経済なんでも研究会

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-07-08 06:45:46 | SF
第4章  錬 金 術 と 太 陽 光

≪40≫ ダーストン人 = それから半年あまり、ぼくは精力的に人々と付き合い、集会などへも積極的に参加した。この国の人たちを、もっと知りたいと考えたからである。まるで世論調査をしているようだと感じながら、毎晩メモしたノートは20冊を超えた。おかげでダーストン人の思考や生活態度も、ずいぶん判ってきたように思う。

エネルギー研究所のシュベール博士から聞いたダーストニウム合金と太陽光発電の話は、ぼくに強烈な印象を与えた。そこで数多くの人に聞いてみたが、驚いたことに知っている人はごく僅かだった。ほとんどの人からは「知りませんね」とか「聞いたことはありますが、あまり関心は持っていない」という答えが返ってきたのである。

電気はいつも十分に供給されている。完全自動車に乗れば、どこへでも安全に行ける。そんなことは当たり前のことであって、その仕組みを知っている必要なんかない。だからダーストニウムなどという名前も知らない。たいていの人は、こんな調子だ。知っていたのはごく僅か、ほとんどが理科系の学者だった。

その学者でさえも「人類は初め木を火種とし、石炭と石油を燃やし、さらには原子力をエネルギー源とした。そして最終的に太陽光発電にたどり着いたのです。これは歴史的にみて当然の帰着ですから、驚くには当たりません」と、のんびり構えている。その顔には「この地球人はなんで、こんな当たり前のことに驚いているんだろう」と書いてあった。

それだけではない。究極の再生医療、人間に近いロボットの製造。この驚くべき科学技術の成果についても、人々はもう当然のこととして受け入れている。それが物凄いことだという考え方は、ほとんどない。たしかに、この国の人々はそういう世界に生まれ育ってきた。すべてを当たり前のことだと思ってしまうのも、ある意味では仕方がないのかも。

ところが、このぼくはほんの数年前まで病気と闘い、自動車事故で多くの人たちが命を失う社会に住んでいた。ロボットは人間の代わりに働き出したが、まだ機械にすぎない。原発は事故を起こし、メタン・ハイドレードは人類に牙を剥いた。そんな世界から突然この地に来たのだから、そのギャップの大きさに圧倒されても仕方がない。

こう考えてくると、ぼくの気持ちはずいぶん楽になった。いままではダーストン星に呑み込まれていたが、これからは距離を置いて見ることが出来そうだ。理解に苦しんだ主婦や若者の生活態度も、なんとなく解ってきそうな気がしてきた。もう少し、ぼく流の世論調査を続けることにしよう。

                                (続きは来週日曜日)


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