経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

老人介護は 外国人頼み (下)

2018-02-23 07:19:43 | 介護
◇ 背に腹は替えられない = 厚生労働省の推計によると、高齢化の進展で25年度には250万人の介護職員が必要になる。ところが、このままでは37万7000人の不足が見込まれるという。この不足分を外国人の力で、どこまで埋められるかという問題になってきた。そこで政府は16年に法律を改正し、それまでは製造業や建設業に限ってきた技能実習生制度を介護にも認めることに。対人サービス業にも、初めて門戸を開いたわけだ。

この制度による実習生は、間もなく日本にやってくる。しかし日本で介護の職に就くためには、養成学校で勉強し国家資格を取得しなければならない。そこには日本語という大きなカベがある。たとえば、これまでにもFTA(自由貿易協定)の取り決めによって、インドネシアなど3か国から2800人の介護実習生が来日した。しかし国家試験に合格したのは、そのうちの2割にも満たない。

じっさい、日本語や特に専門用語を会得するのは難しい。しかも介護される老人の言葉は聞き取りにくく、耳も遠い。生活習慣も異なっている。外国人にとっては、最も参入しにくい職場とさえ言えるだろう。しかし日本人の若者がやりたがらないから、仕方がない。背に腹は替えられず、やってみるしかないという状況だ。

外国人を雇い入れる介護施設の方にも、課題はある。長時間労働を課したり、賃金の未払いなど。どうしたら根絶できるのか。外国人を下働きのように使うことはないのか。いま居酒屋では「お銚子一丁」などと叫ぶ外国人も、珍しくはなくなった。5年後、10年後に、介護施設に外国人が溶け込んでいるかどうか。大いなる実験とも言える。

       ≪22日の日経平均 = 下げ -234.37円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ

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老人介護は 外国人頼み (上)

2018-02-22 08:16:44 | 介護
◇ 就業者50人に1人は外国人 = 厚生労働省の集計によると、17年10月末時点の外国人労働者は128万人。前年より18%増加した。就業者人口の約2%に当たるから、日本で働いている人の50人に1人は外国人という時代になった。この5年間では約2倍に増加。外国人を雇用する事業所も19万5000か所に増えている。

国籍をみると、中国人が37万人でトップ。次いでベトナム人、フィリピン人となっている。ただ17年中に急増したのはベトナム人とネパール人で、それぞれ4割増、3割増を記録した。形態別にみると、学者・医療関係者・技術者・調理師など高度な資格を持つ就業者が24万人。製造業や農業で働く技能実習生と、サービス業などでバイトをしている留学生が、ともに26万人ずついる。

日本の人口は急速に減り始めており、その影響が人手不足となって現われている。それを補う戦力としての外国人は、いまや企業にとっても経営を左右する重要な存在となってきた。特に最近は、飲食サービス業で働く外国人が目立っている。しかし外国人留学生が本来の目的である学業を放棄し働く例も多く、問題となっていることも確かだ。

日本人の若者は、きつい仕事を敬遠しがち。そうした隙間に、外国人労働者が入り込んでいるとも言えるだろう。そうした分野の一つに、介護の仕事も浮上してきた。しかし介護は、人の命に直結する仕事でもある。どうしたら、外国人にうまく働いてもらえるのか。政府もようやく、この問題と真剣に取り組み始める。安倍首相の指示で、内閣官房に検討チームを作り、6月までに対策をまとめることになった。

                             (続きは明日)

      ≪21日の日経平均 = 上げ +45.71円≫

      ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ

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いよいよ貿易戦争か : トランプ大統領

2018-02-21 07:52:09 | 貿易
◇ 鉄鋼とアルミの輸入制限 = トランプ大統領が、いよいよ鉄鋼とアルミニウムの輸入制限に乗り出す。中国やメキシコを主な標的にしていると伝えられるが、商務省が作成した草案では日本を含む世界中からの輸入が対象となっている。トランプ大統領は“アメリカ・ファースト”の旗印を掲げ、これまでNAFTA(北米自由貿易協定)やTPP(環太平洋経済連携協定)などの枠組みを否定してきたが、今回は具体的な輸入制限という保護貿易政策にまで踏み込むことになった。

商務省が作成し大統領に提出した草案は、3つの選択肢から成っている。鉄鋼については①すべての国からの輸入に24%以上の追加関税をかける②中国、ブラジルなど12か国に対して53%以上の関税をかけ、その他の国に対しては17年の実績と同じ輸入枠を設ける③すべての国に対して17年実績の63%に相当する輸入枠を設ける――という内容。アルミの輸入制限案も似たような内容になっている。

