※兎口温泉露天風呂「翠の湯」は2013年に廃止されました。
新潟県には油臭のする温泉が点在しますが、それらのなかでも、東頸城丘陵の山中に湧く松之山温泉は、新津温泉や月岡温泉・瀬波温泉のように石油を掘削しようとして温泉が湧いた新参者とは異なり、800年以上の歴史を有する古湯であり、上杉謙信の隠し湯としても知られている名湯であります。この松之山温泉からちょっと離れたところで同じような泉質を湧出させているのが兎口温泉でして、一応独立した温泉地ですが、立地的にも泉質的にも便宜上松之山温泉に含めてしまうことがほとんどです。兎口温泉には植木屋という一軒宿があるのみですが、その裏手には公営の素朴な露天風呂があるので、油臭が無性に恋しくなった初夏の暑い日、車を飛ばして行ってみました。
植木屋旅館下の指定駐車場に車をとめます。辺りには丘陵の傾斜地に開かれた棚田が広がっています。
露天風呂は一応公営ですが、受付管理業務は植木屋旅館に委託されており、料金も植木屋さんで支払います。
旅館の妻面には翠の湯専用の小窓があり、ここで料金を支払う仕組みです。
受付から100mほど歩くと右手に小屋がありました。ここが脱衣所ですね。この小屋を目にする前から、露天風呂から漂ってくる独特の油臭が鼻をくすぐってきます。
内部は棚があるだけの至ってシンプルなもの。出入口は常時開けっぱなしにされているため、室内の隅っこには蜘蛛の巣が張っていたり蛾が這い蹲っていたりします。神経質な人や潔癖症な人にはちょっと厳しいかな。
露天風呂しかないお風呂。カランもありません。でもこの質素さが公営施設とは思えない野趣を醸し出しているようでした。5~6人サイズの浴槽の上にはテントが掛かっているので、少々の雨なら大丈夫。
パイプから少々熱めの源泉が投入されています。加温加水循環消毒なしの純然たる掛け流し。熱いお湯に慣れている私は平気でお湯に浸かれましたが、後客の方は「これじゃ熱くて入れないよぉ」と嘆きながら、水道のホースで薄めていました。ということは、普通の感覚では熱いってことなのかしら。
当浴場の名前の由来と思しき深緑色を帯びた黄土色に濁るお湯の中で、微細な黄褐色の浮遊物が無数に舞っており、この浮遊物が濁りの正体かと思われ、桶でお湯を掬っただけでもその濁りの様子がよくわかります。成分総計14340mg/kgという数字はさすがに伊達じゃなく、苦み+しょっぱさ+ゴムを焦がしたような味が強く舌の載り、外を歩いているだけでもわかる強い油臭が湯面から立ち上っています。一口に油臭と言ってもいろいろな種類がありますが、ここの場合は揮発油的な匂い+クレゾールのような匂い+ゴムが焦げたような匂いがミックスされているように感じられました。とくかく苦しょっぱさと油っぽい知覚が特徴的です。また熱めの湯加減で且つ食塩などが濃く溶けているため、とてもパンチのある浴感で、入浴中こそスベスベ感が得られますが、たちまち体力が奪われてヘロヘロになり、湯上りはベトつきとチクチクとした刺激感が残り、なかなかほとぼり冷めず汗も引かずにクラクラしてしまうような、凶暴なお湯でありました。さらにはお湯から上がってしばらくは体からクレゾールのような匂いが取れませんでした。津々浦々で温泉巡りをしていると、たまに「のんびり湯あみ」というより「個性的なお湯との格闘」を求められるような攻撃的な泉質のお湯に巡り合いますが、ここはその代表格かもしれません。お湯との格闘が大好きな私はこのお湯にすっかりはまってしまいました。夏には疲労を覚えるでしょうが、肌寒い時期にはむしろその強烈なパワーがプラスに転じること必至でしょう。
この露天風呂は木々と田んぼに囲まれた野趣あふれる環境ゆえ、夏はとにかく羽虫が夥しくて鬱陶しいのですが、刺してくるような虫は(少なくとも私の訪問時には)いませんでしたのでご安心を。そんな虫たちを胃袋に収めるべく、湯船脇でトノサマガエル君が虎視眈々と狙っていました。
兎口1号
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 72.1℃ pH7.6 35L/min(動力揚湯) 溶存物質14340mg/kg 成分総計14340mg/kg
Na:3391mg(59.21mval%), Ca:1989mg(38.02mval%), Cl:8079mg(97.23mval%)
新潟県十日町市松之山兎口756 地図
025-596-2040(植木屋旅館)
※2013年に廃止されました
8:00~20:00 4月下旬~11月営業、毎月15日および月末定休、冬季休業、
400円
備品類なし、窓口でタオル販売(200円)
