。

 
白馬鑓温泉小屋直下の雪渓に沿った斜面にはクルマユリが群生をなしていました。


【7:30 橋その1】
コンパネで作られた橋で細い沢を越えます。


沢を越えて数分でロープ場です。ここを下りたら、しばらくは等高線をトラバースしていきます。

 
【7:37 橋その2】
滝として落ちてくる2本目の沢を渡ります。初見なのでよくわかりませんが、けだしこれは鑓沢というんでしょう。ここの橋もやはり角材とコンパネで造られたもの。ちょっとでも増水したら流されちゃいそうです。


その沢の下方には雪渓が残っていました。ここは7月など早い時期に訪れると、沢ではなく雪渓上を越えることになるんでしょうね。さすがにこの時期のルート上には微塵の雪も残っていません。

 
この辺りは杓子岳の山腹の等高線上をトラバースするので、上り下りは大したことないのですが、杓子沢の手前でザレの急斜面を横切る箇所があり、いまにも足が谷底へ滑っていきそうで、これが結構怖かった。なかなかのスリルでした。岩に赤いスプレーで○が書かれているので、それを目指して先へ。


振り返るとこんな感じ。かなりの急斜面ですよね。


眼下に杓子沢に架かる橋が見えてきました。数日前に上陸した台風の影響で、この橋は流出の危機に見舞われましたが、辛うじて流されることなく、こうして無事に渡ることができるのであります。

 
【8:00 橋その3(杓子沢)】
関係各位のご尽力により架けられている橋をありがたく渡たらせていただきます。私は昨年9月に鑓温泉への訪問を検討していたのですが、各所へ手配後に秋の長雨が降って橋が流出、これに伴い登山道がクローズしてしまい、その時は計画を断念せざるを得なくなりました。今回も同様の憂き目に遭う可能性があったわけでして、出発前に電話で橋の無事を確認できたときにはホッと胸を撫でおろしました。


こちらの沢の下流にも雪渓が僅かに残っていました。初夏はアイゼンを装着して雪渓上を越えるんでしょう。雨は降ったり止んだりを繰り返し、雨が上がると強い日差しが直撃するため、雨具を着ていると猛烈に蒸し暑くなります。このため途中で何度も雨具の脱着を繰り返しました。

 
遠くに白馬鑓温泉小屋が小さく望めます。もうかなり進んできたんですね。杓子沢手前の急斜面ザレ場を見ると、後続の高齢者パーティーがゆっくりと横切っていました。

 
稜線の鞍部が小日向コル。まだしばらくはトラバースが続きます。

 
道端にはトリカブトが多く咲いていました。また、花は殆ど落ちていたものの、白い縮毛で覆われている長い頭花柄が特徴的な丁字菊にも出会えました。

 
【8:25 サンジロ(三次郎沢)】
ここは鑓温泉→猿倉の道程の1/3に当たるんだそうです。ということは、まだ2/3も残っているのね…。ここから小日向コルまで若干の登りです。今回の行程最後の登りとなるので、一歩一歩よく踏みしめながら歩みを進めます。ここに至って雨脚が再び強くなってきたので、雨具に蒸されて全身サウナ状態になりながら坂を登りました。体力の消耗が著しい…。

 
【9:00/05 小日向コル】
やがて平坦になり、木道が現れると小日向コルに到達。周囲には池塘が点在しており、きっと初夏にはミズバショウやニッコウキスゲのお花畑が広がるんでしょうね。

 
さぁ、最終的な下山へまっしぐら。

 
コルからちょっと下ったところで、アジサイの群生を発見。9月なのにどうしてアジサイが咲いているの? 狂い咲き? あるいは今の時期に咲く種類なの?


【9:33 中山沢】
中山沢と称する涸れ沢。ここは鑓温泉→猿倉の道程の2/3なんだそうです。終着まであともう少しだ!


