紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

息子の結婚

2008-11-09 12:00:30 | 18・家族のことなど
ちょうど1週間前に入籍した息子が、お嫁さんと一緒に東京にやってきた。
いつものことながら、土曜日の夜にきて、嵐のように今朝の8時過ぎには去っていった。

このブログにも、以前書いたことがあるのだけど、吉野弘さんの「祝婚歌」という詩を、大好きな詩だといって、二人に手渡した。

この詩は、息子の出身高校の石川先生が、卒業生へ贈る言葉として、学校通信に載せてくれたものだ。今から、もう11年も前のことになる。
それ以来、大好きな詩となった。
通信には、
「今はこの詩をわからないと思います。分かる「時」が来たらまたお会いしましょう。」
と書かれていた。
はたして、わかるようになったかどうか・・・。


  「祝婚歌」   
     吉野弘<風吹くと>の中から

ふたりが睦まじくいるためには
おろかでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気づいているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちのどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
お互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
うたがわしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光りを浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸があつくなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい