紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

手紙

2005-12-24 07:00:49 | 15・心に残ること
嬉しい手紙が送られてきた。
仕事がら、こういう本当に心が温かくなるような手紙を、1年に1度くらい頂くことがある。
送ってくれたM・Yさんは、私の本の読者である。といっても、最初に本を読んだのは、10歳の頃で、今26歳。

その昔、あまり個人情報の公開にうるさくなかった頃、本の奥付には、著者の住所が印刷されていた。
その頃は、ずいぶんたくさんの手紙が小学生や中学生の子どもたちから届いた。
1日5~10通くらい。よほど具合でも悪くてためこまない限り、返事を書いた。手紙を書くには、時間が足りなかったので、葉書で返事を書いた。

その後、本に個人情報は載せなくなり、出版社の編集部に問い合わせても、教えてくれない時代になった。
では、どうすれば、著者に手紙を送れるのか。というと、その本の出版社の編集部気付で送ると、少し時間はかかるが、転送されてくる。
でも、そうまでして、手紙を送ってくれる人は、そうたくさんはいない。

Mさんの手紙は、そうして私の元に届いた。
最初はお兄さんの本で、本棚にあったものを、手にとって読んだ。それから何冊かの本を何度も読み返した。これからも読み続ける……。
ということを、どうしても私に伝えたくて、手紙を書いてくれたのだった。
Mさんの言葉は、まっすぐに私に届いた。Mさんの16年の月日を思い、心が震えるようであった。
それは、私にとって、ほんとうに嬉しいクリスマスプレゼントになった。

今日がみなさまにとって、よい一日になりますように。