延々と続く樹林帯のダラダラ坂をひたすら下ります。景色がほとんど楽しめないので、かなり退屈。私は下りだからまだマシですが、これが登りだったら精神的に凹みそうだ…。

 
【10:20 登山道入口】
つまらない坂が続いて「もういい加減にしてくれ」と叫びたくなったころ、突然目の前が開け、広い道に突き当りました。見覚えのある道だぞ…。そうか、これは猿倉と大雪渓方面を結ぶ林道だ…。てことは、もう猿倉は目の前。


【10:28 猿倉】
途中雨具の脱ぎ着で時間を費やしながらも、わずか3時間20分で下山しちゃいました。もうここまで来れば遭難の危険性なし。無事に登山を完遂することができました。
猿倉からはSさんの車で街まで乗せていただくことに。繁忙期以外の平日は猿倉からのバスが運行されず、タクシーの利用を余儀なくされるところでしたから、とても助かりました。コーヒーを御馳走になったり、車に同乗させていただいたりと、白馬山荘以降はSさんにお世話になりっぱなし。やっぱり単独より誰かがいた方が楽しい上に安心できますね。本当にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。












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登山初心者の登山記 2011年初秋 白馬岳 その3「白馬山荘→杓子岳→白馬鑓ヶ岳→白馬鑓温泉」

2011年09月12日 | 長野県
白馬岳登山記その2(栂池ヒュッテ→白馬大池→小蓮華山→白馬岳)のつづきです


2011年9月8日 快晴 計2人(この日から2人)
白馬山荘→杓子岳→白馬鑓ヶ岳(白馬三山を縦走)→白馬鑓温泉
距離:5.8km
標高差:905m
獲得標高:上り327m、下り1135m

この日の行程はわずか5.8km。しかもほとんどが下りという楽チンなルートなので、朝はゆっくりです。なぜ楽チンな行程設定にしたのかといえば、自分の体力に自信が無かったため。日頃の運動不足が祟って前日の登りで筋肉痛や捻挫に苦しんだとしても、この程度の距離で下りメインならば、誤魔化しながら何とかなるだろうと考えたからです。実際にはそんな心配は杞憂に終わりましたが、結果的には早めに温泉に到着でき、空いている露天風呂をじっくり堪能できたので結果オーライでした。


 
【5:00 起床】
上空の高い位置に雲が掛かっているものの、視界は良好。まだ日の出前ですが、雲の海は下部が既にほのかな紅色に染まっており、朝日の光が届いていない天空とのグラデーションが実に神秘的でした。そして黎明の空には幾重にも稜線が重なって、遥か彼方までその姿をはっきりと見せていました。画像左(上)は左から杓子岳・白馬鑓ヶ岳、画面中央の遠方に穂高方面(槍ヶ岳など)、その真下に黒四ダム、さらに右側には立山連峰が聳えていました。昨夜同様明瞭に見えています。
画像右(下)は戸隠連峰や妙高方面。稜線と雲の僅かな隙間から、上がってきたばかりの真っ赤な太陽が細い棒のようにチラっと姿を見せています。

 
杓子岳の左側には南アルプス・八ヶ岳、そして富士山が綺麗に映えていました。
昨夜に引き続き冷たい北風が吹き、かなり寒い。

【5:30 朝食】
朝食はここでとらず、早めに出発する人がかなりいるため、朝食会場に集まった人の数は昨夜より若干少なめ。

【7:00 白馬山荘 出発】
昨日レストランでビールを乾杯した同室のSさんは、今日の行程が私と同一だというので、一緒に行動することにさせていただくことにしました。

 
【7:10 大雪渓への分岐】
白馬岳登山で最も利用者の多い大雪渓ルートはここから分岐。我々は大雪渓を下らず、尾根の上をななぞりながら南下します。


振り返ると目の前に村営白馬岳頂上宿舎、その上には昨晩宿泊した白馬山荘が。
村営宿舎の前にはテント場があり、幾張かのテントが設営されていましたが、いくら西側斜面が風を遮ってくれているとはいえ、昨晩の冷え込みはさぞかし辛かったでしょうね。

 
画像左(上)は立山連峰を望んだ様子。雄山や剣岳、そして毛勝三山が山裾までクッキリ。更には剣岳と毛勝三山の間の遠方には、白山までもがその全容を現わしていました。山荘のおじさん曰く、白山の山頂が見えることはあっても、下の方まで望めるのはとても珍しいんだそうです。
画像右(下)は東の方を展望しています。上空の雲のスリットから光のカーテンが下界へ降り注ぎ、とって幻想的な光景です。画像の左側には北信五岳、右には浅間山や四阿山、そこから左に向かって三国山脈方面へと連なる稜線が広がっています。

 
これから白馬三山のひとつ、杓子岳へ登ります。途中の尾根の鞍部から西を見ると、スプーンでえぐったような地形に遭遇。カールでしょうか。夏の盛りにはお花畑になりそうですね。

