◇ 金融政策は緩和から引き締めへ = アメリカの中央銀行であるFRBは先週3日の政策決定会合で「今月から金融緩和政策の縮小を始める」ことを決定した。FRBはコロナ不況に対処するため、昨年3月から毎月800億ドルの国債と400億ドルの住宅ローン担保証券を市場から買い入れてきた。それを今月から国債は100億ドル、住宅証券は50億ドルずつ減らして行く。いよいよ緩和政策の手仕舞いが始まったわけだ。
この方針通りに緩和の縮小が進行すると、来年6月には買い入れ額がゼロになる計算だ。そこからは国債や住宅証券の売り戻しと政策金利の引き上げ、つまり金融引き締め政策が始まることになる。市場では早くも「来年後半に2回の利上げ」という見方と「中間選挙の前にはないから、年末に1回の利上げ」説が交錯している。
だがFRBが開示したのは、あくまでも現時点での方針だ。実際この方針通りに進んで来年6月に量的緩和が終了する可能性は、きわめて小さい。というのも仮にアメリカ経済の回復が予想より強く物価の上昇が大きければ、FRBは緩和の縮小テンポを速めるに違いない。逆に回復が弱く物価が低下すれば、縮小のテンポを遅くすることになるだろう。
アメリカ経済がどちらの方向に傾くかは、まだ判らない。今後その判断を下すには、毎月の雇用統計と物価指数を注視して行く必要がある。ちなみに10月の失業率は4.6%、非農雇用者の増加数は53万1000人。また9月の消費者物価は前年比5.4%の上昇だった。特に物価の上昇率が高いと、FRBは緩和縮小のテンポを速めることになる。
(続きは明日)
≪8日の日経平均 = 下げ -104.52円≫
この方針通りに緩和の縮小が進行すると、来年6月には買い入れ額がゼロになる計算だ。そこからは国債や住宅証券の売り戻しと政策金利の引き上げ、つまり金融引き締め政策が始まることになる。市場では早くも「来年後半に2回の利上げ」という見方と「中間選挙の前にはないから、年末に1回の利上げ」説が交錯している。
だがFRBが開示したのは、あくまでも現時点での方針だ。実際この方針通りに進んで来年6月に量的緩和が終了する可能性は、きわめて小さい。というのも仮にアメリカ経済の回復が予想より強く物価の上昇が大きければ、FRBは緩和の縮小テンポを速めるに違いない。逆に回復が弱く物価が低下すれば、縮小のテンポを遅くすることになるだろう。
アメリカ経済がどちらの方向に傾くかは、まだ判らない。今後その判断を下すには、毎月の雇用統計と物価指数を注視して行く必要がある。ちなみに10月の失業率は4.6%、非農雇用者の増加数は53万1000人。また9月の消費者物価は前年比5.4%の上昇だった。特に物価の上昇率が高いと、FRBは緩和縮小のテンポを速めることになる。
(続きは明日)
≪8日の日経平均 = 下げ -104.52円≫