トランプ大統領が、どの選択肢を選ぶかはわからない。この原案を修正する可能性も少なくない。だが、いずれにしても鉄鋼については4月11日、アルミについては4月19日に最終決定することになっている。WTO(世界貿易機関)はこうした一方的な貿易制限の実施を禁じているが、アメリカ政府は「安全保障上の観点から実施するもので、WTOの規約違反ではない」と弁明している。

すでに中国政府は「中国の利益に影響するなら、必要な措置を講じる」と声明。日本鉄鋼連盟も「日本の製品はアメリカの安全保障上の脅威になっていない」という意見書を米商務省に提出した。いちばん心配なのは、中国やEUが報復措置をとって無秩序な貿易戦争の状態に陥ること。日本政府も傍観している場合ではない。

      ≪20日の日経平均 = 下げ -224.11円≫

      ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ

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一変した 金利・為替と株価の関係

2018-02-20 07:49:48 | 株価
◇ インフレ予想が強まったため? = 株価形成に関する市場の考え方が、急激に変化した。たとえば先週14日に発表されたアメリカの1月の消費者物価は、前月比で0.5%の上昇。事前の予想を大きく上回った。物価が上がれば、FRBによる金融引き締めが速まるだろう。すると金利が上がるから、ドル相場は上昇。株式は引き締めを嫌って売られる。これが、これまでの市場の“常識”だった。ところが・・・。

実際はどうなったか。ニューヨーク市場では国債が売られ、10年もの国債の利回りは一時2.92%と4年1か月ぶりの水準に跳ね上がった。しかしドルは予想に反して下落。ダウ平均株価はこの日、250ドル以上も値上がりしている。ドル相場が下がったために、円の対ドル相場は上昇。15日の東京市場では106円台、16日には105円台にまで高騰した。ところがこれまた予想に反して、日経平均はこの両日で560円も値上がりしている。

何が市場の“常識”を変えたのだろう。どうやらその原因は、インフレ予想が強まったことに求められそうだ。トランプ大統領の10年間で1兆5000億ドルという大型減税が議会を通過。さらに10年間で1兆5000億ドルのインフラ投資が、実現に向かって動き出した。これに対して、FRBが急激な引き締めに踏み切る様子はない。となるとインフレの可能性が増大する。

インフレになれば通貨の価値は落ちるから、ドルは売り。株や金は買っておいた方がいい。こういう論理が市場で強まったように思われる。こうした思考の変化が長続きするかどうかは、まだ判らない。仮に長続きするようだと、円高圧力も持続してしまう。アメリカ国内のインフレ心理が膨らんで行くのかに、注目する必要がある。
      
      ≪19日の日経平均 = 上げ +428.96円≫

      ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ

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今週のポイント

2018-02-19 09:45:02 | 株価
◇ 調整を終えたNY株価 = ダウ平均は先々週末から6連騰。先週の上げは1028ドルに達した。終り値では2万5000ドル台を確保している。これで今月初めから始まった高値警戒の調整で下げた分の6割方を取り戻したことになる。株価の振幅もしだいに縮小してきており、ニューヨーク市場の株価調整は意外に早く終了したとみてよさそうだ。

日経平均も先週は338円の値上がりだった。ただ円高が進んだおかげで前半は下落、後半になってやっと上昇に転じた。ニューヨークと違って、まだ調整分の4分の1しか取り戻していない。ニューヨークの上昇気流に追随したいところだが、円相場の高騰がこれを邪魔している。東京外国為替市場の対ドル相場は16日、とうとう1年3か月ぶりに105円台まで上昇した。

今週のポイントは、まずニューヨーク市場の株価が続伸するかどうか。大幅安の反動でここまで戻すと、市場では株価を形成するさまざまの要素を再点検する空気が生じてもおかしくない。その結果として、ドル円相場がどう動くか。東京市場は、この点に左右される。さらに平昌オリンピック後の北朝鮮についても、関心が高まるだろう。

今週は19日に、1月の貿易統計。21日に、12月の全産業活動指数。23日に、1月の消費者物価と企業向けサービス価格。アメリカでは21日に、1月の中古住宅販売戸数。22日に、1月のカンファレンス・ボード景気先行指数が発表される。

      ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ

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