 
唐松方面へ急ぐ人は山腹のバイパスでショートカットしちゃいますが、今回はちゃんと三山を縦走したいので、ちょっと遠回りでも杓子岳頂上へ立ち寄ります。頂上への登攀は急傾斜のガレが連続し、足がガレに潜って登りにくい…。画像右(下)はその斜面を見下ろした様子です。


【8:20/30 杓子岳(2812m)】
息を切らして運動不足の体に鞭打ちながら、杓子岳の頂上に到達です。

 
見晴らし良好。さっきまでゼーゼー言っていた呼吸もたちまち整っちゃいました。この画像は右から富士山、八ヶ岳、佐久平を挟んで浅間山。サムネイルをクリックすると横に長い大きなパノラマ画像が開きます。


こちらは毛勝山方面で、稜線の向こうには富山平野、そして富山湾、さらにその奥に平べったい地形の能登半島が横たわっています。


杓子岳を下りたら、今度は白馬鑓ヶ岳の頂上を目指します。天候は相変わらず良好、しかも上空の雲もかなり消えてきました。

 
同行のSさんの粋な計らいにより、白馬鑓ヶ岳へ登る途中の小さな台地で、ちょっとブレイク。ランタンでお湯を沸かし、ペーパードリップのコーヒーを淹れていただきました。山の上で飲む淹れたてのコーヒーは格別ですね。カフェイン中毒の私は一晩コーヒーを飲まなかっただけで禁断症状が出ていたところでしたから、Sさんの御厚意には本当に感謝です。


前半は比較的急な坂ですが、ある程度まで登っちゃうと、あとは尾根上のなだらかな勾配となりました。私の脚も俄然軽快になります。

 
杓子も鑓もガレの山ですが、ガレの質が全然違うのが面白いところ。私個人としては鑓の方が登りやすかったように思います。道しるべのところで左折するとすぐに山頂です。

 
【10:00/45 白馬鑓ヶ岳(2903m)】
山頂に到達した頃には空がこの上なく綺麗に澄み渡り、今回の全行程で最も素晴らしい眺望が得られました。まずは記念撮影。そして三角点にタッチ。

 
南方を眺望。天狗小屋や不帰キレットの向こうに唐松・五竜・鹿島槍と後立山連峰が続き、その奥に槍ヶ岳など穂高方面の峰々が聳え、手前には黒四ダムが湖水を湛え、湖面の背後に雄山・剣岳とつづく立山連峰が屹立と構えています。剣岳の右肩奥には白山連峰もしっかり姿を見せています。サムネイルをクリックするとこの方角のパノラマ画像が開きます。上述の景色の他、富山平野、倶利伽羅峠、能登半島、そして富山湾に浮かぶ船の姿まで明瞭に見えます。さらには左端に富士山の姿も確認できるかと思います。ひとつのポイントから太平洋側の富士山と日本海に浮かぶ能登半島が同時に眺められるとは! 日本列島って狭いんだなぁ…。

 
唐松岳の山稜の彼方には南アルプス・富士・八ヶ岳・奥秩父が一望。富嶽の姿はこの上なく秀麗。

 
今度は今来た方角を振り返ってみます。画像左(上)は、手前が杓子、その奥が白馬岳、そこから連なる稜線上に小蓮華が続き、さらに右の方へ辿ってゆくと、私のスタート地点である栂池ヒュッテが小さな点として確認できました。自分の辿ってきたルートを一望すると、実に感慨深い。戸隠や妙高など北信五岳方面の眺望を拡大してみると(画像右(下))、遠方には至仏山か燧ヶ岳(あるいは巻機山)と思しき山影も確認できました。

生涯でこんなに素晴らしい眺望を得られる機会は、果たしてどれだけあるでしょう。ここまで遠くまで見晴らせる条件に恵まれるなんて、この上ない幸運です。永遠に眺めていたい…。思わず同じ景色を何度も何度もカメラに収めてしまいました。いつまでもここに留まるわけにはいかないので、40分間で展望を切り上げ、後ろ髪をひかれる思いで山を下ることに。

 
【11:10 白馬鑓温泉分岐】
白馬三山の縦走も無事完遂し、この分岐で後立山連峰の山稜歩きも終了。ここから左に折れて一気に下っていきます。


後ろを振り返ると先程までいた白馬鑓が聳えています。真っ白なガレに覆われていて、あたかも雪山のようです。わずか10分でこんなに下ってきたんですね。


分岐からはしばらく滑りやすい急なガレの坂が続きます。私も何度かズルっとコケそうになりました。


ガレ場から這松林へと徐々に変わり、ガレの白・這松の緑・空の青のトリコロールが非常に美しい景色の中を下っていると…

 

