温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

白馬鑓温泉

2011年09月11日 | 長野県

登山道を4~5時間歩かないと到達できない標高2100mの秘湯「白馬鑓温泉」に行ってきました。私は登山口の猿倉から行かず、別の登山口から遠回りして白馬岳など白馬三山を縦走してからこの温泉へと向かいましたが、その縦走に関してはまた別記をご参照いただくこととして、今回は温泉に限定して記述してみます。



 
こちらでは立ち寄り入浴もできますが、朝焼けを眺めながらゆっくり湯浴みしたかったので、宿泊することにしました。上画像は受付&食堂棟です。受付前には…
・沢が増水した時は、渡れない事もあります。
・橋が流された時は、水位が下がるまで修理が不可能です。
・自然には勝てません、あせらないで下さい
と登山者に向けての忠告が箇条書きされた看板が掲示されていました。そういう表現を要するほどの道を辿らないとここには到達できないのでありまして、実際に2010年9月には大雨によって沢に掛けられた簡素な橋が流されてしまい、しばらくの間登山道がクローズされてしまいました。もしそうなったら、橋がかかるまで数日ここで淹留するか、あるいは山を登って白馬山頂や大雪渓を大きく迂回しなければならないんでしょう。

 
こちらは宿泊棟。通路を挟んで二段式の寝台空間が向かい合っています。男女共用の相部屋ですしカーテンもありませんから、プライバシーが確保された空間じゃないと寝られないという人は無理ですね。布団は用意されているものの、枕がありませんでした。まぁ山小屋ですから贅沢は言っていられません。なおこの場所は冬季に雪崩が発生する可能性があるため、9月末の営業期間を終えると、建物はすべて解体されてしまうんだそうです。つまり毎年組み立てと解体を繰り返しているわけです。関係者のご苦労には頭が下がります。


ヘリや歩荷さんによって物資の運搬が行われているため、食事はご覧のように立派で温かいものをいただけます。この日の夕食の献立は、サバの味噌煮、鶏のから揚げ、スパゲッティのマヨネーズ和え、きんぴらごぼう、オレンジ、フルーツポンチでした。ご飯とお味噌汁はお替り自由ですので、大食漢にはありがたいかぎりです。ちなみに夕食は17:30、朝食は5:30開始でした(日によって異なるかと思いますので、訪問なさる場合はその都度ご確認ください)


さぁ、お風呂に行きましょう。お風呂は混浴の露天風呂と、女性専用の内湯が、それぞれ一つずつあります。

 
言葉を失うほどの素晴らしい展望! 谷を挟んで相対峙する戸隠・雨飾・妙高の山々、さらにはその奥の彼方に幾重にも稜線が重畳しています。大絶景とはこのことを言うのでしょう。こんな大パノラマを眺めながら温泉に浸かれるだなんて、本当に幸せ…。
この露天風呂は真下の登山道やテント場から丸見えなので、女性には利用しにくいかもしれませんが、水着を着用して入浴している女性もいらっしゃいましたから、そのような工夫によって臆することなく老若男女皆さんでこの絶景の露天風呂を楽しんでいただきたいものです。なお19:00~20:00は女性専用タイムです(その間は内湯が男湯になります)。


入口の反対側から撮影してみました。ちゃんと脱衣小屋もあります。いかに急な傾斜地に設けられているかがおわかりいただけるかと思います。コンクリを固めたり石を組んだりして造られた浴槽は15人近くは同時に入れそうなほど大きなものです。場所が場所だけにカランなんてありませんが、酒枡を大きくしたような木の四角い桶がありますから、これで掛け湯して入ります。排水処理設備はありませんから、石鹸などは使用不可。

