経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-02-18 07:33:48 | SF
第2章  ロ ボ ッ ト の 反 乱 

≪20≫ 賢人会の裁定 = ある朝、マーヤが青い顔をして駆け込んできた。いや、マーヤの顔は赤くなったり、青くなったりはしない。ただ、とても慌ててやってきたことに違いはない。

「困ったことが起こりました。あのロージが『ロボットたちに、人間の女性と闘うように指令を出した』という噂が広がっているんです。本当だとすると、ロージはお仕置きされるかもしれません。どうしたら、いいでしょう」

――お仕置きって、どういうこと?
「よく判りませんが、たとえば捕まえられて電源を切られてしまうとか。メンデール教授の秘書を辞めさせられることは確実でしょうね」
――それは大変だ。でも、ぼくたちには、どうしようもない。しばらく様子をみよう。いろいろ情報を集めてくれないか。

数日後、科学院のウラノス院長から呼び出しがかかった。すぐに飛んで行くと・・・。
ウラノス博士は相変わらずの調子で、笑いながら話し始めた。

「ロージの件は、もうご存知だろう。賢人会にもいろいろ提訴があって、きちんと調べてみた。結論から言うと、全く問題なし。ロージは自分が流した情報をすべて記録していた。内容は『賢人会がロボットと人間の結婚について議論している』というだけのもの。それに尾ひれを付けて騒ぎ立てたのは、むしろ人間の方だった。したがって賢人会としては、この事実を公表しロージやその周辺のロボットたちに罪はないと裁定したんじゃ。

この件については、逆に君たちにお礼を言っておきたい。賢人会としても、いろいろ勉強になったからね。不確かな情報が伝わっていくうちに、確からしい情報に変わってしまう。昔からある人間社会の弱点だが、いまだに直っておらん。あるテレビ局などは『ロボットたちが気勢をあげるために、どこかに集結中』と報道し、『250年ぶりのロボット反乱か』という解説まで流したんだ。でも、これらはみんなフェイク・ニュースだった。

賢人会のなかでも、女性ロボットの母性本能を低下させたらどうかという意見も出たくらいだ。しかし、そうするとロボットの人間に対する献身的な働きが鈍る危険性がある。といってロボットが多くの若い男性と結婚すると、少子化が進んで人口不足になるだろう。ロボットは子どもを産めないからな。この問題については、賢人会もいろいろチエを出さなければならんのじゃよ」

その晩、ロージからも連絡があった。「余計なことは言わず、すべての通信を記録しておいたのは、地球人の貴方が忠告してくれたおかげ。助かりました。感謝しています」と、マーヤを通じて伝えてきたのだ。

ロージという女性ロボットは、なかなか頭もよさそうだ。こう感じたが、マーヤの前でその言葉はぐっと飲み込んだ。またマーヤが嫉妬するかもしれないと思ったからである。

                        (続きは来週日曜日) 


配当で食える身分になった 日本

2018-02-17 07:51:56 | 国際収支
◇ 配当・利子の稼ぎが貿易の4倍に = かつては“貿易立国”を旗印に掲げていた日本だが、いまや配当や利子の収入で十分に食えるようになった。財務省が発表した17年の国際収支によると、経常収支は21兆9000億円の黒字だった。その内訳は貿易収支が5兆円の黒字、旅行収支が1兆8000億円の黒字、第1次所得収支が19兆7000億円の黒字などとなっている。

第1次所得収支というのは、海外子会社からの配当や投資した証券などからの利子を集計したもの。日本の収入金額から日本が支払った金額を差し引いた結果を示している。内訳は証券投資による利子収入が9兆円でいちばん多く、次いで子会社からの配当金4兆3000億円など。これらの儲けだけで、貿易で儲けた分の4倍に達しているわけだ。

若いころには汗水たらして働いて貯金し、老後は株の配当金で暮らす。一国の経済も成熟するにしたがって、こういうパターンを辿るようだ。イギリスやフランス、ドイツなどヨーロッパの先進国は、こうしたパターンに入っている。日本も06年から第1次所得収支の黒字が貿易黒字を上回るようになり、この差がしだいに大きくなってきた。

配当や利子で暮らせるのは、いい身分に違いない。しかし問題もある。まず世界経済が不調になると、輸出と同時に所得収支も悪化する。また円高が進んだ場合も、所得収支は目減りする。さらに企業は海外での儲けが大きくなるから、利益を海外で使い、国内での設備投資や人件費の増加には慎重になりがちだ。

      ≪16日の日経平均 = 上げ +255.27円≫

      【今週の日経平均予想 = 1勝3敗】  


期待はずれの GDP成長率

2018-02-16 08:29:18 | 景気
◇ 昨年10-12月期はわずか0.5% = 内閣府が発表した昨年10-12月期のGDP成長率は、物価を調整した実質値で前期比0.1%とほぼゼロ。年率に換算しても、わずか0.5%にとどまった。内訳をみると、個人消費は年率1.9%伸びたが、あとは企業の設備投資も民間の住宅投資も前期の伸びを下回っている。世界同時好況のおかげで輸出は10.0%増加したが、原油などの高騰で輸入も12.0%増えたため、経済成長には貢献しなかった。