昨日に引き続き、ここでもライチョウを発見!! 成鳥と幼鳥の群れが登山道の脇でウロチョロしているではありませんか。警戒心がまるでなく、私が近づいてもちっとも怯えず、マイペースで彷徨していました。二日連続でライチョウに出会えるとは、ラッキーなんて言葉じゃ足りないほどの強運かも。でもこんな好天にノコノコ出てちゃって、外敵に襲われたりしないのかしら。ちょっと心配。

 
【11:50 大出原(標識)】
高山植物が広がる大出原。斜面にはかすかに雪が残っていました。このまま溶けることなく万年雪となるんでしょう。

 
美味そうな苺が鈴なり。
高山植物の花の端境期的なシーズンとはいえ、辺りは色とりどりの花で埋め尽くされていました。


白馬鑓を見上げます。わずか1時間足らずでこんなに下ってきたんですね。


なだらかな斜面の大出原が終わると、登山道上に「この先滑りやすい岩場(鎖り場)あり ストックをたたんで慎重に!」と警告する看板が立っていました。地図を見ると確かにここから鑓温泉まで等高線が非常に稠密しており、急斜面であることが容易に想像されます。気を引き締めて先へ。


まずは沢が落ちるガケをトラバース。お手並み拝見といったところでしょうか。

 
いよいよ鎖場出現。「この先鎖場事故多発」と看板が警告しています。


かなり急な傾斜です。滑りやすい蛇紋岩である上、ところどころに沢が流れているため、どうしても靴の裏が濡れてしまい、余計に滑りやすくなります。でも上手い具合にステップ状の窪みがあるので、それを足掛かりにしながら、鎖をしっかり握って慎重に下っていきます。


画像を見る限りでは大したことなさそうですが、実際に現地で立ってみると結構な急斜面なのです。この道を下りに選択して良かった…。登りだったらメチャクチャ疲れそうだ…。


こんな滝の滝壺を越えたりもします。滝には黒いホースが設置されており、どうやら鑓温泉小屋で使う水はこの滝から取水しているようです。この滝を越えれば、急な鎖場もひと段落。鎖場のおかげで、いかにも登山しているという程よい緊張感が味わえました。


でも油断は禁物。ゴール間近で再び警告看板が登場。ここからはロープ場や小さなはしご場が続きます。それほど急ではないのですが、小屋間近なので、つい気が緩んで足元を滑らす人が多いのかもしれませんね。最後まで緊張感を維持しながら下っていきます。

 
目の前の雪渓の下に、目指す小屋が見えてきました。雪渓上には落石がたくさん。不気味ですね。


路傍ではトリカブトが鮮やかな花を咲かせていました。「美しい花(女)には毒がある」という言葉の象徴のような花ですね。


【13:25 白馬鑓温泉小屋 到着】
無事に急な下りも乗り切り、今回の山行の最大目的である白馬鑓温泉に到着しました。受付でチェックインを済ませ、部屋に荷物を置いたら…


ビールで喉を潤しながら、露天風呂で汗を流します。緊張感も溶け、すっかり安心を得、絶景を眺めながらの湯あみは、まさに極楽の境地。早めに到着したので、お風呂を独り占めすることができました。

※白馬鑓温泉についてはこちらでレポートしています

その4につづく



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登山初心者の登山記 2011年初秋 白馬岳 その2「栂池ヒュッテ→白馬大池→小蓮華山→白馬岳」

2011年09月11日 | 長野県
白馬岳登山記その1(前夜)のつづきです


2011年9月7日 快晴 単独行
栂池ヒュッテ→天狗平→白馬乗鞍岳→白馬大池→小蓮華山→三国境→白馬岳山頂→白馬山荘
距離:9.2km
標高差:1081m
獲得標高:上り1233m、下り222m
服装:速乾性下着(Tシャツ)、化繊の半袖、化繊の長袖、綿の長袖シャツ、フリース、レインコート兼ジャンパー、以上をレイヤーとして重ね着しながら、体温や気温に応じて脱ぎ着しました。
装備:念のため小アイゼン・非常食を用意。ライトや熊よけ鈴は携帯して当然。水は1Lも用意すれば十分。



