経済なんでも研究会

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平成とは “平成長” のこと? : GDP

2017-02-17 08:07:45 | 景気
◇ 1%しか成長できない = 内閣府の発表によると、16年の実質経済成長率は1.0%だった。15年が1.2%、14年は0.3%しか成長していない。したがって、この3年間の年平均は1%にも及ばないことになる。この調子だと、経済規模が倍増するには100年近くもかかってしまう。日本は完全に“低成長国”になり下がってしまった。

平成に入ってから、日本経済はずっと低空飛行を続けている。景況感に近い名目GDPで調べてみると、1989年(平成元年)から2016年までの27年間に、名目GDPは28.5%増大した。1年平均で約1%という計算になる。低成長と言っても、年平均2-3%ならまだいい。ゼロすれすれの成長が延々と続く状況は、“平成長”と皮肉りたくなる。

16年のGDPを分析すると、個人消費が0.3%しか伸びなかった。設備投資も1.0%増と全く元気がない。成長にいちばん貢献したのは外需だが、それも輸入が1.7%減ったためだから、なんとも気勢が上がらない。企業の利益は最高益を更新する勢いなのに、どうして設備投資や賃金におカネが回らないのだろう。

少子化や人口減少で、日本の潜在成長力が低下したことは確か。だが、それで諦めてしまえば“平成長”が続くだけだ。この際は官民を挙げて、成長率を押し上げるための政策をひねり出すべきだろう。たとえばトランプ政策に刺激されて、日本でも法人税のさらなる引き下げが課題になりそうだ。そのとき労働分配率の低い企業には減税を適用しないぐらいのことは、考えてみてもいい。

      ≪16日の日経平均 = 下げ -90.45円≫

      ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ


盛り返した企業業績 : 今期は最高益に

2017-02-16 07:09:26 | 利益
◇ トランプ効果で急回復 = 日経新聞の集計によると、上場企業の業績が急激に回復している。今3月期の純利益は、史上最高の水準に達する見込み。これまでに12月期の決算発表を終えた1431社の見通しから推計すると、16年度の純利益は前年度を10%上回る模様だ。特にアメリカの大統領選挙が終わったあとは円安が進み、利益の拡大に大きく貢献した。不安定化した海外経済や円高の影響で一時は落ち込んだ日本企業の業績は、2年ぶりに盛り返す形になる。

昨年秋までの円高傾向もあって、売り上げ高は7年ぶりに減少する。にもかかわらず利益が増大したのは、昨年後半から世界経済に回復の兆しが表れたこと。原油や資源の国際価格が持ち直したこと。昨年末からの円安。加えて企業側がコスト削減と製品の高付加価値化に努力した結果だと考えられる。

業種別にみると、商社や化学、通信や半導体の増益幅が大きい。逆に減益となりそうなのは、電気や自動車など。しかし全体としてみると、5社に1社は最高益になると日経新聞は報じている。売上高純利益率も、初めて4%を超える見通しだ。トランプ効果とこうした企業業績の好転が、株価押し上げの原動力となっている。

ただ首脳会談は成功裏に終わったものの、日米間の貿易協定など、これから何が飛び出してくるかは全く不明。経営者はまだまだ将来への不安感を払拭し切れてはいない。したがって最高の利益が、設備投資や賃金の増額に振り向けられるかどうかは予断を許さない。

      ≪15日の日経平均 = 上げ +199.00円≫

      ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ


トランプ税制改革の 見取り図 (下)

2017-02-15 08:34:22 | トランプ
◇ 政策実現への障害物 = トランプ税制改革が実行されれば、アメリカ経済には大きな活力が生まれる。だが、その実現までには多くの障害物を乗り越えなければならない。なかでも最大の障害物は財源。トランプ政権としては、まず経済成長の加速によって生じる税の自然増収をアテにしている。さらに国境調整税による増収。研究開発費以外の租税特別措置を全廃する、などの強硬手段も検討しているようだ。

国債の増発も当然ありうる。しかし連邦政府の債務は、すでに20兆ドルに近い。議会は上下両院とも共和党が多数を占めたが、共和党の議員には“小さな政府”の信奉者が多い。財政赤字の大幅な拡大を容認するかどうかは、きわめて微妙だ。この意味では、議会が障害物になるとも言えるだろう。

資金還流税は実施されれば、6000億ドルの資金が還流すると試算されている。この税はブッシュ政権も05年に導入したが、そのときは3000億ドルが還流。ただし大幅なドル高を招いている。また国境調整税は、WTO(世界貿易機構)から“待った”がかかる公算が大きい。不正な輸出促進と輸入抑制で、WTOの規約に違反すると考えられるからだ。

トランプ大統領が、その腕力でこれらの障害物を突破できるかどうか。突破すると、アメリカ経済の拡大は加速する。しかし同時に、ドル高・物価高・金利高の風に吹かれることも確実だろう。こうしたアメリカ経済の変化は、直ちに日本経済にも強い影響を与える。早めに対応策を考えておいた方が賢明である。

      ≪14日の日経平均 = 下げ -220.17円≫

      ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ


Zenback

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