 
浴槽内の山側の底に湯口のパイプが顔を出しており、ふんだんに源泉が供給されています。もちろんお湯は完全掛け流し。まるで滝のように浴槽からお湯が大量に排出されていき、その流れは湯の川となって湯気を上げながら下方へと落ちていきます。
お湯は微かに白い靄がかかったように見えますが、若干青みがかった透明です。湯船に人が入ると白い湯の花がたくさん舞い上がりますが、誰も入らないままでしばらく放っておくと、沈殿は底に沈み、あるいは流れてしまい、かなり綺麗に澄みきります。卵黄味と砂消しゴム的な味を足して2で割ったような硫黄味にほろ苦さが加わり、石膏的な甘さや微かな炭酸味も帯びています。そして軟式テニスボール的な匂いを帯びた硫化水素臭がはっきり漂っています。湯温は若干熱めで、私の温度計は43.5℃を指していました。キシキシとした浴感でした。


(サムネイルをクリックすると拡大)
興味深いのは温泉の成分です。脱衣小屋にはちゃんと分析表が掲示されているのですが、そこに記されていた泉質名は「含硫黄-マグネシウム・カルシウム-炭酸水素塩泉(硫化水素型)」でした。旧泉質名で表記すると「含重炭酸土類硫黄泉」となりましょうか。硫黄・マグネシウム・カルシウム・炭酸水素塩(重炭酸塩)、ひとつひとつの要素自体はちっとも珍しくありません。しかし、重炭酸土類泉は一般的にカルシウムが陽イオンのメイン(一番多いイオン)になることが多いので、マグネシウムが陽イオンの筆頭に挙がり、しかも硫黄泉としての性質も兼ね備えているだなんて、他では滅多にお目にかかれない泉質ではないでしょうか。

 
その稀有なお湯を湧出しているのがこの場所。食堂棟の裏手に屹立している岩の隙間からお湯がドバドバと大量に自噴していました。温泉ファンとしては興奮せずにはいられない光景です。


絶景を背にして、冷えた缶ビールで喉を鳴らしながら温泉に浸かる私。ありがたいことにキンキンに冷えた缶ビールが売っているのであります。350ml缶で600円もしますが、この山奥へ運搬する困難さや高コストを考えたら、十分納得できますし、それだけのお金を支払うだけの対価、つまり格別な美味しさがあるんです。山で飲むビールって、なんであんなに美味いんでしょう。あの美味さは下界じゃ決して味わえません。


なお露天風呂の真下には足湯も設けられています。こちらは無料。テント場でキャンプしている登山者が頻りに利用していました。上述の自噴源泉から専用のホースによってここまで引湯されています。露天風呂よりも足湯の方が白い沈殿が多いような気がします。

 
早朝に起きて露天風呂へ行ってみると、東の空が徐々に茜色へ染まり、しばらくするうちに山の向こうから真っ赤に燃える太陽が上がってきました。壮大な絶景から上がってくるご来光を仰ぎながら湯あみできる露天風呂なんて、温泉大国の日本とはいえ、極めて希有な存在ではないでしょうか。苦労して登山してきた甲斐がありました。

念願かなってようやく入浴・宿泊することができた白馬鑓温泉は、私の想像や期待をはるかに凌駕する、まるで天国にいるかのような極上の温泉でした。


含硫黄-マグネシウム・カルシウム-炭酸水素塩泉(硫化水素型) 
42.7℃ pH6.5 自然自噴 溶存物質1397mg/kg 成分総計1687mg/kg
Na:25.4mg(6.38mval%), Mg:125.5mg(59.88mval%), Ca:109.9mg(31.77mval%), HS:1.1mg(0.18mval%), SO4:135.0mg(16.42mval%), HCO3:749.7mg(71.83mval%), 遊離CO2:286.5mg, 遊離H2S:4.0mg

猿倉登山口から白馬鑓温泉登山道(小日向コル経由)を徒歩4~5時間。ちゃんとした登山装備が必須。
猿倉までは白馬駅からタクシーまたは路線バス(猿倉線)を利用(運転日注意、ハイシーズンや週末以外は運休)