【5:30 栂池ヒュッテ 起床】
残暑厳しい9月初旬だというのに、標高1860mの当地は日が暮れると急激に冷え込み、起床した時点での気温は7.5℃しかありませんでした。麓を見下ろすと、下界はすっかり雲海の下に隠れてしまっています。


【7:00 朝食】
栂池ヒュッテから白馬岳山頂まで標準タイムは約7時間。一方、当宿の朝食開始時間は7:00。のんきに朝食を摂ってから出発すると、白馬岳山頂に着くのは15:00頃になってしまう計算になります。山は天候が変わりやすく、特に午後は悪転する可能性が高いので、登山客によっては朝食をここでとらず、弁当にしてもらって、早々に出発するそうですが、朝から握り飯はイヤだなぁと思ってしまった私は、リスクを承知の上で、ここでしっかり朝ごはんを食べてから出発することにしました。

 
席は夕食のときと同じ場所。山には雲ひとつかかっていない絶好の日和です。これからあの山へ登るのか、そう思うと武者震いしてしまいます。ご飯を全て残さず平らげ、葉を歯を磨いて、いざ出発だ。

 
【7:20 栂池ヒュッテ 出発(1860m)】
空の青と山の緑のコントラストがあまりに鮮明すぎるほど、この上ない快晴です。
村営栂池山荘とビジターセンターの間にある登山口から登攀をスタートしました。

 
ネマガリダケの繁る泥道や、樹林帯の中のジグザグ坂をひたすら登ります。道はよく整備されているので、歩きやすく、危険箇所もありません。ウィーミングアップにはもってこい。上空ではヘリコプターが頻繁に飛び交っています。ここ数日は台風の影響で山小屋へ物資運搬できない日々が続いていましたから、待ってましたと言わんばかりに一斉にヘリ輸送が行われているのでしょう。

 
【7:53 銀嶺水】
地名からもわかるように、この付近には水場があります。小さなベンチが設けられていますが、まだ休憩するには早いので、ここはパス。樹林帯の間からは、麓はおろか南アルプスまではっきり展望できました。

 
左手にはこれから挑む連峰が山裾まではっきりと姿を現わしています。しばらく登ってゆくうちに勾配が緩やかになり…

 
【8:13 天狗平(2180m)】
木道が現れて平坦になると、まもなく高層湿原の天狗平に辿り着きました。清々しい風が吹き抜けています。池塘が点在していますが、水を失ってただの泥田と化しているところも多く、また花のシーズンでも紅葉シーズンでもない中途半端な時季なので、見るべきものも少なく、はたまた休憩するほど疲れてもいないので、ここも通過しちゃいました。


【8:20 風吹大池への分岐】
ここを右手に折れると風吹大池ですが、もちろん今回は左手へ進みます。平坦なのはここまで。

 
木道が終わると、岩場が続くようになります。はじめのうちは海岸のテトラポットの上を飛び渡るように、岩の上をヒョイヒョイと飛んでいけばよいのですが、やがて勾配が急になり、岩をよじ登らなければならない状態になりました。岩にペイントされた赤い丸を目印にして、先へと登ってゆきます。


【8:50 小さな雪田】
9月にもなれば多くの雪渓は消えてしまいますが、今回のルートで唯一雪上を歩いたのがここでした。とはいえ、長さはせいぜい20~30m程度。トラロープが張ってありますし、大した勾配ではないので、アイゼンは不要。そのまま歩いちゃいました。この雪田の後も急な岩場が続きます。

 
【9:05/10 白馬乗鞍岳(2436.7m)】
やがて勾配が緩やかになり、這松林の平坦な道を進んでゆくと、四角錐のモニュメントが立てられている白馬乗鞍岳山頂に到達です。ここで5分休憩。今から登る小蓮華山が正面にそびえ、なだらかな山裾を広げています。

 
ここからは一転して緩やかな下りが続き、白馬大池の池畔へと向かいます。この下りも岩の上をピョンピョン飛んでゆくような、ちょっと面倒な感じでした。しかも黒いアブみたいな羽虫が大量発生していて、こいつらがかなり鬱陶しい。でも青い空を映した大池とその畔に赤い小屋が佇んでいる光景は、まるで美しい風景画を見ているようでした。

 
【9:33 白馬大池山荘(2380m)】
池の畔をぐるっと回って大池山荘に到着。小屋周辺のテント場では、まだ何基かテントが張られていましたが、山荘前から小蓮華へ進む道を見上げると、むしろ山の上から降りてくる登山者の方が多いようでした。行き違う人曰く「上は風が強くて寒いよ」とのこと。気を引き締め、小蓮華へと向かいます。

