紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

7・コニストン湖へ

2004-08-13 05:56:22 | 8・山と旅の思い出
K子さんとM子さんがそれぞれの家に向けて帰ったあと、Fさんと私は、ランサムの物語のもう一つ舞台であるコニストン湖を目指した。隣の湖といっても、1日に2本くらいしかバスが通っていない、へんぴな田舎である。
二ヶ月の旅の最終ラウンドに入っていた。

バスがコニストン湖に近づいていくにつれて、ここだと思った。ランサムの物語はここで生まれたのだ。と確信を持った。ウィンダミア湖で感じた違和感が、すっと消え、ランサムの物語に入りこんでいくようで、胸がときめいた。



コニストン湖の近くで何日間か過ごした。あたりは、何もかもが、物語のままだった。山も湖も木も農場も川も道も。浮かんでいる雲までが同じだと思った。でも、一番感動したのは、島を見た時だ。ピール島(Peel Island)は、まさしくランサムの物語に出てくる「ヤマネコ島」そのものだった。ここで、あの子どもたちはキャンプをしたのだと思うと、胸に迫るものがあった。



その数日間は、物語の中にいるような気がしていた。主人公の子どもたち、ナンシーやペギーやジョンやスーザンたちがいないのが、不思議なくらいだった。

そこで、ランサムの世界にひたりながら思ったのは、ランサムはここが本当に好きだったということだった。私も、日本に帰ったら、自分が好きな場所を舞台にして本を書こう、と強く決心していた。

★ イギリスの旅
1・おそろしくも楽しいイギリス旅行
2・なぜイギリスにいくことにしたのか
3・二つの幸運
4・旅立ち
5・ウェールズ地方で
6・湖水地方
7・コニストン湖へ
8.最後に