長野県北安曇郡白馬村北城字白馬山国有林  地図
連絡先:(株)白馬館 0261-72-2002
ホームページ

営業期間:7月中旬~9月末
立ち寄り入浴:300円
1泊2食:9000円
テント場料金:500円
石鹸など使用不可、ロッカー・ドライヤーなど無し
夜間は冷えるので防寒具必須。山小屋なので設備面は期待しないように。自家発電ですが21時に消灯なのでヘッドランプなど用意するとよい。

私の好み:★★★
コメント (3)
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宝寿温泉

2011年09月05日 | 秋田県
秋の宮温泉郷から鬼首へ国道を南下する途中、宮城県境の峠手前にある温泉です。一応秋の宮温泉郷のひとつに含まれるようですが、泉質といい立地といい、秋の宮温泉の他の温泉とは一線を画した方がよいかもしれません。

 
温泉を利用するには、まず湯屋から200m鬼首寄りにあるドライブインの「ラフォーレ栗駒」へ立ち寄り、そこで料金を支払って、引き換えに入浴券を入手します。


これがその券です。施設側で統計をとっているのか、発券時には「どちらからいらっしゃいましたか?」と訊かれ、券の右肩に通し番号、そして右隅に県名の頭文字(私の場合は神奈川県の「神」)が記されました。

 
次に「ラフォーレ栗駒」からちょっと秋の宮温泉(湯沢)方面へ戻ったロードサイドの湯屋へと向かいます。行きかう車の目を引くために大きな看板が立っているので、わかりやすいですね。

 
なぜ200mも離れた別棟で料金を支払う必要があるのか、館内に入ってその謎が解けました。湯屋棟は基本的に無人なんですね。このためわざわざ店員さんがいるドライブインまで行って支払う方式にしているようです。訪問時も誰もいませんでした。玄関に置かれた小さな籠に入浴券を入れ、廊下を進みます。


無人の施設となると、ちょっと雑然とした先入観がありますが、こちらは宿泊もできるみたいで、そのためか脱衣所を含め館内はどこも綺麗でちゃんと整備されています。服を脱いでいると浴室から轟々とすごい音が響いてくるぞ。もしかしたら…

 
浴室に入ってビックリしました。脱衣室まで聞こえていた音の正体は、大量に投入されている源泉の音でした。見事にドバドバと浴槽へ注がれ、ザブザブとオーバーフローしています。お湯は緑色を帯びた黄土色に濁り、透明度は30センチ程でしょうか。湧出時には無色透明ながら、外気に触れることによって急激に濁っているものと思われます。経験則から判断するに、この手のお湯は浴槽に沈殿が発生しそうな感じですが、掛け流す量が多いためか、浴槽内にしっかりとした流れが形成されており、このため沈殿は溜まっている暇なんてなく、湯の花の塊らしきものすら見当たりません。そのかわり、浴槽の隅の比較的流れに影響されにくい一角では、湯面に薄い膜ができていました。


口に含むと金気味+土気味+微塩味+微芒硝味が感じられ、また匂いに関しては金気臭+土気臭に加え、湯口では微かながら何か有機的なものが腐敗したような不思議な臭いが感じられました。といっても別にお湯が鈍っているわけではなく、そもそもそういう匂いなんです。キシキシとした浴感です。大雑把に括れば、青森県の田代元湯や北海道の然別峡野湯群と似たような質感のお湯かと思われます。成分の付着により、湯口の周りは赤茶色に、洗い場の床タイルはこげ茶色にそれぞれ染まっています。


上記の浴槽から一段下りたところにも浴槽がありました。部屋のつくりから想像するに、元々は露天風呂を想定して造られたのかしら。ガラス窓の向こうには山に挟まれた畑が広がっておりとても長閑です。お湯は上段の浴槽から流れてきたものを受けて張っており、湯加減はちょっとぬるめ。

