紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

3・二つの幸運

2004-08-08 09:40:01 | 8・山と旅の思い出
それでも、あの時期、ほんとうにイギリスに行けたのは、二つの幸運な出来事があったからだ。
一つは、テレビでランサムの湖を見たその日の夜、講談社の児童文学新人賞受賞の知らせを受け取ったこと。あんなに嬉しかったことは、それ以前もそれ以後もない。というほど、私にとっては手の届かない、夢のような賞だった。
同じ日に、あこがれのランサムの湖を見たのも、何かの縁だと思った。そして、その夜、イギリスへ行こうと決心した。新人賞は、さらに嬉しいことには、賞金が出るのだった。

もう一つの幸運は、ちょうどその頃、親しい友人であるK・M子さん一家がロンドン近郊に、移り住んだのだ。1年間の予定だった。私とFさんと4人の子どもたちは、イギリスに着いてすぐ、半月ほどKさんの家で過ごさせてもらうことにした。Kさんにも、3歳、2歳の子どもがいたので、その間は、6人の子どもたちが家や広い庭を駆け回り、まるで幼稚園のようなにぎやかさだった。



Kさんの家は、ロンドンの南、サリー州にあった。家も庭も広かったが、すぐ近くには公園、回りには広大な自然があって、いつもサンドイッチを作っては、ピクニックに出かけた。車で少し行くと、マナハウス(貴族の館)もあったし、時々はロンドンの町まで遊びにいくこともあった。楽しい2週間だった。





K・M子さんの夫、Y氏は、電気メーカーに勤めていたが、その頃、ロンドンの大学院に留学中だった。時間には、多少の余裕があったのだろうけど、私たちがショッピングに行く間など、6人の子どもたちをたばにして、よく面倒をみてくれたり遊んでくれた。今でも、よくやってくれたなあと感謝しています。



1・おそろしくも楽しいイギリス旅行
2・なぜイギリスにいくことにしたのか
3・二つの幸運
4・旅立ち
5・ウェールズ地方で
6・湖水地方
7・コニストン湖へ
8.最後に