この結果、17年の実質成長率は1.6%になった。15年の1.4%、16年の0.9%に続いて、相変わらずの低成長が続いている。いま注目されている雇用者報酬も、17年は1.5%の増加。16年の3.1%増から半減してしまった。景気の実感に近い名目成長率をみても、10-12月期がマイナス0.1%と振るわなかったため、17年は1.4%にとどまっている。

それでも10-12月期の成長率がかろうじてプラス圏内に踏みとどまったことから、数字のうえでは8四半期連続でプラス成長を記録した。このため政府は「緩やかな景気の回復が続いている」とコメントしている。だが政府のこの見方に同調する人は少ない。GDP速報が発表された14日、株価は下げてしまった。

ことし1-3月期には、世界的な株価の調整が発生した。少なくとも個人消費に対しては、悪い影響を与えかねない。そんなこともあって、株式市場は10-12月期の成長率がプラスにとどまったことよりも、1-3月期のマイナス成長を警戒したのかもしれない。政府も経済情勢の推移に、もう少し危機感を持った方がいい。

      ≪15日の日経平均 = 上げ +310.81円≫

      ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ


調整の終わり or 不況の前触れ : 株安 (下)

2018-02-15 07:36:44 | 株価
◇ 次はFRB新議長と北朝鮮 = 株価が景気の先行指標であることは確かだろう。そこで景気回復の終息が心配されるといっても、実体経済は絶好調の状態を維持している。特に企業の業績は驚くほどいい。昨年10-12月期の純利益はアメリカの主要500社が15%の増益、東証1部上場企業は42%の増益になる見込みだ。

こうした世界同時好況の枠組みが壊れて行く道筋は、いろいろ考えられる。まずアメリカの場合は、景気の長期的な回復で物価が上昇。これを抑えるために、FRBが金融引き締めのテンポを速める。すると金利の上昇で企業や個人の借り入れ負担が重くなり、景気は下降に向かう。今回の金利上昇は、その前触れだという見方が出ているわけだ。ただ、この場合の景気後退は比較的ゆっくりと進行する。

劇的な変化を生じやすいのは、高金利によって急激な資金移動が起こる場合だ。たとえばアメリカ国債の利回りが3%台に上昇すると、安全度の低い社債などが売られ、資金が国債に移動する。リーマン・ショックは安全度の低い住宅ロ-ン証券が一気に売られ、金融危機を惹き起こした。この点は新興国からの資金引き揚げも同じこと。資金を引き揚げられた新興国は通貨不安に陥り、世界同時好況は崩壊する。

今回の株安が、こうした事態にまで発展しないかどうか。その見極めには、まだ1か月ぐらいかかるだろう。その間に過度な金利上昇がなく株価の振幅が収まれば、市場は平静さを取り戻す。ただし2月下旬になると、新たな問題も発生する。1つはパウエルFRB議長の議会における証言。もう1つは平昌オリンピック後に、北朝鮮がいかなる姿勢をみせるかである。

      ≪14日の日経平均 = 下げ -90.51円≫

      ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ


調整の終わり or 不況の前触れ : 株安 (上)

2018-02-14 08:15:04 | 株価
◇ 調整はほぼ終了した = 株価の急落は何を意味しているのだろうか。いかにも速すぎた上昇スピードに対する市場の自律的なブレーキで、一時的な調整だという見方。その一方で、株価は長く続いた景気回復が最終局面に到達したことを示しているという見方。市場では、この2つの見方がほぼ拮抗しているようだ。どちらが正しいかを判断するのには、もう少し時間が必要だろう。

日米の株価がそろって急上昇を始めたのは、昨年9月の中旬。そのときのダウ平均は2万2057ドル、日経平均は1万9546円だった。それがダウはことし1月26日に2万6617ドル、日経平均は1月23日に2万4124円の高値を付けている。この間の上げ幅はダウが4560ドル、日経平均は4578円に達した。

この高値と先週の終り値を比較すると、ダウは2426ドルの下落。日経平均は2741円下げている。これでダウは急上昇分の53%、日経平均は60%を失った。超スピード上昇に対する調整としては、十分な反落だとみていい。また高値からの下落率は、ダウが10%、日経平均は11%を超えている。ここからみても、調整はほぼ終了したと考えていいだろう。

ただ、これだけ大きく株価が下落すると、どうしても後遺症が残ってしまう。たとえば経営者が将来見通しに慎重となり、これが株価に悪影響を及ぼす。また一般の投資家も売り急ぐのは止めたとしても、買い控えてしまいがちだ。そうした環境のなかで市場は神経質になっており、ちょっとしたニュースに揺さぶられることも少なくない。

                          (続きは明日)

      ≪13日の日経平均 = 下げ -137.94円≫

      ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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