紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

郷隼人さんのこと・ふたたび

2004-09-20 14:35:23 | 7・連句・俳句・短歌
以前郷隼人さんのことを、Blogに書いた。

歌人「郷隼人」さんのこと
「LONESOME・隼人」

その郷さんの歌が、朝日新聞9月16日付の「折々の歌」にのった。

「人はみなヌード写真を貼り競えり我が独房に桜島山」

今年ヨセミテに行った時に、何度か郷隼人さんのことを考えた。郷さんが収監されているサリナスという所には、以前行ったことがある。セコイア・キングスキャニオン国立公園からドライブして、カリフォルニア州を旅した時のことだ。

今回、サンフランシスコからフレスノまで、国内線にのった。飛行機は、通路を隔てて、片側2席、もう片側1席で、バスといっていいほど小さかった。カリフォルニアのそのあたりには雲一つなく、下の景色が地図のように広がっていた。高速道路もはっきり見えた。あの茶色の土っぽい大地のどこかにソルダットの刑務所はあるのだと思った。

帰ってきてから、郷隼人さんの公式ホームページ「窓光・郷隼人歌集」 を見たら、郷さんからの最新の手紙が掲載されていた。

「カリフォルニアからの便り 9月6日発信」 

カリフォルニアには、もう4ヶ月雨が降らないと書いてあった。ヨセミテでのほこりっぽさ、カラカラに乾いていたのは、そのせいだったのだ。

「あの山の向こうに太平洋が在る夕日の彼方に日本が在る」

「ジャンボ機が真綿を曳いて通り過ぐ西へ向かえば乗りてゆきたき」

帰りの飛行機に乗って飛び立つ時、郷隼人さん歌を思い出していた。
と、ここまで書いて、今日(9月20日)が月曜日なのを思い出して、朝日歌壇を開いた。郷隼人さんの句がのっていた。

「<豆腐屋>の彼の訃報を知りし夜に彼の自筆の手紙読みけり」

選者の島田修二さんの訃報を1週間ほど前に見たばかりだった。島田さんの最後の仕事だったと書いてあった。
郷さんは、この夏、二人の大事な人を亡くされたのだ。
郷さんが力をもらったという松下竜一郎さんの「豆腐屋の四季」をぜひ読んでみたいと思う。