秋の宮温泉郷の中でも他とは毛色が全く異なるお湯ですし、掛け流しの量がすばらしいので、界隈で湯めぐりするなら、かならず寄っておきたい一湯だと思います。


ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉 50.1℃ pH7.0 170L/min(動力揚湯) 溶存物質2296.9mg/kg 成分総計2325.9mg/kg

秋田県湯沢市秋ノ宮字畑45  地図
0183-56-2733
(秋の宮温泉郷)紹介ページ

8:00~17:00
480円
ロッカー(無料)・シャンプー類・ドライヤー無料

私の好み:★★★
コメント (2)
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須川温泉 栗駒山荘

2011年09月04日 | 秋田県
しばらく津軽地方の鄙びた公衆浴場ばかりを立て続けに取り上げていたら、あまりに地味でマニアックすぎたためか、当ブログのアクセス数は下降線を辿ってに減少傾向となり、昨日には遂に最近の平均値の3割にまで落ち込んでしまいました。このため、さすがにテコ入れしなきゃいけないなという危機感に苛まれ、今回は世間様に迎合すべく、どんな人でも感動してしまう超有名温泉ホテル「栗駒山荘」を取り上げてみます。鄙びた温泉が好きな私も、さすがにこちらの露天風呂には圧倒されてしまいました。


客室やお風呂からの眺望が評判で人気を集めるこのお宿は、週末や観光シーズンは予約がすぐに埋まってしまいます。今年(2011年)も紅葉の時季を迎える9月下旬から10月にかけては連日満室のようです。そもそも私のような一人旅の男にはお呼びでない施設であるともいえるでしょうから、日帰り入浴でささやかにお邪魔させていただくことに…。

 
駐車場の隅っこには足湯が設けられており、こちらは無料で利用できます。晴れていれば鳥海山まで眺望できる素晴らしいロケーション。

 
モダンなログハウス調の館内は天井が高く、ガラスを多用しているので開放的。それでいてとても落ち着いており、洒落た空間が広がっています。かといって敷居が高いわけではなく、日帰り入浴も積極的に受け入れており、受付の隣には専用の券売機を設けているほどです。


公営の施設とは思えないシックで良い雰囲気。わずか600円しか支払っていませんが、リゾート地にいるような優雅な気分になって浴室への通路を歩きます(実際は大したことないのかもしれませんが、普段私が泊まっているのは安宿なので、相対的に立派に見えてしまうのです)。

脱衣所も広々していて使い勝手良好。総木造でこげ茶の落ち着いた色調により統一されています。床は柔道場のような正方形の畳敷きなので、足の裏がとっても爽快。建設コストは相当かかってるんだろうな…。

 
内湯は大きなガラスに面した展望風呂。カランも数多く用意されており、使い勝手の面は文句なし。でも真水が不足しやすい立地なので、カラン利用時には節水に協力しましょう。

 

露天風呂は内湯の浴槽と平行に据えられており、眺望できる方向は内湯と同様ですが、高原の爽快な風に吹かれながらの湯あみは言葉で表現するのが難しいほど素晴らしく、お客さんも皆さん露天風呂へと集中してしまいます。かく言う私もその一人。
訪問時は西日がまぶしかったのですが、目下の小さな高層湿原、栗駒山麓、そして奥羽山脈の稜線が広がるパノラマを眺めながら、硫黄たっぷりの温泉に入れるのですから、感動しない人なんているでしょうか。順光で気象条件が良ければ鳥海山まで見えるんだそうです。
お湯はお隣岩手県の須川温泉から引いてきた強酸性の硫黄泉で、口腔を収斂する酸味+鉄味+塩味などが複雑にまじりあう個性的な味と硫化水素臭がはっきり感じられます。源泉から引湯する間にお湯がこなれてくるのか、須川で入るよりは質感が若干柔らかくて優しく、須川の露天風呂のような見た目の青みは見られません。また上州の草津温泉のような皮膚への刺激もあまり無かったように思います。
湯使いの違いなのか、あるいは外気温の影響の有無なのか、内湯は白濁の度合いが強いのですが、露天はそれほど濁っておらず、むしろ透明に近い感じすら受け、そのかわり、微細に分散した粒子(コロイド)が固まって、目で容易に確認できるほどの湯華となってお湯の中を舞っていました。

