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火事による無念の焼失から立ち直り、昨年見事に日帰り入浴専門施設としてリニューアルした蔵王温泉の「かわらや」さん。早速多くの温泉ファンから絶賛の声が相次いでいるので、遅ればせながら訪問して見ました。
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受付カウンターの上では、券売機と並んで「えんまくん」がお出迎え。
作務衣を着た女将が笑顔で接客してくれました。
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さすがに新しいだけあって館内はどこもかしこも綺麗で明るい。
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渡り廊下を兼ねた階段を下りて浴室へ。このアプローチは以前の造りと同じような感じですね。洗面台は脱衣室の手前にありました。脱衣室内は棚が設置されている程度で、至ってシンプル。お客さんが3人以上集中しちゃうと、ちょっと窮屈かも。
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戸を開けて浴室と対峙した瞬間に、もう私はニンマリしてしまいました。総木造の湯屋に硫黄の匂いが立ち込め、白濁のお湯が絶え間なく浴槽から溢れ出ている、夢のようなお風呂…。浴室内には余計な設備が一切無し。お湯をじっくり堪能するためだけの空間であります。洗い場(シャワー付き混合栓が2基)は浴室の奥に別室として設けられていますが、これによって限られたスペースを有効に活用すると同時に、シャワーの飛沫やシャンプーの泡・匂いなどを温泉のお湯から隔離できるという、一石二鳥の効果をもたらしており、合理的な空間利用には感心しました。
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木の床の上に硫黄のお湯が流れると滑りやすくなるため、床には溝が彫られています。なるほど、こうした細かな配慮はこのお風呂では必須のようでして、まだ新しいのに、早くも浴槽内の材木には薄い黄色(乳白色)のコーティングがしっかり覆っていました。
浴槽はおおよそ4人サイズ。隣の川原湯共同浴場同様、浴槽の底にはスノコが敷かれ、その下から源泉が足元湧出。上からお湯の中をよく見ると、スノコが薄ら透けてみえました。川原湯は時間や客の利用状況によって濁り方が違うので、底は見えるときと見えないときがありそうです。オレンジジュースのような柑橘系の味と強い酸味に明礬味、そして渋みとえぐみを有する蔵王らしい酸性の濃い硫黄のお湯で、口に含むと歯がキシキします。
私の訪問時にスキー客も利用しており、みなさん口々に「熱い熱い」と喚いていましたが、確かに私でも若干熱く感じるほどの湯加減でした。でもその熱さこそが源泉をそのまま味わっている何よりの証。現実的な考え方をすれば、ここは大きなお風呂ではありませんから、加水せずに源泉のままの熱い湯温の方が、客の回転が良くなって(結果として)良いかもしれません。その一方で、瞑目して静かに湯船にひたすら浸かっているお客さんもいらっしゃいましたから、ここのお湯とお風呂にほれ込んでいる常連さんも多くいることが窺えました。共同浴場的な雰囲気に使い勝手の良さが同居したすばらしい入浴施設で、とっても満足しました。
(分析表を見落としてしまいました…)
山形駅より蔵王温泉行バスで終点下車、徒歩5分程度
山形県山形市蔵王温泉43 地図
023-694-9007
ホームページ
5月~9月→8:00~20:30
10月~4月→9:00~20:00
400円
シャンプー類あり、ドライヤー貸出、貴重品帳場預かり
私の好み:★★★