 
雷鳥坂と呼ばれる尾根の緩やかな坂を上がります。途中で振り返ると、大池や山荘はもちろんのこと、その彼方には日本海の海岸がはっきりと見えました。


進行方向には小蓮華、そしてそこから雪倉岳へと至る稜線が連なっています。綺麗だなぁ、なんて呟きながら歩いていると…


路傍の這松林の中にライチョウを発見!! しばらくその場で観察していたら…


なんと4羽も同時に登山道上へ出没してくれました。大きさから察するに1羽が親で他は幼鳥かと思われます。しばしば「ライチョウは(外敵に狙われにくい)ガスっている時に遭遇しやすい」と聞きますが、まさかこの日のような快晴という条件にもかかわらず、ひょこひょこと姿を現してくれるとは!! 感激して必死にカメラを握りしめ、何枚も撮影しちゃいました。さすが雷鳥坂と称する坂だけあって、本当に棲息しているんですね。

 
ライチョウたちが這松の中に姿を消したところで、登山再開。尾根の上の緩やかな勾配を上がってゆきます。見晴らしがよく天気も良好、とても爽快です。鞍部の眺望がきくところでは、麓の白馬村一帯や、その向こうの青木湖がはっきり見えます。

 
やや風が強く、雲の流れも速かったのですが、そのおかげで、雲に隠れていた白馬岳の山頂が、雲の切れ間から時折姿を見せてくれました。
また南の方角には八ヶ岳、そしてその奥に富士山の姿がはっきりと確認することができました。ひとつの場所から日本海の海岸と富士山が同時に見られるだなんて、ちょっと信じられません。日本って狭いんだなぁ。

 
【11:00/25 小蓮華山(2766m)・昼食休憩】
爽快な尾根の上を軽快に歩いているうちに、あっけなく小蓮華山の頂上に着いてしまいました。
頂上部分は陥没箇所があるらしく立ち入り禁止になっていますが、その手前にはこの山頂のシンボルとでも言うべき鉄の剱が突き刺さっていました。徐々に北西の冷たい風が強くなり始めたので、山頂から若干引き返して、風を避けられる場所で腰をおろし、お昼ご飯をとることに。山の上で食べる握り飯って美味いですね。

 
25分間のランチ休憩を終えて歩行再開。雲の勢いが徐々に弱まり、この頃には登山道の先に聳える白馬岳山頂がはっきりと目に入ってきました。右手(西)には雪倉岳に連なる稜線が一部雲に隠れながらも姿を見せています。


途中で振り返って小蓮華を撮ってみました。山裾の広がり方袴のようになだらかで美麗ですね。
標高が高いと空の青さが下界と全く違い、飛行機の窓から外を眺めている時と同じように、サファイアのような濃い青色の空が果てしなく広がっています。

 
【12:00 三国境(2751m)】
長野(信州)・新潟(越後)・富山(越中)の3県(国)が境を接する三国境。


さぁ山頂までもう少し。

 
【12:40/13:50 白馬岳山頂(2932.2m)】
栂池ヒュッテから休憩を含め5時間20分で到達してしまいました。標準タイムは7時間ですから、2時間近くも短縮してしまったことになります。ちょっと早すぎたかしら。もう少し途中でのんびりすればよかったかしら。登頂記念として、一等三角点にしっかりタッチ。

 
気温は9.5℃。北西から強い風が吹き付け、山頂へ登りつめたみなさんはウインドブレーカーやダウンを羽織りながら口々に「寒い寒い」と身を縮めていましたが、耐寒仕様の私の体はむしろ塩梅がよく、長袖シャツで十分でした。近くにいた方にお願いして記念撮影。
予定より早く着きすぎたので、山頂では大の字になって寝そべって、のんびり昼寝しちゃいました。風は確かに冷たいのですが、ガレの石は直射日光で温められているので地面はポカポカしており、寝そべるとまるで岩盤浴のように気持ちいいんです。頭を空っぽにして、しばし夢心地の時間を過ごしました。
(※でも、これが後々悲劇をもたらしました。というのも高所は下界よりも紫外線が強く、しかもこの日は快晴だったため、露出していた皮膚が思いっきり日焼けしてしまい、特に顔面は酷い皮膚炎になってしまいました。こういう凡ミスをやらかすところが、いかにもド素人ですね)

