

今回は帯広駅前のビジネスホテル「ふく井ホテル」を取り上げてみます。帯広駅前に林立するホテルの一部は「天然温泉」を謳った大浴場を売りにしていますが、この「ふく井ホテル」は他のホテルとはちょっと違う。何が違うかと言えば、温泉が自家源泉で掛け流しであるという点であります。他のホテルはバリバリの循環かあるいは遠隔地からローリー運搬の上でさらに循環という惨憺たる湯使いですので、泉質重視という観点から考えると、そうしたホテルは眼中に入ってきません。ということで、これまで私は何度も帯広で宿泊していますが、いまでは定宿としてこちらを利用しています。

まずは客室から。この時はシングル1泊朝食付で5000円ぽっきりのプランを利用しました。11.5㎡の部屋にシングルベッドと一通りの備品が詰め込まれており、まさに寝るためだけの空間といってよいでしょう。おそらくこのホテルでは一番狭い部屋ではないかしら。もっとも、私はチェックイン後も外出してひたすら市街の温泉銭湯をハシゴし、街でお酒をひっかけたあとは、大浴場に入ってただ寝るだけなので、狭くても全く問題ありません。


ビジネスホテルに必須の備品類はちゃんと揃っています。お部屋のメンテナンスもよく行き届いており、安宿にありがちな手抜き感はありません。無線LANが全客室で使えるのが嬉しいところです。
写真は撮っていませんが、このホテルは朝食がとっても美味い。バイキングではなく、和定食と洋定食の選択制なのですが、十勝の食材を中心に採り入れてしっかり作られており、ボリュームもあって本格的なのです。私は洋定食が好きでして、おかわりできるパンの他、ホクホクのポテトや畜産王国ならではのソーセージ類は十勝の誇る味であり、廉価な宿泊代金なのにあの食事がいただけるとは、かなりコストパフォーマンスが優れているのではないでしょうか。

大浴場は地下一階。EVホールの目の前には暖簾がかかっています。

脱衣所は特に広いわけではありませんが、ホテルらしくよく手入れされており綺麗で、洗面台にもアメニティ類が一通り揃っています。床が畳敷きなので足元爽快。

積んであるタオルは使い放題。


浴室の中央には小判型の大きな浴槽が据えられており、その浴槽を囲むようにシャワー付き混合栓が22基設置されています(カランのお湯は真湯)。換気状態がよく、地下なのに湯気があまり籠っていないのはありがたいです。


柱に湯口が開いており、加水や加温は一切ない源泉そのままのお湯がドバドバ絶え間なく注がれています。見た目は赤っぽい綺麗な紅茶色透明、芳しいモールの香りに弱い金気臭とタマゴ臭がブレンドされて湯面から立ち上り、口にすると卵黄味と弱金気味がミックスされて感じられます。また、湯面には気泡が浮かび、湯中の肌には細かな気泡が付着します。ツルツルスベスベのとても気持ち良い浴感で、病み付きになりそうなほど後を引くお湯には感激。17万都市の玄関口である駅前とは思えない良質の温泉です。

お湯はふんだんに浴槽の縁からオーバーフローしていきます。ビジネスホテルの大浴場は、たとえ源泉使用でも循環されるのが当たり前ですが、こんな掛け流しの湯使いをしている施設は滅多にお目にかかれないのではないでしょうか。
帯広駅前ではいろんなホテルに泊まってきましたが、私でしたら「十勝ガーデンズホテル」か「ふく井ホテル」の二択ですね。なお「ふく井ホテル」では立ち寄り入浴は受け付けていないので、宿泊しないと入浴できません。
アルカリ性単純温泉 45.8℃ pH8.8 200L/min 溶存物質0.672g/kg 成分総計0.672g/kg
Na+:159.3mg(97.74mval%),
Cl-:92.2mg(34.76mval%), HCO3-:269.5mg(59.09mval%),
H2SiO3:84.9mg, 遊離CO2:0.0mg, 腐植質:4.2mg
JR帯広駅前
北海道帯広市西1条南11丁目19 地図
0155-25-1717
ホームページ
立ち寄り入浴不可
宿泊者は15:00~翌朝10:00利用可能
私の好み:★★★