私の好み:★★★
新潟県には油臭のする温泉が点在しますが、それらのなかでも、東頸城丘陵の山中に湧く松之山温泉は、新津温泉や月岡温泉・瀬波温泉のように石油を掘削しようとして温泉が湧いた新参者とは異なり、800年以上の歴史を有する古湯であり、上杉謙信の隠し湯としても知られている名湯であります。この松之山温泉からちょっと離れたところで同じような泉質を湧出させているのが兎口温泉でして、一応独立した温泉地ですが、立地的にも泉質的にも便宜上松之山温泉に含めてしまうことがほとんどです。兎口温泉には植木屋という一軒宿があるのみですが、その裏手には公営の素朴な露天風呂があるので、油臭が無性に恋しくなった初夏の暑い日、車を飛ばして行ってみました。
植木屋旅館下の指定駐車場に車をとめます。辺りには丘陵の傾斜地に開かれた棚田が広がっています。
露天風呂は一応公営ですが、受付管理業務は植木屋旅館に委託されており、料金も植木屋さんで支払います。
旅館の妻面には翠の湯専用の小窓があり、ここで料金を支払う仕組みです。
受付から100mほど歩くと右手に小屋がありました。ここが脱衣所ですね。この小屋を目にする前から、露天風呂から漂ってくる独特の油臭が鼻をくすぐってきます。
内部は棚があるだけの至ってシンプルなもの。出入口は常時開けっぱなしにされているため、室内の隅っこには蜘蛛の巣が張っていたり蛾が這い蹲っていたりします。神経質な人や潔癖症な人にはちょっと厳しいかな。
露天風呂しかないお風呂。カランもありません。でもこの質素さが公営施設とは思えない野趣を醸し出しているようでした。5~6人サイズの浴槽の上にはテントが掛かっているので、少々の雨なら大丈夫。
パイプから少々熱めの源泉が投入されています。加温加水循環消毒なしの純然たる掛け流し。熱いお湯に慣れている私は平気でお湯に浸かれましたが、後客の方は「これじゃ熱くて入れないよぉ」と嘆きながら、水道のホースで薄めていました。ということは、普通の感覚では熱いってことなのかしら。
当浴場の名前の由来と思しき深緑色を帯びた黄土色に濁るお湯の中で、微細な黄褐色の浮遊物が無数に舞っており、この浮遊物が濁りの正体かと思われ、桶でお湯を掬っただけでもその濁りの様子がよくわかります。成分総計14340mg/kgという数字はさすがに伊達じゃなく、苦み+しょっぱさ+ゴムを焦がしたような味が強く舌の載り、外を歩いているだけでもわかる強い油臭が湯面から立ち上っています。一口に油臭と言ってもいろいろな種類がありますが、ここの場合は揮発油的な匂い+クレゾールのような匂い+ゴムが焦げたような匂いがミックスされているように感じられました。とくかく苦しょっぱさと油っぽい知覚が特徴的です。また熱めの湯加減で且つ食塩などが濃く溶けているため、とてもパンチのある浴感で、入浴中こそスベスベ感が得られますが、たちまち体力が奪われてヘロヘロになり、湯上りはベトつきとチクチクとした刺激感が残り、なかなかほとぼり冷めず汗も引かずにクラクラしてしまうような、凶暴なお湯でありました。さらにはお湯から上がってしばらくは体からクレゾールのような匂いが取れませんでした。津々浦々で温泉巡りをしていると、たまに「のんびり湯あみ」というより「個性的なお湯との格闘」を求められるような攻撃的な泉質のお湯に巡り合いますが、ここはその代表格かもしれません。お湯との格闘が大好きな私はこのお湯にすっかりはまってしまいました。夏には疲労を覚えるでしょうが、肌寒い時期にはむしろその強烈なパワーがプラスに転じること必至でしょう。
この露天風呂は木々と田んぼに囲まれた野趣あふれる環境ゆえ、夏はとにかく羽虫が夥しくて鬱陶しいのですが、刺してくるような虫は(少なくとも私の訪問時には)いませんでしたのでご安心を。そんな虫たちを胃袋に収めるべく、湯船脇でトノサマガエル君が虎視眈々と狙っていました。
兎口1号
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 72.1℃ pH7.6 35L/min(動力揚湯) 溶存物質14340mg/kg 成分総計14340mg/kg
Na:3391mg(59.21mval%), Ca:1989mg(38.02mval%), Cl:8079mg(97.23mval%)
新潟県十日町市松之山兎口756 地図
025-596-2040(植木屋旅館)
※2013年に廃止されました
8:00~20:00 4月下旬~11月営業、毎月15日および月末定休、冬季休業、
400円
備品類なし、窓口でタオル販売(200円)
私の好み:★★★