 
快晴の山頂からは360度の大パノラマが得られました。まず画像左(上)は北西方向。重畳する稜線の彼方には日本海に面する黒部川扇状地(黒部や入善の市街)が広がっています。
画像右(下)は北東方向、この日登ってきた稜線やその麓の栂池方面が一望できます。画像では分かりにくいのですが、出発点である栂池ヒュッテが豆粒のように小さく写っています。

 
画像左(上)は白馬村の中心部、その奥に青木湖が写っています。いわゆるフォッサマグナのうちの、糸魚川静岡構造線ですね。また手前側には大雪渓も写っています。
画像右(下)は白馬山荘の向こうに杓子岳・白馬鑓ヶ岳、そして奥の方には立山連峰が連なっています。立山連峰は頂上部が雲に覆われてしまっていますね。この画像ではわかりにくいのですが、白馬三山と立山連峰の間には黒四ダム(黒部湖)、その奥に槍ヶ岳が肉眼ではっきりと確認できました。


山頂からちょっと下ったところに立てられている「松沢貞逸顕彰碑」を見ながら・・・

 
【14:00 白馬山荘】
本日のゴールである白馬山荘に到着です。山小屋としては日本最大の収容人数を誇るんだとか。山小屋と言うより要塞と表現したくなるような建物です。


厳密に言うとこの付近の県境は未確定らしいのですが、一応受付がある1号館は長野県、2号館と3号館は富山県に属しているんだそうです。受付を済ませて指定された部屋へ向かうと、そこには既に2人の先客がいらっしゃいました。その後、1人が追加で入室してきたので、私の部屋では計4人が寝泊まりしました。混雑時にはギュウギュウに詰め込まれるらしいのですが、4人なら室内空間には十分余裕があり、神経質な私も問題ありませんでした。


同室した愛知県のSさんと一緒に、レストラン棟「スカイプラザ白馬」にて生ビールで乾杯しました。
山で飲むビールって本当に美味い! 値段は下界の倍の900円ですが、それだけのお金を支払う価値は十分にあります。そもそも、こんな高い山のてっぺんでジョッキに注がれた生ビールを飲めること自体、奇跡みたいなもんです。文明の進歩に感謝感激雨霰。


夕食は17:00に一斉スタート。トンカツがメインですが、山荘の利用客の多くを占める中高年の胃袋は揚げ物を目にすると拒否反応を示すらしく、私は隣に座ったおばちゃんから「アタシ無理なのよ、お願いだから食べて頂戴」と依願され、カツを2切れも余計に食うはめになりました。私も揚げ物はそんなに好きではなかったのですが…。


夕食後に外へ出ると、黄昏時を迎えた上空の雲は夕焼けを映して茜色に染まり、周囲の山々を覆っていた低い雲は完全に消えていました。先ほどまでは山頂が隠れていた立山連峰も、雄山・剣岳をはじめとして毛勝山まではっきりと姿を現し、白馬鑓の右方には槍ヶ岳など穂高方面の山々も明瞭に望めました。

 
杓子岳の左側には南アルプス、さらに左には八ヶ岳が聳え、その奥には富士山がはっきり見えます。私の安物のデジカメですらちゃんと写せるのですから、どれだけ視界が良好だったか、容易にご理解いただけるかと思います。でもこの時はめちゃくちゃ寒かったんですよ。気温は5℃ですが、北風が非常に強く、体感温度としては氷点下ではなかったかと思います。ダウンジャケットを着ても寒いと嘆く人もたくさんいらっしゃいました。下界は熱帯夜で唸っているというのに、同じ日本でこうも違うとは…。

その3へつづく
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登山初心者の登山記 2011年初秋 白馬岳 その1「前夜(栂池ヒュッテ)」

