温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

最近数ヶ月で感心した映画

2012年02月03日 | その他
当ブログは掛け流しの温泉を日帰り入浴(たまに宿泊)で訪れたときの様子やインプレッションを書き綴っていますが、ほぼ1ヶ月休み無しで毎日更新を続けていたら、いい加減に温泉に飽きて湯当たりしそうになってきたので、しばらくは温泉とは全く関係の無い内容に浮気してみます。今回はここ数ヶ月の間に公開された映画もしくは販売されたDVDの中で、私がちょっと感心しちゃった作品のうち、「王○のブランチ」など国内のメジャーな媒体ではあまり取り上げられないであろう、脚光を浴びにくいマイナーなものをいくつかピックアップしてみます。なお、私は昔から読書感想文の類が苦手ですので、ここでのレビューもその下手っぴさを隠すため、短めに抑えさせていただきます。


『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』(原題:Inside Job)

リーマンショックを契機として現在も続いている世界不況に関して、どうしてこんなことになっちゃったのか、いままで色々なドキュメンタリー映画やテレビ番組がその実態を暴こうをしてきましたが、その中でもこの作品は関係者(というか「主犯」者)に直接インタビューをしている上に、監督が経済事情に精通しているだけあって、追及がとても細かくて秀逸。専門用語が連発されるので、予備知識が無いとついていけなくなるかもしれませんが…。世界不況の原因に対する憤怒を通りこし、戦慄すらおぼえてしまったほどです。世界金融危機では投機筋はもちろんのこと、格付け会社・金融当局・政府・政治家・著名な学者たちがみんなグルになって世界的なねずみ講を繰り広げていたわけですねが、金融恐慌を巻き起こした連中がオバマ政権下でも金融政策の中枢でノウノウとしているのですから、絶望したくなります。この映画を見て以降、私の世界経済に対する考え方が180度転換してしまいました。これに関連して、私はまだ見てみませんが、今月3日にDVDが発売される『マージン・コール』(証券用語で「追証」のこと)にも期待です。

『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』予告編


『マージン・コール』 - オリジナル予告編 (日本語字幕)




『未来を生きる君たちへ 』(原題:H遵@VNEN/英題:In a Better World)

原題のヘフネンとはデンマーク語で「復讐」という意味なんだそうです。デンマークの某所でとある男子が不条理ないじめに遭う。彼の父はアフリカの難民キャンプで治療に従事する医師で、いじめに対して暴力で報復しようとする息子や友達を「報復しようとしたらキリがなくなる」と諭すが、子供たちは納得いかない。そんな父がアフリカのキャンプに向かうと、ある人物が怪我の治療を依頼してきた。その人物とは妊婦のおなかをナイフで切り裂く猟奇的な悪人。医師は周囲の反対を押し切って治療するが、手術後にその極悪人はリンチを受け、非暴力主義の医師もこの時ばかりはそのリンチを見過ごしてしまう…。
暴力には暴力で対抗する、いじめられたらやりかえす。それが喧嘩というものだったりしますが、倫理的には果たしてそれでいいのか、という問いは誰しも直面する問題かと思います。しかし右の頬を殴られたら左の頬を差し出すようなことって綺麗事でもあるわけで、暴力を受けてもそれに対抗しないままでいたら、いつまでもやられっぱなしの負け犬状態が続いてしまう。でも復讐の発想を容認したら世の中から暴力は消えてゆかない…そんなジレンマを抱いて、劇中に登場する人物がそれぞれの立場で追いつめられてゆく、非常に奥の深い作品でした。
私が信奉する町山智浩さんも仰っていましたが、『未来を生きる君たちへ』という邦題はちょっと残念ですね。






●『トゥルース 闇の告発』(原題:The Whistleblower)

この作品はDVDで見ました。人身売買はいまだ公然と行われているのは周知の事実でして、この日本でもしばしばニュースになっていますが、この作品の舞台は国連監視下にあるボスニア・ヘルツェゴビナ。東欧諸国で騙されて、当地で強制的に売春に従事させられている女の子たちを、国連監視団として派遣されてきたアメリカ人女性の主人公が救おうとするのですが、人身売買や非人道行為には現地のヤクザのみならず、監視するはずの国連職員もドップリ関わっており、結果的に身内を追及するはめになった主人公が、現地当局や国連という巨大組織の闇を暴こうとするのがこの作品のストーリー。これがなんと創作ではなく事実に基づいているというのですから、なんとも切なくなってしまいます。曽野綾子女史が『貧困の僻地』で、国連関係に対しては(募金などの)寄付をするつもりはないという旨を述べていましたが、いろいろな意味で国連という組織は腐敗しているんでしょうね。国連に限らず、組織は大きくなればなるほど腐敗し堕落してしまうものですし…。
この作品ははじめから終わりまで重く暗く、ストーリーとしては起伏に欠けるかもしれませんが、ドキュメンタリーのような描き方をしているので、下手に物語を織り交ぜるよりは、より現実っぽく描けているのではないのでしょうか。また副主人公的な役の女の子は、劇中では被害女性の一人として、騙されて売られて凌辱され、その状況を主人公に密告して捜査に協力しようとしたら、組織側にバレちゃって挙句の果てに殺されちゃうのですが、彼女がいかにも幸薄そうな田舎っぽい容貌の人物で役にハマっており、しかも恐怖と人間不信に陥って生ける屍のごとく無表情になってしまう演技も素晴らしく、監督でも主人公でもなく、彼女の存在あってこそ、この作品はとっても分厚くなったのではないかと、私は一人で勝手に思っております。なお、人身売買を扱った作品としては他に『ヒューマントラフィック』などがありますが、本作の方がはるかに重くて悲壮で残忍。でも、主人公である女性警察官が救出を図ろうとする点や、被害女性が捜査に協力した結果として売春組織に銃殺されるところなど、両者にはストーリーの重要部の組み立て方に相似点が見受けられるのですが、これって意図的なのか偶然なのか…。




『監督失格』

ここで邦画もひとつ。この映画はいろんな方が話題にしているので、詳細な記述は避けますが、私もダメ男の一人として、観終わった後にものすごく打ちのめされ、茫然としてしまいました。好き嫌いは分かれると思いますが…





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