温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

然別湖コタン 氷上露天風呂 2012年2月

2012年02月12日 | 北海道
 
北海道の湖で最も標高の高い場所にある然別湖では、全面結氷する冬季に「しかりべつ湖コタン」が開催されます。分厚く凍った湖面の上にイグルー(氷雪の家)が建てられ、それらが小さな村(コタン)を形づくるわけです。私はこのイベントに以前からとっても心が惹かれておりました。というのも、結氷した湖面の上に温泉露天風呂が設けられるからなのです。


 
氷をシャーベットにしたブロックを積み上げてつくられた数々のイグルー。湖畔にあたる場所にはアイスバー(昼はカフェ、夜はバー)、湖面上には宿泊体験できる小屋や電話小屋など、いろんなイグルーが設けられています。この「しかりべつ湖コタン」については後日改めて記事にします。


 
氷結湖上のイグルー群の中でも一番大きくて目立つのが、ドームが印象的なこのイグルー。沖合約100mに位置しているのですが、これはなんと露天風呂の脱衣所なんですね。脱衣所まで氷の世界なのです。



中へ入る前に正面へ回って露天風呂を見学してみると、仕切りを挟んで円筒形の浴槽がふたつ並んでいることがわかります。男女の区別は無く、どちらも混浴で利用できますが、18:00~20:00は男性専用、20:00~22:00は女性専用の時間となります。水着着用でも利用できるので、混浴に抵抗のある方でも利用しやすいかと思いますが、私がこのようなアングルから写真を撮っているように、観光客からは入浴姿が丸見えですので、その点で男性でも抵抗はあるかもしれません。



次に、露天風呂を含めたイグルー群を湖岸から俯瞰してみますと、一番手前に見える露天風呂の大きなイグルーに向かって、画像左下から斜めに配管が伸びているのがわかりますが、これは露天風呂への導湯パイプです。湖岸に位置する「ホテル風水」の源泉から温泉を湖上の露天風呂へ導き、排湯に関しても氷上へオーバーフローさせるわけにはいかないので、配管でわざわざ湖の外までもっていっています。ブロックの組み立てといい、配管といい、この期間限定の露天風呂に対してはめちゃくちゃ手間がかかっているのがわかります。手間がかかっているのに無料なんですよ。


 
さぁ、脱衣室に入りましょう。シャーベットのブロックを積み上げてつくったドーム内には、氷を透過した外の光がやんわりと室内に拡がって幻想的な空間をつくりだしており、昼間なら照明要らずです。



室内には分析表まできちんと掲示。本格的です。



意外にも室内はそんな寒くないので、全裸になってもそんなに辛くありませんでした。無風状態だから寒くないんでしょうね。一方、床にはマットや人工芝が敷かれていますが、氷のかけらや吹き込んできた雪がその上に散らばっているため、脱衣した後に裸足でいると、足の裏がかなり冷たくてツラい。ビーチサンダルがあるといいかもしれません。お風呂へ移動する僅かな間は外気の寒さや足裏の冷たさを堪え…



さぁ、お湯へ入りましょう。
浴槽はFRP製で直径3メートル近くはありそうな、なかなか大きなもので、やや深い作りである上にお湯の濁りが強いためか、木のハシゴで湯船へと下りていきます。上述のように隣のお風呂の間はシャーベットのブロックでできたパーテーションで仕切られています。前方には視界を遮るものが無いので、結氷した然別湖とその対岸のくちびる山が一望。なんて開放的なんでしょう!!
浴槽内には配管からポコポコと音を立てながら源泉が投入され、湯口と反対側にある排水口からお湯が吸い込まれていきます。こんな氷の上なのに源泉掛け流しという贅沢な湯使い。そのお湯は赤茶色に強く濁り、色から想像できるように赤錆的な金気が強い匂いと味を帯び、これに加えて薄い塩味や重炭酸土類泉的な土気の味と匂い、そしてゴムっぽい硫黄的知覚がほんのりと感じられました。ロケーションだけではなく、お湯の質もなかなか素晴らしい。



夢にまで見た氷上露天風呂に浸かりながら、絶景を一望。雪見風呂なら他にもありますが、こんなに開放的な白銀の露天風呂は唯一無二ではないでしょうか。コタンを訪れる観光客は多いのですが、団体客の方々は自由行動がとれず、個人客であっても外から丸見えなロケーションを敬遠してしまうのか、私の入浴中は誰も入ってこず、1時間ほど呑気に独占して入浴しておりました。


 
この日は湖畔のホテルに宿泊したので、夜も入浴。色温度の低いLED照明で照らされたイグルーは、昼とはまた別の幻想的な姿を見せてくれます。この夜は満月がボンヤリと氷上を照らしており、雪明りと相俟って、照明が無くても肉眼で十分に辺りを歩ける状態でした。しかも冬なら気温マイナス10度以下に冷え込むことが当たり前な当地にあって、珍しくこの夜はマイナス8度前後と(当地にしては)暖かい陽気でしたので、寒さに怯えることも無く湖上を歩けました。



案の定、夜の露天風呂には誰もおらず、ここでもお風呂を一人占め。試しにカメラのシャッターを何度か押してみましたが、安物のコンデジじゃ何も撮れませんでした…。


 
翌朝もお風呂が入浴可能となる朝6:30にコタンへ。
画像を見てもおわかりのように、辺りはまだ薄暗く、誰もいません。



案の定、お風呂にも人の姿は見られませんが、お湯はちゃんと張られていました。



ということで、朝風呂を一人占め。極楽極楽。なお、この画像を撮影した時点では既に日の出時刻の後なので、上の画像よりもかなり明るくなっています。
こんな素晴らしいお風呂を無料で入らせてくれる関係者の皆様には心から感謝です。わざわざ平日に休暇をとって、遠路はるばるやってきた甲斐がありました。

この然別湖での最大目的は露天風呂の入浴ですが、魅力はそれだけじゃない。次回記事ではしかりべつ湖コタンに関する諸々、そして朝風呂入浴後に遭遇した感動的な出会いについてご紹介してみます。


然別湖畔温泉ホテル1号井
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 53.6℃ pH6.0 溶存物質2.170g/kg 成分総計2.585g/kg
Na:524.6mg(80.61mval%),
Cl:702.9mg(70.10mval%), HCO3:512.8mg(29.69mval%),
H2SiO3:208.1mg, 遊離CO2:413.6mg,

北海道河東郡鹿追町然別湖畔  地図
0156-69-8181(然別湖ネイチャーセンター)
然別湖ネイチャーセンターのホームページ

氷上露天風呂利用可能時間:然別湖コタン開催期間中の6:30~22:00
混浴(ただし男性専用時間18:00~20:00、女性専用時間20:00~22:00)
入浴料無料
(冬季に帯広or新得から路線バスで然別湖まで乗車する場合、運賃は無料。詳しくは北海道拓殖バスのホームページを参照あれ)

私の好み:★★★



コメント (4)
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