2011年09月11日 | 長野県
前回記事では白馬鑓温泉を取り上げましたが、当地を訪れるにあたり、単純に麓と温泉を往復するのは芸が無さすぎる、せっかくなら白馬岳の山頂へ登攀してみよう、と考えました。白馬岳への登山ルートにはいくつかあり、たとえば…
(1)猿倉→白馬尻→大雪渓→白馬岳(大雪渓ルート)
(2)猿倉→白馬鑓温泉→白馬鑓ヶ岳→白馬岳
(3)栂池→白馬大池→小蓮華岳→白馬岳
(4)蓮華温泉→白馬大池→以下(3)と同一
(5)欅平→祖母谷温泉→白馬岳
(6)唐松岳方面→不帰キレット→白馬鑓ヶ岳→白馬岳
などが挙げられますが、私のような経験が浅く体力や技術のない素人にとって、(5)と(6)はまず対象外。次に(4)を検討しますが、蓮華温泉までは自家用車でのアクセスが必要になり(路線バスは運行日が限定されている)、しかも駐車したところまで戻らなきゃいけないので縦走には不適当。(1)は最もポピュラーですが、雪渓を登るのは面倒だし、標高差が約1600mもあるので疲れそう。(2)も同様に標高差が1600m以上あり、しかも距離もあるので健脚向き。となると、消去法的に(3)が残りました。(3)の栂池から出発するルートはゴンドラやロープウェイといった文明の利器を利用することによって思いっきり高さを稼げ、標高差1000m強で白馬岳山頂へと到達できるのです。軟弱者の私は、登りにこの(3)を選択し、下山ルートとして(2)を逆走することにより、最も楽に白馬三山を縦走し、かつ鑓温泉にも入ることができました。

今回はまず登攀の前夜、栂池ヒュッテまでのアクセスなどについて書き綴ってみます。白馬岳前後の山を縦走し、スタートとゴールが異なる地点となるため、自分の車ではなく列車とバスを利用しました。



JR大糸線・南小谷駅で列車を降ります。

 
南小谷駅から小谷村営バスで栂池高原へ。所要約20分で、運賃は500円。乗客は私一人だけでした。

 
温泉浴場「栂の湯」の脇からゴンドラ乗り場へ。途中には軽食のカウンターや足湯が設けられていました。周辺施設は最近改修されたらしく、どこもかしこも新しくて綺麗です。


登山届を記入して投函します。用紙は現地に用意されていますが、白馬村のウェブサイトからPDFで入手することもできます。

 
まずはゴンドラ「イブ」で栂の森駅へ。


一気に標高差744mを稼ぎます。しかも所要時間わずか20分。文明って素晴らしいですね。坂口安吾の『堕落論』には、人間は楽をし手抜きをしようとするからこそ、そこにイノベーションが生まれる、だから堕落することは決して悪いことじゃない、という旨が書かれていましたが、まさに仰る通りです。


ゴンドラの次はロープウェイに乗り換えて、更に上を目指します。このロープウェイは20分間隔の運行で最終便が16:40頃(時期によって前後)とかなり早めに終わってしまうので、利用する際には要注意です。
大きな躯体のロープウェイには乗客私一人だけ。乗務員の方とマンツーマンでお話しちゃいました。今年の夏は意外にも例年以上の人出があったそうです。


ロープウェイを降りて舗装路を歩くと、今晩宿泊する「栂池ヒュッテ」が見えてきました。

 
最近建て替えられたらしく、山小屋とは思えない、とっても綺麗で温もりのある明るい建物です。電気や水道が完備されており、下界のように不自由なく滞在できました。

 
閑散期らしく、私のような一人客ですら個室が利用できました。7畳半ほどの和室です。山小屋なのに室内には地デジテレビが用意され、しかもコンセントが4口もありました。暖房も設置されています。窓の外はバルコニーとなっており、小蓮華や白馬岳が一望できます(撮影時には雲がかかっていたため、山腹しか見えませんでしたが)。
これだけ便利で快適なのに、一応山小屋としてのスタンスを貫きたいのか、トイレや洗面などの水回りは共用です。地階にはお風呂があり、混合栓カランが4基設置された洗い場、そして長方形で3人サイズの浴槽が利用できます(お湯は温泉ではなく沸かし湯の循環です)。洗濯機まで使えるのが嬉しいところです。


お食事は館内のレストラン「チングルマ」でいただきます。夕食は17:30だったか18:00だったか、とにかく山小屋的な早い時間のスタートです。入口には献立が書かれたボードがイーゼルに載せられていました。

 
白馬の山々を眺められる絶好の席へ案内されました。この日の夕食は、鰹のたたき・牛肉バーベキュー風・オクラのサラダ・山菜の煮物・とろろそば・みょうが醤油漬、そして食後はストロベリーフローズンケーキ。とても登山の前線基地とは思えないお上品なコース料理でした。


日暮れ頃になると、山に掛かっていた雲が全て消え、小蓮華や白馬岳の稜線を鮮明に望むことができました。明日もこの調子で晴れてくれるといいんだけどなぁ・・・。


その2(栂池ヒュッテ→白馬大池→小蓮華山→白馬岳)へつづく

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