お湯は良いし、空気も澄んでるし、そよ風が気持ち良いし、眺めも最高。私はここで2時間近く入浴しつづけちゃいました。たとえ宿泊できなくても、日帰り入浴で是非入っておきたい露天風呂です。すぐ近所の須川温泉露天風呂のシンプルさに抵抗感がある方や、綺麗なお風呂に入りたい方にはぜひこちらをおすすめします。


仙人温泉
(源泉所在地 岩手県一関市厳美町字祭畤山国有林46林班ト)
酸性・含鉄(Ⅱ)・硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 48℃

秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字仁郷山国有林  地図
0182-47-5111
ホームページ

日帰り入浴9:00~18:00(最終受付17:30)、冬季休業
600円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (10)
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芦毛沢温泉

2011年09月02日 | 青森県
※こちらの温泉は2014年に一旦閉業しましたが、その後営業を再開しています。本記事は2011年時点の様子をレポートしたものであり、現状と異なる部分があるかもしれません。

 
前回取り上げた唐竹大湯の近所、谷を挟んだ向かい側の丘に立地している温泉公衆浴場です。県道沿いに看板が立っているので、迷うことはないでしょう。比較的新しい施設のようで、外観・館内ともに綺麗です。館内の休憩スペースには自販機がこれでもかと言うほどたくさん並んでおり、明らかに清涼飲料水の供給過多状態。しかも子供向けのガチャガチャまで置かれています。マッサージチェアーも用意されていて、家族みんなで利用するにはいいかもしれません。実際、当施設には貸し切りの家族風呂もあるんだそうです。平日の夕方に訪れましたが、常時4~5人が利用していました。


脱衣所も綺麗で使い勝手良好。冷暖房完備である点は嬉しいです。

 
浴室も広々しています。唐竹地区に点在する温泉浴場の中では最も大きなお風呂でしょう。浴槽の手前には洗い場のカランが22基ほどズラリと並んでおり、すべてシャワー付き混合栓。
ガラス窓に面した浴槽は3つに分割され、一番大きな中央の浴槽はちょうど良い湯加減で、窓下側面から泡が噴射されています。左側の小さな浴槽はやや熱めで、こちらも泡風呂ですが、中央の浴槽とは異なり、こちらは底からブクブク上がるタイプのものです。そして右側には打たせ湯が設けられており、仕切りが立てられているので中央の浴槽へ飛沫が飛ばないよう配慮されています。泡風呂や打たせ湯のため、全体として騒々しい印象は拭えません。


お湯は無色透明無味無臭の癖がない泉質です。湯口にはストッキングが被せてありますが、これによって濾し取られているのか、あるいはそもそも少ないのか、湯中に湯の花的な浮遊物は見られません。湯使いに関しては加水されている旨が館内に表示されており、加温循環消毒については記載がありません。左側の槽からしっかりお湯が溢れ出ていましたが、湯口からのお湯の投入量に対してオーバーフロー量が少ないように見えるのは、気のせいでしょうか。


(↑サムネイル)はクリックで拡大
お湯のフィーリングは谷の向こう側にある唐竹大湯と似ているので、温泉分析表を見てみたら、案の定同じような成分構成と濃度でした。でもちょっと気になったのが分析表に記されている申請者の名前。そこには…
 (申請者)大阪市西区江戸堀三丁目6番35号 株式会社スーパーホテル 代表取締役山村孝雄
と記されていました。HP上の会社概要の所在地とは若干違いますが、どうやらこの温泉浴場のオーナーは、全国チェーンのビジネスホテル「スーパーホテル」らしいのです。私もスーパーホテルは何度か利用したことがあり、その都度、よくぞこんな細かいところまでコストカットしているな、さすが浪花の商人はガメツイな、と感心させられるのですが、そのスーパーホテルがなぜこんな津軽の辺鄙な山村に触手を伸ばしているのでしょう…。この会社は老人ホーム事業も展開しているので、もしかしたらその手の事業をこの地で行おうとしているのかしら。


唐竹桑田温泉(再分析)
単純温泉 60.4℃ pH7.69 132L/min(動力揚湯) 溶存物質0.674g/kg 成分総計0.676g/kg 
Na:151.2mg(69.85mval%), Ca:52.7mg(27.92mval%), Cl:142.9mg(43.71mval%), SO4:193.1mg(43.60mval%)

青森県平川市唐竹芦毛沢5  地図
0172‒44‒2336

8:00~22:00 第2水曜定休
350円
ドライヤーあり、他各種販売

私の好み:★★
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唐竹阿蘇温泉 唐竹大湯

2011年09月02日 | 青森県
※残念ながら閉館したようです。


平川市唐竹集落の中心部に建つ温泉公衆浴場です。平賀の市街から唐竹へアクセスする県道282号線の現道は、丘の上にある集落を避けて田んぼが広がる浅い谷底をバイパスのように貫いていますが、集落の民家や主要機関(郵便局・農協・GSなど)はこの県道の旧道と思しき狭い道の沿道に集中しており、当浴場も同様にこの旧道沿いに建っています。小さな施設ながらちゃんと駐車場を確保しているのが立派。
こちらは平川市の条例によって運営方法が細かく決められていますが、条文をよく読めば結構曖昧で抽象的な内容を羅列しているだけでして、「市の管轄だからとりあえず形式的に条文を作っておくけれど、実際は地元で適当にやってちょうだい」という程度のものなのでしょう。訪問時には堅っ苦しい条文とは無縁なヨレヨレのTシャツを着た20歳代半ばと思しきお姉ちゃんがスナック菓子をつまみながら受付対応してくれました。こういうユルユルな感じが私は好きです。


地域の公民館のような質素な建物。脱衣所は床暖房が設置されているのか、夏だというのにムンムンの暑さが籠っていました。

 
内湯がひとつだけの浴室。洗い場には青森県ではお馴染みの古典的押しバネ式カランが9基設置されており、うち6基には固定式シャワーが併設されています。小高い丘の上の縁に立地しているので、窓からは県道(新道)が左右に貫く谷の田んぼやその向こう側の丘など、付近の景色が気持ちよく見晴らせました。


お湯は無色透明でほぼ無味無臭。浴槽の縁からふんだんにオーバーフローされています。加水しているようですが、それでもめちゃくちゃ熱く、苦悶の表情でお湯に浸かりました。弱いスベスベ浴感。単純泉だからか、熱くても肌には優しく、体力が急激に奪われることも無いので、しばらく我慢して身を沈めていれば、じきに体が熱さに慣れてくるようでした。また湯上がりはあまり火照らず、むしろサッパリ。熱くても新鮮なお湯っていいもんですね。体がキリっと冴えます。
地元の方々にはかなり愛されているお風呂のようで、私は火曜日の午後4時頃に訪れたのですが、常時2~3人が入れ替わりながら利用しており、浴室内では賑やかな挨拶の声が絶えずこだましていました。


単純温泉 62.5℃ pH7.6 湧出量測定不能 溶存物質0.8860g/kg 成分総計0.8904g/kg
Na:210.2mg(72.08mval%), Ca:65.5mg(25.79mval%), Cl:218.7mg(48.89mval%), SO4:260.2mg(42.95mval%)

青森県平川市唐竹堀合100-1  地図
0172-44-3178

※残念ながら閉館したようです。
12:00~21:30 1日・11日・21日定休(曜日関係なし)
300円
備品類なし

私の好み:★★
コメント (4)
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